カーソルは、選択されたウィンドウで多くの編集コマンドが作用する場所を示し、その場所をポイント(point)2と呼びます。多くのEmacsコマンドはポイントをテキスト中で移動し、テキスト中のさまざまな箇所で編集できるようにします。マウスのボタン1(通常は左ボタン)をクリックしても、ポイントを移動できます。
デフォルトでは、選択されたウィンドウ上にある、塗りつぶされたボックスのカーソルは文字の上に表示されますが、ポイントは2つの文字の間にあると考える必要があります。つまりポイントは、カーソルが重なっている文字の前にあります。たとえば、‘frob’というテキストで、‘b’にカーソルがある場合、ポイントは‘o’と‘b’の間にあります。その位置に‘!’という文字を挿入すると、‘fro!b’という結果になり、ポイントは‘!’と‘b’の間にあります。つまりカーソルは‘b’の上にあり、実行前と同じです。
Emacsでいくつかのファイルを編集して、各ファイルがそれぞれ専用のバッファーにある場合、各バッファには独自のポイント位置があります。バッファーが表示されていなくても、後で表示されるときに備えて、ポイント位置を記録しています。1つのフレームに複数のウィンドウがある場合、各ウィンドウには独自のポイント位置があります。
Emacsがカーソルをどのように表示するか制御する方法については、Cursor Displayを参照してください。
“point”という用語は、文字‘.’に由来します。この文字は、現在ポイントと呼んでいる値を参照するためのTECO(オリジナルのEmacsを記述していた言語)のコマンドです。