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C.2 初期化オプション

初期化オプションは、Emacsセッションにたいするパラメーターを指定します。このセクションでは、より一般的な初期化オプションを説明します。いくつかのオプションは、厳密には以降のセクションで説明するXウィンドウシステムに関連したオプションです。

いくつかの初期化オプションは、初期化ファイルのロードに影響します。Emacsは通常、site-start.elが存在する場合は最初にそれをロードし、ユーザーの初期化ファイルが存在すれば次にそれをロードして、デフォルト初期化ファイルdefault.elが存在すれば最後にそれをロードします(Init Fileを参照してください)。それらのファイルのロードを抑制したり、それらのファイルを別のファイルで置き換えるオプションもあります。

-chdir directory
--chdir=directory

他のことを行なう前にまず、カレントディレクトリーをdirectoryに変更します。これはEmacsが停止したのと同じディレクトリーで開始されるように、主にXでのセッション管理に使用されます。これによりデスクトップの保存と復元が簡単になります。

-t device
--terminal=device

端末の入出力にdeviceをデバイスとして使用します。このオプションは暗に‘--no-window-system’を含みます。

-d display
--display=display

Emacs初期フレームを開くために、Xウィンドウシステムとdisplayという名前のディスプレーを使用します。詳細は、Display Xを参照してください。

-nw
--no-window-system

環境変数DISPLAYがセットされていても、ウィンドウシステムと直接やりとりしません。これはEmacsが、Emacsのすべての表示と出力のために、開始された端末を使用することを意味します。

-batch
--batch

Emacsをバッチモード(batch mode)で実行します。バッチモードは、シェルスクリプトやmakeファイルから、Emacs Lispで記述されたプログラムを実行するために使用されます。Lispプログラムを呼び出すには、‘-batch’オプションと併せて、1つ以上の‘-l’、‘-f’、‘--eval’を使用します(Action Argumentsを参照してください)。使用例は、Command Exampleを参照してください。

バッチモードでは、Emacsは編集されるテキストを表示せず、C-zC-cのような、標準の端末割り込みが通常の効果をもちます。通常はエコーエリアにメッセージをプリントするEmacs関数は、かわりに標準出力ストリーム(stdout)、または標準エラーストリーム(stderr)にメッセージをプリントします(正確に言うと、prin1princprintのような関数はstdoutにプリントし、messageerrorstderrにプリントします)。通常はミニバッファーからキーボード入力を読み取る関数は、かわりに端末の標準入力ストリーム(stdin)から入力を受け取ります。

--batch’は暗に‘-q’(初期化ファイルをロードしません)を含みますが、それでもsite-start.elはロードされます。これはすべてのコマンドオプションを処理した後に、Emacsを終了します。それに加えて、自動保存が明示的に要求された場合を除き、自動保存を無効にします。また自動保存が要求されていない場合は、ファイルの保存でのfsyncシステムコールを省略します。

--script file

--batch’と同様に、Emacsをバッチモードで実行してから、fileのLispコードを読み込み実行します。

このオプションは通常、Emacsを実行する実行可能スクリプトの中で使用します。これは以下のテキストを最初の行に記述します:

#!/usr/bin/emacs --script

これは‘--script’でEmacsを呼び出し、スクリプトファイル名はfileです。それからEmacs Lispは最初の行の‘#!’をコメント区切りとして扱います。

--no-build-details

Emacs実行可能形式からシステム名やビルド日時などの詳細を取り除き、そのビルドがより決定論的になります。このスイッチによりsystem-nameのようなコマンドはnilをリターンするようになるので、これは通常(またはインタラクティブ)の使用を意図していません。

-q
--no-init-file

初期化ファイルをロードしません(Init Fileを参照してください)。Emacsがこのオプションで呼び出された場合、Customize機能は、保存のオプションを受け付けません(Easy Customizationを参照してください)。このオプションはsite-start.elのロードは無効にしません。

--no-site-file
-nsl

site-start.elをロードしません(Init Fileを参照してください)。‘-Q’オプションもこれを行ないますが、‘-q’のような他のオプションはこれを行ないません。

--no-site-lisp

load-pathsite-lispディレクトリーを含めません(Init Fileを参照してください)。‘-Q’オプションもこれを行ないます。

--no-splash

スタートアップ画面を表示しません。初期化ファイルで変数inhibit-startup-screenを非nilにセットしても、この効果を得ることができます(Entering Emacsを参照してください)。

--no-x-resources

Xリソースをロードしません。初期化ファイルで変数inhibit-x-resourcestにセットしても、この効果を得ることができます(Resourcesを参照してください)。

-Q
--quick

最小のカスタマイズでEmacsを開始します。これは‘-q’、‘--no-site-file’、‘--no-site-lisp’、‘--no-x-resources’、‘--no-splash’を一緒に使用したのと同様です。

-daemon
--daemon[=name]
--bg-daemon[=name]
--fg-daemon[=name]

Emacsをデーモンとして開始します。これはフレームをオープンせずに、Emacsサーバーを開始します。その後にemacsclientコマンドを使用して、編集のためにEmacsに接続できます(オプションでサーバーに明示的にnameを指定できる。これを行った際には、emacsclient呼び出し時に--socket-nameオプションで、同じnameを指定する必要があるだろう。emacsclient Optionsを参照されたい)。デーモンとしてのEmacsの使用についての情報は、Emacs Serverを参照してください。“バックグラウンド”のデーモンは端末から切り離され、バックグラウンドで実行されます(‘--daemon’は‘--bg-daemon’のエイリアス)。

--no-desktop

保存されたデスクトップをリロードしません。Saving Emacs Sessionsを参照してください。

-u user
--user=user

あなたの初期化ファイルのかわりに、userの初期化ファイルをロードします。23

--debug-init

initファイルのエラーにたいして、Emacs Lispデバッガーを有効にします。Entering the Debugger on an Error in The GNU Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。

--module-assertions

動的ロードモジュールを処理する際に、高価な正当性チェックを有効にします。これは、作成したモジュールがモジュールAPI仕様に従っているか検証したいモジュール作者を意図したものです。モジュール関連のassertが発生した場合、Emacsはabortします。Writing Dynamically-Loaded Modules in The GNU Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。

--dump-file=file

fileという名前のファイルからダンプされたEmacs状態をロードします。デフォルトではインストールされたEmacsはダンプ状態を、Emacsのインストールがアーキテクチャー依存のファイルを配置するディレクトリー内でemacs.pdmpという名前のファイルから探します。変数exec-directoryはそのディレクトリーの名前を保持します。emacsはEmacs実行可能ファイルの名前であり、通常は単なるemacsです(インストールせずにビルドしたディレクトリーsrcからEmacsを呼び出す際には実行可能形式のディレクトリーでダンプファイルを探す)。違う場所にダンプファイルのリネームや移動を行なった場合には、ファイルを探す場所をEmacsに指示するために、このオプションを使用できます。


Footnotes

(23)

このオプションはMS-Windowsでは効果がありません。


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