削除とは、テキストを消去してkillリングに保存しないという意味です。テキストを削除するたいていのEmacsコマンドは、1文字または空白文字しか消去しません。
前の文字を削除します。リージョンがアクティブのときは、リージョンのテキストを削除します(delete-backward-char
)。
次の文字を削除します。リージョンがアクティブのときは、リージョンのテキストを削除します(delete-forward-char
)。
次の文字を削除します(delete-char
)。
ポイントの周囲のスペースとタブを削除します(delete-horizontal-space
)。
スペースを1つ残して、ポイントの周囲のスペースとタブを削除します(just-one-space
)。
現在行の周囲の空行を削除します(delete-blank-lines
)。
行間にある改行をインデントと共に削除して2行を1行にします(delete-indentation
)。
基本的な削除コマンドDEL (delete-backward-char
)、delete
(delete-forward-char
)、C-d
(delete-char
)については既に説明しました。テキストの消去を参照してください。数引数を指定すると、指定した数の文字を削除します。リージョンがアクティブのとき、数引数に1を指定するか省略した場合、DELとdeleteは、リージョンのすべてのテキストを削除します。
他の削除コマンドは空白文字(スペース、タブ、改行)だけを削除するコマンドです。M-\
(delete-horizontal-space
)はポイントの前後にあるスペース文字とタブ文字をすべて削除します。プレフィックス引数を指定した場合には、ポイントの前にあるスペース文字とタブ文字を削除します。M-SPC
(just-one-space
)も同様のことを行いますが、以前に存在したスペースの個数に関わらず、(たとえ前はスペースが1個もなかったときでも)ポイントの前に1つのスペースを残します。数引数nを指定すると、nが正ならポイントの前にn個のスペース、nが負ならスペースとタブに加えて改行も削除してポイントの前に-n個のスペースを残します。just-one-space
をより柔軟にしたバージョンのように動作するコマンドがcycle-spacing
です。このコマンドは連続して呼び出すと、異なる処理を行います。1回目の呼び出しではjust-one-space
のように動作して、2回目はすべての空白文字、3回目の呼び出しでは元の空白文字を復元するのです。
C-x C-o
(delete-blank-lines
)は、現在行の下にあるすべての空行を削除します。現在行が空行のときは、現在行の上にあるすべての空行も削除します(空行を1つ、つまり現在行は残します)。単独の空行で実行するとその行を削除します。
M-^
(delete-indentation
)は、改行と周囲のスペース(通常1つのスペースを残す)を削除することにより、現在行とその上の行を結合します。M-^を参照してください。
コマンドdelete-duplicate-lines
は、リージョン内の重複した行を検索して、それぞれ1行を残して削除します。通常は重複した行の最初の行を残しますが、プレフィクス引数C-uを指定すると、最後の行を残します。プレフィクス引数C-u
C-uを指定すると、隣接した重複行だけを検索します。これは行がソート済みのとき効果的です。プレフィクス引数C-u C-u
C-uを指定すると、連続する空行は残します。