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初期化オプションは、Emacsセッションにたいするパラメーターを指定します。このセクションでは、より一般的な初期化オプションを説明します。いくつかのオプションは、厳密には以降のセクションで説明するXウィンドウシステムに関連したオプションです。
いくつかの初期化オプションは、初期化ファイルのロードに影響します。Emacsは通常、site-start.elが存在する場合は最初にそれをロードし、ユーザーの初期化ファイルが存在すれば次にそれをロードして、デフォルト初期化ファイルdefault.elが存在すれば最後にそれをロードします(Emacs初期化ファイルを参照してください)。それらのファイルのロードを抑制したり、それらのファイルを別のファイルで置き換えるオプションもあります。
他のことを行なう前にまず、カレントディレクトリーをdirectoryに変更します。これはEmacsが停止したのと同じディレクトリーで開始されるように、主にXでのセッション管理に使用されます。これによりデスクトップの保存と復元が簡単になります。
端末の入出力にdeviceをデバイスとして使用します。このオプションは暗に‘--no-window-system’を含みます。
Emacs初期フレームを開くために、Xウィンドウシステムとdisplayという名前のディスプレイを使用します。詳細は、ディスプレイ名の指定を参照してください。
環境変数DISPLAY
がセットされていても、ウィンドウシステムと直接やりとりしません。これはEmacsが、Emacsのすべての表示と出力のために、開始された端末を使用することを意味します。
Emacsをバッチモード(batch mode)で実行します。バッチモードは、シェルスクリプトやmakeファイルから、Emacs Lispで記述されたプログラムを実行するために使用されます。Lispプログラムを呼び出すには、‘-batch’オプションと併せて、1つ以上の‘-l’、‘-f’、‘--eval’を使用します(動作引数を参照してください)。使用例は、コマンド引数の例を参照してください。
バッチモードでは、Emacsは編集されるテキストを表示せず、C-zやC-cのような、標準の端末割り込みが通常の効果をもちます。通常はエコーエリアにメッセージをプリントするEmacs関数は、かわりに標準出力ストリーム(stdout
)、または標準エラーストリーム(stderr
)にメッセージをプリントします(正確に言うと、prin1
、princ
、print
のような関数はstdout
にプリントし、message
やerror
はstderr
にプリントします)。通常はミニバッファーからキーボード入力を読み取る関数は、かわりに端末の標準入力ストリーム(stdin
)から入力を受け取ります。
‘--batch’は暗に‘-q’(初期化ファイルをロードしません)を含みますが、それでもsite-start.elはロードされます。これはすべてのコマンドオプションを処理した後に、Emacsを終了します。それに加えて、自動保存が明示的に要求された場合を除き、自動保存を無効にします。また自動保存が要求されていない場合は、ファイルの保存でのfsync
システムコールを省略します。
‘--batch’でEmacsを実行中に発生したエラーでは、Emacs
Lispのバックトレースがプリントされます。この動作を無効にするにはbacktrace-on-error-noninteractive
にnil
をセットしてください。
‘--batch’と同様に、Emacsをバッチモードで実行してから、fileのLispコードを読み込み実行します。
このオプションは通常、Emacsを実行する実行可能スクリプトの中で使用します。これは以下のテキストを最初の行に記述します:
#!/usr/bin/emacs --script
これは‘--script’でEmacsを呼び出し、スクリプトファイル名はfileです。それからEmacs Lispは最初の行の‘#!’をコメント区切りとして扱います。
このオプションは実行可能なスクリプトファイルにのみ使用でき、以下のように呼び出す必要があります:
#!/usr/bin/emacs -x
‘--script’と同様ですが(--quick
のように)initファイルのロードを抑止します。また通常のコマンドラインとして使うことはできません(ロードするスクリプトを指定できないので)。更にスクリプトの終端に達するとEmacsをexitするとともに、最後のフォームの値が最後の値が数値ならその値、そうでなければ常に0をそのスクリプトのexit値として使用します。このような場合にEmacsがLispコードを読み込む際には、すべてのファイルローカル変数(最初の行、およびファイル終端近傍のローカル変数セクションの両方:
ファイル変数の指定を参照のこと)が無視されることに注意してください。
Emacs実行可能形式からシステム名やビルド日時などの詳細を取り除き、そのビルドがより決定論的になります。このスイッチによりsystem-name
のようなコマンドはnil
をリターンするようになるので、これは通常(またはインタラクティブ)の使用を意図していません。
初期化ファイルをロードしません(Emacs初期化ファイルを参照してください)。Emacsがこのオプションで呼び出された場合、Customize機能は、保存のオプションを受け付けません(Easy Customizationインターフェースを参照してください)。このオプションはsite-start.elのロードは無効にしません。
site-start.elをロードしません(Emacs初期化ファイルを参照してください)。‘-Q’オプションもこれを行ないますが、‘-q’のような他のオプションはこれを行ないません。
load-path
にsite-lispディレクトリーを含めません(Emacs初期化ファイルを参照してください)。‘-Q’オプションもこれを行ないます。
Emacsのinitファイルを探す際に使用するディレクトリーを指定します。
スタートアップ画面を表示しません。初期化ファイルで変数inhibit-startup-screen
を非nil
にセットしても、この効果を得ることができます(Emacsの起動を参照してください)。
Xリソースをロードしません。初期化ファイルで変数inhibit-x-resources
をt
にセットしても、この効果を得ることができます(Xリソースを参照してください)。
最小のカスタマイズでEmacsを開始します。これは‘-q’、‘--no-site-file’、‘--no-site-lisp’、‘--no-x-resources’、‘--no-splash’を一緒に使用したのと同様です。
Emacsをデーモンとして開始します。これはフレームをオープンせずに、Emacsサーバーを開始します。その後にemacsclient
コマンドを使用して、編集のためにEmacsに接続できます(オプションでサーバーに明示的にnameを指定できる。これを行った際には、emacsclient
呼び出し時に--socket-nameオプションで、同じnameを指定する必要があるだろう。emacsclient
のオプションを参照されたい)。デーモンとしてのEmacsの使用についての情報は、サーバーとしてのEmacsの使用を参照してください。“バックグラウンド”のデーモンは端末から切り離され、バックグラウンドで実行されます(‘--daemon’は‘--bg-daemon’のエイリアス)。
保存されたデスクトップをリロードしません。Emacsセッションの保存を参照してください。
あなたの初期化ファイルのかわりに、userの初期化ファイルをロードします。26
initファイルのエラーにたいして、Emacs Lispデバッガーを有効にします。Entering the Debugger on an Error in The GNU Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。
動的ロードモジュールを処理する際に、高価な正当性チェックを有効にします。これは、作成したモジュールがモジュールAPI仕様に従っているか検証したいモジュール作者を意図したものです。モジュール関連のassertが発生した場合、Emacsはabortします。Writing Dynamically-Loaded Modules in The GNU Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。
fileという名前のファイルからダンプされたEmacs状態をロードします。デフォルトではインストールされたEmacsはダンプ状態を、Emacsのインストールがアーキテクチャー依存のファイルを配置するディレクトリー内でemacs.pdmpという名前のファイルから探します。変数exec-directory
はそのディレクトリーの名前を保持します。emacsはEmacs実行可能ファイルの名前であり、通常は単なるemacsです(インストールせずにビルドしたディレクトリーsrcからEmacsを呼び出す際には実行可能形式のディレクトリーでダンプファイルを探す)。違う場所にダンプファイルのリネームや移動を行なった場合には、ファイルを探す場所をEmacsに指示するために、このオプションを使用できます。
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