さまざまなプログラムが、特定のテキスト断片を編集するために、あなたが選択したエディターを呼び出すことができます。たとえば、バージョンコントロールシステム(バージョンコントロールを参照してください)は、バージョンコントロールログを入力するためのエディターを呼び出し、Unixのmail
ユーティリティーは送信メッセージの入力にエディターを呼び出します。慣例により、選択するエディターは、環境変数EDITOR
で指定されます。しかしEDITOR
を‘emacs’にセットした場合、Emacsが呼び出されますが、これは便利な方法ではありません
—
なぜなら新しいEmacsプロセスが開始されるからです。なぜこれが不便かというと、新たなEmacsプロセスは、既存のEmacsプロセスのバッファー、コマンドヒストリー、その他の情報を共有しないからです。
Emacsをedit server(編集サーバー)としてセットアップして、Emacsが外部からの編集リクエストを“listen”し、それに応じて動作させることにより、この問題を解決できます。Emacsサーバーを開始するにはさまざまな方法があります:
(server-start)
を記述して、既存のEmacsプロセスでコマンドserver-start
を実行します。既存のEmacsプロセスがサーバーになり、Emacsを終了すると、サーバーはそのEmacsプロセスとともに終了します。
server-start
を呼び出して、初期フレームを開きません。その後クライアントからの編集リクエストをwaitします。
emacsclient
を実行します。Emacsデーモンがまだ実行されていない場合に限りEmacsデーモンを開始します。
systemd
を使用する場合、提供されるsystemdユニットファイル(systemd
unit file)を使用して、ログイン時に自動的にデーモンモードのEmacsを開始できます。これをアクティブにするには:
systemctl --user enable emacs
(Emacsが標準的な場所にインストールされていない場合は、~/.config/systemd/user/のような標準的なディレクトリーにemacs.serviceをコピーする必要があるかもしれません。)
systemd
のソケット機能です。systemd
サービスはソケットを作成して、そのソケットへの接続をlistenします。emacsclient
が最初にこれに接続したとき、emacsclient
による接続のために、systemd
はEmacsサーバーを起動して、そのソケットを渡すことができます。emacsclient
が最初にこれに接続したとき、emacsclient
による接続のために、systemd
はEmacsサーバーを起動して、そのソケットを渡すことができます。この機能を使用するためのセットアップは:
~/.config/systemd/user/emacs.socket:
[Socket] ListenStream=/path/to/.emacs.socket DirectoryMode=0700 [Install] WantedBy=sockets.target
(上述のファイルemacs.serviceもインストールされていなければなりません。)
パスListenStream
は、Emacsがemacsclient
からの接続をlistenするパスです。これは、あなたが選択するファイルです。
Emacsサーバーを一度開始すると、emacsclient
というシェルコマンドを使用してEmacsに接続して、ファイルをvisitするよう指示できます。環境変数EDITOR
に‘emacsclient’をセットすれば、外部プログラムは編集のために既存のEmacsプロセスを使用できます。23
変数server-name
を使って、一意なサーバー名を与えることにより、同一マシン上で複数のEmacsサーバーを実行することができます。たとえばM-x
set-variable RET server-name RET "foo"
RETは、サーバー名を‘foo’にセットします。emacsclient
プログラムはTCPソケット使用の有無に応じて‘-s’オプション、または‘-f’オプション(emacsclient
のオプションを参照)で、名前によりサーバーを指定できます(emacsclient
のオプションを参照)。
複数のEmacsデーモン(初期化オプションを参照)を実行したい場合には、以下のようにデーモンごとにそれぞれ独自のサーバー名を与えることができます:
emacs --daemon=foo
オプションとして特定の条件が満足された際に、Emacsサーバーを自動的に停止できます。これを行うには、以下のいずれかのオプションをserver-stop-automatically
にセットしてください:
empty
この値はクライアント、ファイルをvisitしている未保存のバッファー、実行中プロセスがすべて無くなるとサーバーを停止します。
delete-frame
この値は最後のクライアントフレームが閉じられる際にファイルをvisitしている未保存のバッファーを保存するか、終了していないプロセスそれぞれについて停止してよいか尋ねて、問題なければサーバーを停止します。
kill-terminal
この値はC-x C-c
(save-buffers-kill-terminal
)で最後のクライアントフレームが閉じられる際に、ファイルをvisitしている未保存のバッファーを保存するか、終了していないプロセスそれぞれについて停止してよいか尋ねて問題なければサーバーを停止します。
一意なサーバー名によりサーバーを定義した場合、他のEmacsインスタンスからそのサーバーに接続し、server-eval-at
関数を使用して、そのサーバーでLisp式を評価できます。たとえば(server-eval-at
"foo" '(+ 1 2))
は、式(+ 1
2)
をサーバー‘foo’で評価して、3
を返します(そのような名前のサーバーが存在しない場合はエラーをシグナルします)。現在のところ、これは主に開発者に有用な機能です。
オペレーティングシステムのデスクトップ環境がfreedesktop.org-compatible
(これはほとんどのGNU/Linuxやその他の最近のUnix風GUIが該当する)なら、emacsclient
でEmacsサーバーに接続するために‘Emacs
(Client)’メニューエントリーを使用できます。デーモンがすでに実行中でなければ開始されます。
別の環境変数を使うプログラムもいくつかあります。たとえば、TeXが‘emacsclient’を使うようにするには、環境変数TEXEDIT
を‘emacsclient
+%d %s’にセットします。