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キーマップは他のキーマップを継承することができ、この継承元のキーマップを親キーマップ(parent keymap)と呼びます。そのようなキーマップは以下のようなキーマップです:
(keymap elements… . parent-keymap)
これにはそのキーマップのキールックアップ時にparent-keymapのすべてのバインディングを継承するものの、それらにバインディングを追加したりelementsでオーバーライドできるという効果があります。
define-key
や他のキーバインディング関数を使用してparent-keymap内のバインディングを変更すると、変更されたバインディングはelementsで作られたバインディングにshadowされない限り継承されたキーマップ内で可視になります。逆は真ではありません。define-key
を使用して継承されたキーマップ内のバインディングを変更すると、これらの変更はelements内に記録されますがparent-keymapに影響はありません。
親キーマップからキーマップを構築するにはset-keymap-parent
を使用するのが正しい方法です。親キーマップから直接キーマップを構築するコードがあるなら、かわりにset-keymap-parent
を使用するようにプログラムを変更してください。
これはkeymapの親キーマップをリターンする。keymapに親キーマップがなければkeymap-parent
はnil
をリターンする。
これはkeymapの親キーマップをparentにセットしてparentをリターンする。parentがnil
ならこの関数はkeymapに親キーマップを与えない。
keymapがサブマップ(プレフィクスキーにたいするバインディング)をもつ場合は、それらも新たな親キーマップを受け取ってそれらのプレフィクスキーにたいしてparentが何を指定するかが反映される。
以下はtext-mode-map
から継承してキーマップを作成する方法を示す例です:
(let ((map (make-sparse-keymap))) (set-keymap-parent map text-mode-map) map)
非sparseキーマップも親キーマップをもつことができますが便利とは言えません。非sparseキーマップは修飾ビットをもたないすべての数値文字コードにたいするバインディングとして、たとえそれがnil
であっても常に何かを指定するので、これらの文字のバインディングが親キーマップから継承されることは決してないのです。
複数のマップからキーマップを継承したいときがあるかもしれません。これにたいして関数make-composed-keymap
が使用できます。
この関数は既存のキーマップから構成される新たなキーマップをリターンする。またオプションで親キーマップparentから継承を行う。mapsには単一のキーマップ、または複数のキーマップのリストを指定できる。リターンされた新たなマップ内でキーをルックアップするとき、Emacsはmaps内のキーマップを順に検索してからparent内を検索する。この検索は最初のマッチで停止する。mapsのいずれか1つのキーマップ内のnil
バインディングは、parent内のすべてのバインディングをオーバーライドするが、mapsにないキーマップの非nil
なバインディングはオーバーライドしない。
たとえば以下はbutton-buffer-map
とspecial-mode-map
の両方を継承するhelp-mode-map
のようなキーマップの親キーマップをEmacsがセットする方法です:
(defvar help-mode-map (let ((map (make-sparse-keymap))) (set-keymap-parent map (make-composed-keymap button-buffer-map special-mode-map)) ... map) ... )