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E.9.2 ウィンドウの内部

ウィンドウのフィールドには以下が含まれます(完全なリストはwindow.hstruct windowを参照):

frame

そのウィンドウがあるフレーム(Lispオブジェクト)。

mini

そのウィンドウがミニバッファーウィンドウ、ミニバッファーかエコーエリアを表示しているウィンドウなら非0。

pseudo_window_p

そのウィンドウが疑似ウィンドウ(pseudo window)なら非0。疑似ウィンドウとはメニューバーかツールバーの表示に使用されているウィンドウ(自身のメニューバーうあツールバーを表示しないツールキットをEmacsが使用している場合)、またはツールチップフレーム上でツールチップを表示しているウィンドウのいずれか。一般的には疑似ウィンドウはLispコードからアクセスできない。

parent

Emacsは内部的にウィンドウをツリーにアレンジする。ウィンドウの兄弟グループは、そのエリアがすべての兄弟を含むような親ウィンドウをもつ。このフィールドはツリー内でのウィンドウの親をLispオブジェクトとして指す。これはツリーのルートウィンドウとミニバッファーウィンドウでは常にnil

親ウィンドウはバッファーを表示せず、子ウィンドウ形成を除いて表示では少ししか役割を果たさない。Emacs Lispプログラムは親ウィンドウを直接操作できない。Emacs Lispプログラムでは実際にバッファーを表示するツリーの子ノードのウィンドウにたいして操作を行う。

contents

リーフウィンドウ(leaf window)およびツールチップを表示中のウィンドウでは、そのウィンドウが表示しているLispオブジェクトとしてのバッファー、内部ウィンドウ(“親”ウィンドウ)では最初の子ウィンドウ、メニューバーやツールバーを表示している疑似ウィンドウではnil、削除されたウィンドウでもnil

next
prev

そのウィンドウの次の兄弟と前の兄弟(Lispオブジェクト)。自身のグループ内でそのウィンドウが右端か下端ならnextnil。自身のグループ内でそのウィンドウが左端か上端ならprevnil。兄弟が左右あるいは上下であるかは兄弟の親のhorizontalフィールドで判断される。これが非0なら兄弟は水平に配置されている。

特別なケースとしてミニバッファーのみのフレームやミニバッファーなしのフレームでなければ、フレームのルートウィンドウのnextは、そのフレームのミニバッファーウィンドウを指す。そのようなフレームのミニバッファーウィンドウのprevは、そのフレームのルートウィンドウを指す。それ以外の場合にはルートウィンドウのnextフィールド、および(もしあれば)ミニバッファーのprevフィールドはnil

left_col

そのウィンドウの左端をウィンドウのネイティブフレームの最左列(列0)から相対的に数えた列数。

top_line

そのウィンドウの上端をウィンドウのネイティブフレームの最上行(行0)から相対的に数えた行数。

pixel_left
pixel_top

そのウィンドウの左側上端をウィンドウのネイティブフレームの左上隅(0, 0)から相対的に計測したピクセル数。

total_cols
total_lines

列数または行数で数えた、そのウィンドウの幅または高さの合計。値にはスクロールバーとフリンジ、ディバイダー、および/または(もしあれば)ウィンドウ右側のセパレーターラインが含まれる。

pixel_width;
pixel_height;

ピクセルで計測したウィンドウの幅または高さの合計。

start

そのウィンドウ内に表示されるバッファーで、ウィンドウに最初(ロジカル順。Bidirectional Displayを参照)に表示される文字の位置を指すマーカー。

pointm

これはウィンドウが選択されているときのカレントバッファーのポイント値。選択されていなければ前の値が保たれる。

old_pointm

最後の再表示時のpointmの値。

force_start

このフラグが非nilならLispプログラムによりそのウィンドウが明示的にスクロールされたことを示し、再表示のためにウィンドウのstartの値がセットされる。これはポイントがスクリーン外の場合の次回再表示に影響を与える。影響とはポイント周辺のテキストを表示するためにウィンドウをスクロールするかわりに、スクリーン上にある位置にポイントを移動するというものである。

optional_new_start

これはforce_startと同様だが、次回表示ではポイントが可視の場合のみしたがう。

start_at_line_beg

nilstartのカレント値がウィンドウ選択時に先頭行だったことを意味する。

use_time

これはウィンドウが最後に選択された時刻。関数get-lru-windowはこの値を使用する。

sequence_number

そのウィンドウ作成時に割り当てられた一意な番号。

last_modified

前回のそのウィンドウの再表示完了時のウィンドウのバッファーのmodiffフィールド。

last_overlay_modified

前回のウィンドウの再表示完了時のウィンドウのバッファーのoverlay_modiffフィールド。

last_point

前回のウィンドウの再表示完了時のウィンドウのバッファーのポイント値。

last_had_star

非0値はウィンドウが最後に更新されたとき、そのウィンドウのバッファーが変更されたことを意味する。

vertical_scroll_bar_type
horizontal_scroll_bar_type

そのウィンドウの垂直スクロールバーおよび水平スクロールバーのタイプ。

scroll_bar_width
scroll_bar_height

そのウィンドウの垂直スクロールバーの幅および水平スクロールバーの高さ(ピクセル単位)。

left_margin_cols
right_margin_cols

そのウィンドウの左マージンと右マージンの幅。値0はマージンがないことを意味する。

left_fringe_width
right_fringe_width

そのウィンドウの左フリンジと右フリンジのピクセル幅。値-1はフレームの値の使用を意味する。

fringes_outside_margins

非0値はディスプレーマージン外側のフリンジ、それ以外ならフリンジはマージンとテキストの間にあることを意味する。

window_end_pos

これはzから、そのウィンドウのカレントマトリクス内の最後のグリフのバッファー位置を減じて算出される。この値はwindow_end_validが非0のときだけ有効である。

window_end_bytepos

window_end_posに対応するバイト位置。

window_end_vpos

window_end_posを含む行のウィンドウに相対的な垂直位置。

window_end_valid

このフィールドはwindow_end_posおよびwindow_end_vposが真に有効なら非0値にセットされる。これは重要な再表示が先に割り込んだ場合には、window_end_posを算出した表示がスクリーン上に出現しなくなるので0になる。

cursor

そのウィンドウ内でカーソルがどこにあるかを記述する構造体。

last_cursor_vpos

最後の再表示完了時にカーソルを表示していた行の、ウィンドウに相対的な垂直位置。

phys_cursor

そのウィンドウのカーソルが物理的にどこにあるかを記述する構造体。

phys_cursor_type
phys_cursor_height
phys_cursor_width

そのウィンドウの最後の表示でのカーソルのタイプ、高さ、幅。

phys_cursor_on_p

このフィールドはカーソルが物理的にオンなら非0。

cursor_off_p

非0はそのウィンドウのカーソルが論理的にオフであることを意味する。これはカーソルの点滅に使用される。

last_cursor_off_p

このフィールドは最後の再表示時のcursor_off_pの値を含む。

must_be_updated_p

これはウィンドウを更新しなければならないとき、再表示の間は1にセットされる。

hscroll

これはウィンドウ内の表示が左へ水平スクロールされている列数。通常は0。カレント行だけが水平スクロールされている際には、カレント行がどれだけ左へ水平スクロールされているかを示す。

min_hscroll

set-window-hscrollを通じてユーザーがセットするhscrollの最小値(Horizontal Scrollingを参照)。カレント行だけが水平スクロールされている際には、カレント行以外の行がどれだけ左へ水平スクロールされているかを示す。

vscroll

ピクセル単位での垂直スクロール量。これは通常は0。

dedicated

そのウィンドウがそれのバッファー専用(dedicated)なら非nil

combination_limit

このウィンドウの組み合わせ限界は親ウィンドウにとってのみ意味がある。これがtならそのウィンドウの削除は許されず、そのウィンドウの他の兄弟と子ウィンドウを再組み合わせする。

window_parameters

そのウィンドウのパラメーターのalist。

display_table

そのウィンドウのディスプレーテーブル、何も指定されていなければnil

update_mode_line

非0はウィンドウのモードラインの更新が必要なことを意味する。

mode_line_height
header_line_height

モードラインおよびヘッダーラインのピクセル高さ、不明なら-1。

base_line_number

そのバッファーの特定の位置の行番号か0。これはモードラインでポイントの行番号を表示するために使用される。

base_line_pos

行番号が既知であるバッファー位置、不明なら0。これが-1なら、そのウィンドウがバッファーを表示するかぎり行番号は表示されない。

column_number_displayed

そのウィンドウのモードラインに表示されているカレント列番号、列番号が表示されていなければ-1。

current_matrix
desired_matrix

そのウィンドウのカレント、および望まれる表示を記述するグリフ。