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15.1 一般的なキーワードアイテム

以降のセクションで説明するカスタマイゼーション宣言(customization declaration) — defcustomdefgroupなどはすべてさまざまな情報を指定するためのキーワード引数(Constant Variablesを参照)を受け取ります。このセクションではカスタマイゼーション宣言のすべての種類に適用されるキーワードを説明します。

:tag以外のすべてのキーワードは、与えられたアイテムにたいして複数回使用できます。キーワードの使用はそれぞれ独立した効果をもちます。例外は:tagで、これはすべての与えられたアイテムは1つの名前だけを表示できるからです。

:tag label

labelを使用すると、カスタマイゼーションメニュー(customization menu)とカスタマイゼーションバッファー(customization buffer)のアイテムのラベルづけに、そのアイテムの名前のかわりに指定された文字列を使用します。混乱を招くのでそのアイテムの実際の名前と大きく異なる名前は使用しないでください

:group group

このカスタマイゼーションアイテムをグループgroupにputする。カスタマイゼーションアイテムからこのキーワードが欠落していると、アイテムは最後に定義された同じグループ内に配置されるだろう。

defgroup内で:groupを使用すると、そのアイテムは新しいグループ(:groupのサブグループ)になる。

このキーワードを複数回使用すると、1つのアイテムを複数のグループに配置することができる。それらのグループのいずれかを表示すると、このアイテムが表示される。煩雑になるので多用しないこと。

:link link-data

このアイテムのドキュメント文字列の後に外部リンクを含める。これは他のドキュメントを参照するセンテンスを含んだボタンである。

link-dataに使用できる複数の選択肢がある:

(custom-manual info-node)

infoノードへのリンク。info-node"(emacs)Top"のような、ノード名を示す文字列である。このリンクはカスタマイゼーションバッファーの‘[Manual]’に表示され、info-nodeにたいしてビルトインのinfoリーダーを起動する。

(info-link info-node)

custom-manualと同様だが、カスタマイゼーションバッファーにはそのinfoノード名が表示される。

(url-link url)

ウェブページヘのリンク。urlURLを指定する文字列である。カスタマイゼーションバッファーに表示されるリンクはbrowse-url-browser-functionで指定されたWWWブラウザーを呼び出す。

(emacs-commentary-link library)

ライブラリーのコメントセクション(commentary section)へのリンク。libraryはライブラリー名を指定する文字列である。Library Headersを参照のこと。

(emacs-library-link library)

Emacs Lispライブラリーファイルへのリンク。libraryはライブラリー名を指定する文字列である。

(file-link file)

ファイルへのリンク。fileはユーザーがこのリンクを呼び出したときにfind-fileでvisitするファイルの名前を指定する文字列である。

(function-link function)

関数のドキュメントへのリンク。functionはユーザーがこのリンクを呼び出したときにdescribe-functionで説明を表示する関数の名前を指定する文字列である。

(variable-link variable)

変数のドキュメントへのリンク。variableはユーザーがこのリンクを呼び出したときにdescribe-variableで説明を表示する変数の名前を指定する文字列である。

(custom-group-link group)

他のカスタマイゼーショングループへのリンク。このリンクを呼び出すことによりgroupにたいする新たなカスタマイゼーションバッファーが作成される。

link-dataの1つ目の要素の後に:tag nameを追加することにより、カスタマイゼーションバッファーで使用するテキストを指定できます。たとえば(info-link :tag "foo" "(emacs)Top")は、そのバッファーで‘foo’と表示されるEmacs manualへのリンクを作成します。

複数のリンクを追加するために、このキーワードを複数回使用することができます。

:load file

そのカスタマイゼーションアイテムを表示する前にファイルfileをロードする(Loadingを参照)。ロードはloadにより行われ、そのファイルがまだロードされていないときだけロードを行う。

:require feature

保存したカスタマイゼーションがこのアイテム値をセットするとき、(require 'feature)が実行される。featureはシンボル。

:requireを使用するもっとも一般的な理由は、ある変数がマイナーモードのような機能を有効にするとき、そのモードを実装するコードがロードされていなければ、変数のセットだけでは効果がないからである。

:version version

このキーワードはそのアイテムが最初に導入されたEmacsバージョンversionか、そのアイテムのデフォルト値がそのバージョンで変更されたことを指定する。値versionは文字列でなければならない。

:package-version '(package . version)

このキーワードはそのアイテムが最初に導入されたpackageのバージョンversionか、アイテムの意味(またはデフォルト値)が変更されたバージョンを指定する。このキーワードは:versionより優先される。

packageにはそのパッケージの公式名をシンボルとして指定すること(たとえばMH-E)。versionには文字列であること。パッケージpackageがEmacsの一部としてリリースされたなら、packageversionの値はcustomize-package-emacs-version-alistの値に表示されるはずである。

Emacsの一部として配布された:package-versionキーワードを使用するパッケージは、customize-package-emacs-version-alist変数も更新しなければなりません。

Variable: customize-package-emacs-version-alist

これは:package-versionキーワード内でリストされたパッケージのバージョンに関連付けられたEmacsのバージョンにたいして、マッピングを提供するalistである。このalistの要素は:

(package (pversion . eversion)…)

それぞれのpackage(シンボル)にたいして、パッケージバージョンpversionを含む1つ以上の要素と、それに関連付けられるEmacsバージョンeversionが存在する。これらのバージョンは文字列である。たとえばMH-Eパッケージは以下によりalistを更新する:

(add-to-list 'customize-package-emacs-version-alist
             '(MH-E ("6.0" . "22.1") ("6.1" . "22.1") ("7.0" . "22.1")
                    ("7.1" . "22.1") ("7.2" . "22.1") ("7.3" . "22.1")
                    ("7.4" . "22.1") ("8.0" . "22.1")))

packageの値は一意である必要があり、:package-versionキーワード内に現れるpackageの値とマッチする必要がある。おそらくユーザーはエラーメッセージからこの値を確認するので、MH-EやGnusのようなパッケージの公式名を選択するのがよいだろう。