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29.25 ディスプレー機能のテスト

このセクションの関数は特定のディスプレイの基本的な能力を説明します。Lispプログラムはそのディスプレイが行えることに挙動を合わせるために、それらを使用できます。たとえばポップアップメニューがサポートされなければ、通常はポップアップメニューを使用するプログラムはミニバッファーを使用できます。

これらの関数のオプション引数displayは問い合わせるディスプレイを指定します。これにはディスプレイ名、フレーム(フレームがあるディスプレイを指定)、またはnil (選択されたフレームのディスプレイを参照する。Input Focusを参照)を指定できます。

ディスプレイに関する情報を取得するその他の関数についてはColor Namesを参照してください。

Function: display-popup-menus-p &optional display

この関数はdisplay上でポップアップメニューがサポートされていればt、それ以外はnilをリターンする。Emacsディスプレイのある部分をマウスでクリックすることによりメニューがポップアップするので、ポップアップメニューのサポートにはマウスが利用可能であることが要求される。

Function: display-graphic-p &optional display

この関数はdisplayが一度に複数フレームおよび複数の異なるフォントを表示する能力を有すグラフィックディスプレイならtをリターンする。これはXのようなウィンドウシステムのディスプレイにたいしては真、テキスト端末にたいしては偽となる。

Function: display-mouse-p &optional display

この関数はdisplayでマウスが利用可能ならt、それ以外はnilをリターンする。

Function: display-color-p &optional display

この関数はそのスクリーンがカラースクリーンならtをリターンする。これは以前はx-display-color-pと呼ばれており、その名前はエイリアスとして今でもサポートされる。

Function: display-grayscale-p &optional display

この関数はスクリーンがグレースケールを表示可能ならtをリターンする(カラーディスプレイはすべてこれを行うことができる)。

Function: display-supports-face-attributes-p attributes &optional display

この関数はattributes内のすべてのフェイス属性がサポートされていれば非nilをリターンする(Face Attributesを参照)。

幾分発見的ではあるが“サポートされる”という言葉は、基本的にはあるフェイスがattributes内のすべての属性を含み、ディスプレイにたいしてデフォルトフェイスにマージ時に、

  1. デフォルトフェイスとは異なる外見で表示でき、かつ
  2. 指定した属性と正確に一致しない場合はより近い(close in spirit)外見で表示する

2つ目のポイントによると属性:weight blackは太字(bold)表示可能、同様に属性:foreground "yellow"は黄色がかった何らかのカラーを表示可能なすべてのディスプレイで満たされるだろうが、属性:slant italicは斜体(italic)を自動的に淡色(dim)に置き換えるttyの表示コードでは満たされないであろうことを暗示している。

Function: display-selections-p &optional display

この関数はdisplayが選択(selections)をサポートすればtをリターンする。ウィンドウ化されたディスプレイでは通常は選択がサポートされるが、他の場合にもサポートされ得る。

Function: display-images-p &optional display

この関数はdisplayがイメージを表示可能ならtをリターンする。ウィンドウ化されたディスプレイは原則イメージを処理するが、イメージにたいするサポートを欠くシステムもいくつかある。イメージをサポートしないディスプレイ上ではEmacsはツールバーを表示できない。

Function: display-screens &optional display

この関数はそのディスプレイに割り当てられたスクリーンの数をリターンする。

Function: display-pixel-height &optional display

この関数はスクリーンの高さをピクセルでリターンする。文字端末では文字数で高さを与える。

マルチモニターにセットアップされているグラフィカル端末では、displayに割り当てられたすべての物理モニターのピクセル幅を参照することに注意。Multiple Terminalsを参照のこと。

Function: display-pixel-width &optional display

この関数はスクリーンの幅をピクセルでリターンする。文字端末では文字数で幅を与える。

マルチモニターにセットアップされているグラフィカル端末では、displayに割り当てられたすべての物理モニターのピクセル幅を参照することに注意。Multiple Terminalsを参照のこと。

Function: display-mm-height &optional display

この関数はスクリーンの高さをミリメートルでリターンする。nilならEmacsがその情報を取得できなかったことを意味する。

マルチモニターにセットアップされているグラフィカル端末では、displayに割り当てられたすべての物理モニターのピクセル幅を参照することに注意。Multiple Terminalsを参照のこと。

Function: display-mm-width &optional display

この関数はスクリーンの幅をミリメートルでリターンする。nilならEmacsがその情報を取得できなかったことを意味する。

マルチモニターにセットアップされているグラフィカル端末では、displayに割り当てられたすべての物理モニターのピクセル幅を参照することに注意。Multiple Terminalsを参照のこと。

User Option: display-mm-dimensions-alist

この変数はシステムの提供する値が不正な場合にdisplay-mm-heightdisplay-mm-widthがリターンするグラフィカルなディスプレイのサイズをユーザーが指定できるようにする。

Function: display-backing-store &optional display

この関数はそのディスプレイのバッキングストアー(backing store)の能力をリターンする。バッキングストアーとは非露出ウィンドウ(およびウィンドウの一部)のピクセルを記録しておいて、露出時に素早く表示できるようにすることを意味する。

値はシンボルalwayswhen-mappednot-useful。特定の種類のディスプレイにたいしてこの問いが適用外の際には、この関数はnilをリターンすることもある。

Function: display-save-under &optional display

この関数はそのディスプレイがSaveUnder機能をサポートすれば非nilをリターンする。この機能はポップアップウィンドウに隠されるピクセルを保存して素早くポップダウンができるようにするために使用される。

Function: display-planes &optional display

この関数はそのディスプレイがサポートする平面数(number of planes)をリターンする。これは通常はピクセルごとのビット数(bits per pixel: 色深度[bpp])。ttyディスプレイではサポートされるカラー数の2進対数(log to base two)。

Function: display-visual-class &optional display

この関数はそのスクリーンのビジュアルクラスをリターンする。値はシンボルstatic-gray (カラー数変更不可の限定されたグレイ)、gray-scale (フルレンジのグレイ)、static-color (カラー数変更不可の限定されたカラー)、pseudo-color (限定されたカラー数のカラー)、true-color (フルレンジのカラー)、およびdirect-color (フルレンジのカラー)のいずれか。

Function: display-color-cells &optional display

この関数はそのスクリーンがサポートするカラーのセル数をリターンする。

以下の関数はEmacsが指定されたdisplayを表示する場所に使用されるウィンドウシステムの追加情報を取得します(関数名先頭のx-は歴史的理由による)。

Function: x-server-version &optional display

この関数はGNUおよびUnixシステム上のXサーバーのような、display上で実行されているGUIウィンドウシステムのバージョン番号のリストをリターンする。値は3つの整数からなるリストで、1つ目と2つ目の整数はそのプロトコルのメジャーバージョン番号とマイナーバージョン番号、3つ目の整数はウィンドウシステムソフトウェア自体のディストリビューター固有のリリース番号。GNUおよびUnixシステムでは、通常これらはXプロトコルのバージョン番号と、Xサーバーソフトウェアのディストリビューター固有のリリース番号。MS-WindowsではWidowsのOSバージョン番号。

Function: x-server-vendor &optional display

この関数はウィンドウシステムソフトウェアを提供するベンダー(文字列)をリターンする。GNUおよびUnixシステムでは、それが誰であれそのXサーバーを配布するベンダーを意味する。MS-WindowsではWidows OSのベンダーID文字列(Microsoft)。

X開発者がソフトウェア配布者を“vendors”とラベル付けしたことは、いかなるシステムも非商業的に開発および配布できないと彼らが誤って仮定したことを示している。