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構文テーブルは、それぞれの文字の構文クラス(syntax class)やその他の構文的プロパティを照合するために使用できるデータ構造です。構文テーブルはテキストを横断したスキャンや移動のためにLispプログラムから使用されます。
構文テーブルは内部的には文字テーブルです(Char-Tablesを参照)。インデックスcの要素はコードcの文字を記述します。値は該当する文字の構文を指定するコンスセルです。詳細はSyntax Table Internalsを参照してください。しかし構文テーブルの内容を変更や確認するためにaset
やaref
を使用するかわりに、通常は高レベルな関数char-syntax
やmodify-syntax-entry
を使用するべきです。これらについてはSyntax Table Functionsで説明します。
この関数はobjectが構文テーブルならt
をリターンする。
バッファーはそれぞれ自身のメジャーモードをもち、それぞれのメジャーモードはさまざまな文字の構文クラスにたいして独自の考えをもっています。たとえばLisモードでは文字‘;’はコメントの開始ですが、Cモードでは命令文の終端になります。これらのバリエーションをサポートするために、構文テーブルはそれぞれのバッファーにたいしてローカルです。一般的に各メジャーモードは自身の構文テーブルをもち、そのモードを使用するすべてのバッファーにそれがインストールされます。たとえば変数emacs-lisp-mode-syntax-table
はEmacsのLispモードが使用する構文テーブル、c-mode-syntax-table
はCモードが使用する構文テーブルを保持します。あるメジャーモードの構文テーブルを変更すると、そのモードのバッファー、およびその後でそのモードに置かれるすべてのバッファーの構文も同様に変更されます。複数の類似するモードが1つの構文テーブルを共有することがときおりあります。構文テーブルをセットアップする方法の例はExample Major Modesを参照してください。
別の構文テーブルから構文テールを継承(inherit)できます。これを親構文テーブル(parent syntax table)と呼びます。構文テーブルは、ある文字にたいして構文クラス“inherit”を与えることにより、構文クラスを未指定にしておくことができます。そのような文字は親構文テーブルが指定する構文クラスを取得します(Syntax Class Tableを参照)。Emacsは標準構文テーブル(standard syntax table)を定義します。これはデフォルトとなる親構文テーブルであり、Fundamentalモードが使用する構文テーブルでもあります。
この関数は標準構文テーブルをリターンする。これはFundamentalモードが使用する構文テーブルである。
Emacs Lispリーダーは変更不可な独自のビルトイン構文ルールをもつので、構文テーブルは使用しません(いくつかのLispシステムはリード構文を再定義する手段を提供するが、わたしたちは単純化のためこの機能をEmacs Lisp外部に留める決定をした)。