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EdebugがLispマクロを呼び出す式をインストルメントするときは、正しくインストルメントを行なうために、そのマクロに関して追加の情報が必要になります。これはマクロ呼び出しのどの部分式(subexpression)が評価されるフォームなのか推測する方法がないからです(評価はマクロのbodyで明示的に発生するかもしれないし、展開結果が評価されるとき、または任意のタイミングで行われるかもしれない)。
したがってEdebugが処理するかもしれないすべてのマクロにたいして、そのマクロの呼び出しフォーマットを説明するためのEdebug仕様(Edebug
specification)を定義しなければなりません。これを行なうにはマクロ定義にdebug
宣言を追加します。以下はマクロ例for
(Argument Evaluationを参照)にたいする簡単な仕様の例です。
(defmacro for (var from init to final do &rest body) "Execute a simple \"for\" loop. For example, (for i from 1 to 10 do (print i))." (declare (debug (symbolp "from" form "to" form "do" &rest form))) ...)
このEdebug仕様はマクロ呼び出しのどの部分が評価されるフォームなのかを示しています。単純なマクロにたいするEdebug仕様は、そのマクロ定義の正式な引数リストに酷似している場合がありますが、Edebug仕様はマクロ引数に比べてより汎的です。declare
フォームの詳細はDefining Macrosを参照してください。
コードをインストルメントするときEdebugに仕様が確実に解るように留意してください。別ファイルで定義されたマクロを使用する関数をインストルメントする場合には、関数を含むファイル内のrequire
フォームを評価するか、あるいはマクロを含むファイルを明示的にロードする必要があるかもしれません。マクロの定義がeval-when-compile
でラップされていれば、それを評価する必要があるでしょう。
def-edebug-spec
によりマクロ定義から個々のマクロにたいしてEdebug仕様を定義することもできます。Lispで記述されたマクロ定義にたいしてはdebug
宣言を追加するほうが好ましく便利でもありますが、def-edebug-spec
ではCで実装されたスペシャルフォームにたいしてEdebug仕様を定義することが可能になります。
マクロmacro呼び出しのどの式が評価される式かを指定する。specificationはEdebug仕様である。どちらの引数も評価されない。
引数macroには単なるマクロ名ではない、任意の実シンボルを指定できる。
以下はspecificationに指定できるシンボルと、引数を処理する方法のテーブルです。
t
すべての引数は評価のためにインストルメントされる。(body)
の省略形。
そのシンボルはかわりに使用されるEdebug仕様をもたなければならない。このインダイレクションは他の種類の仕様が見つかるまで繰り返される。これによって他のマクロの仕様を継承できる。
リストの要素はフォーム呼び出しの引数の型を記述する。仕様リストに指定できる要素については以降のセクションを参照のこと。
マクロがEdebug仕様をもたなければ、debug
宣言およびdef-edebug-spec
呼び出しのどちらを介しても、変数edebug-eval-macro-args
が効果を発揮します。
これはEdebugが明示的なEdebug仕様をもたないマクロ引数を扱う方法を制御する。nil
(デフォルト)なら引数は評価のためにインストルメントされない。それ以外ならすべての引数がインストルメントされる。