Next: , Previous: , Up: バイトコンパイル   [Contents][Index]


17.7 バイトコード関数オブジェクト

バイトコンパイルされた関数は、バイトコード関数オブジェクト(byte-code function objects)という特別なデータ型をもちます。関数呼び出しとしてそのようなオブジェクトが出現したとき、Emacsはそのバイトコードを実行するために、常にバイトコードインタープリターを使用します。

内部的にはバイトコード関数オブジェクトはベクターとよく似ています。バイトコード関数オブジェクトの要素にはarefを通じてアクセスできます。バイトコード関数オブジェクトのプリント表現(printed representation)はベクターと似ていて、開き‘[’の前に‘#’が追加されます。バイト関数オブジェクトは少なくとも4つの要素をもたねばならず、その要素数に上限はありません。しかし通常使用されるのは最初の6要素です。これらは:

argdesc

引数の記述子(descriptor)。これは引数リストの機能で説明されるような引数のリスト、または要求される引数の個数をエンコードする整数のいずれかである。後者の場合、その記述子の値は0ビットから6ビットで引数の最小個数、8ビットから14ビットで引数の最大個数を指定する。引数リストが&restを使用するなら7ビットがセットされて、それい以外ならクリアーされる。

argdescがリストなら、そのバイトコード実行前に引数はダイナミックにバインドされる。argdescが整数なら、引数リストはそのバイトコード実行前にバイトコーピンタープリンターのスタックにpushされる。

byte-code

バイトコード命令を含む文字列。

constants

バイトコードにより参照されるLispオブジェクトのベクター。関数名と変数名に使用されるシンボルが含まれる。

stacksize

この関数が要するスタックの最大サイズ。

docstring

(もしあれば)ドキュメント文字列。それ以外はnil。ドキュメント文字列がファイルに格納されている場合、値は数字かリストかもしれない。本当のドキュメント文字列の取得には、関数documentationを使用する(ドキュメント文字列へのアクセスを参照)。

interactive

(もしあれば)インタラクティブ仕様。文字列かLisp式。インタラクティブでない関数ではnil

以下はバイトコード関数オブジェクトのプリント表現の例です。これはコマンドbackward-sexpの定義です。

#[256
  "\211\204^G^@\300\262^A\301^A[!\207"
  [1 forward-sexp]
  3
  1793299
  "^p"]

バイトコードオブジェクトを作成するプリミティブな方法はmake-byte-codeです:

Function: make-byte-code &rest elements

この関数はelementsを要素とするバイトコードオブジェクトを構築してリターンする。

あなた自身で要素を収集してバイトコード関数を構築しないでください。それらが矛盾する場合、その関数の呼び出しによりEmacsがクラッシュするかもしれません。これらのオブジェクトの作成は常にバイトコンパイラーにまかせてください。(願わくば)バイトコンパイラーは要素を矛盾なく構築します。