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Emacsには暗号化ハッシュ(cryptographic hashes)計算用のビルトインのサポートがあります。暗号化ハッシュ、またはチェックサム(checksum)とはデータ断片にたいするデジタルな指紋(fingerprint)であり、そのデータが変更されていないかチェックするために使用できます。
EmacsはMD5、SHA-1、SHA-2、SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512のような一般的な暗号化ハッシュアルゴリズムをサポートします。これらのアルゴリズムのうちMD5はもっとも古く、ネットワーク越しに転送されたメッセージの整合性をチェックするために一般的にはメッセージダイジェスト(message
digests)内で使用されています。MD5とSHA-1は‘衝突耐性(collision
resistant)をもたない(同じMD5またはSHA-1のハッシュをもつ異なるデータ片を故意にデザインすることが可能)ので、セキュリティに関連することに使用するべきではありません。セキュリティーに関するアプリケーションではSHA-2
(sha256やsha512)のような他のハッシュタイプを使用するべきです。
この関数はsecure-hashが使用可能なアルゴリズムを表すシンボルのリストをリターンする。
この関数はobjectにたいするハッシュをリターンする。引数algorithmはどのハッシュを計算するかを示すシンボルでmd5、sha1、sha224、sha256、sha384、sha512のいずれか。引数objectはバッファーまたは文字列であること。
オプション引数startとendは、メッセージダイジェストを計算するobject部分を指定する文字位置。これらがnilか省略なら、object全体にたいしてハッシュを計算する。
引数binaryが省略かnilなら、通常のLisp文字列としてハッシュのテキスト形式(text
form)をリターンする。binaryが非nilなら、ユニバイト文字列に格納されたバイトシーケンスとしてハッシュのバイナリー形式(binary
form)をリターンする。
この関数はobjectのテキストの内部表現(テキストの表現方法を参照)からハッシュを直接計算しない。かわりにコーディングシステム(コーディングシステムを参照)を使用してテキストをエンコードして、そのエンコード済みテキストからハッシュを計算する。objectがバッファーなら使用されているコーディングが、そのテキストをファイルに書き込むためのデフォルトとして選択される。objectが文字列ならユーザーの好むコーディングシステムが使用される(Recognize Coding in GNU Emacs Manualを参照)。
この関数はMD5ハッシュをリターンする。これはほとんどの目的において、algorithm引数にmd5を指定してsecure-hashを呼び出すのと等価であり半ば時代遅れである。引数のobject、start、endはsecure-hashのときと同じ意味をもつ。
coding-systemが非nilなら、それはテキストをエンコードするために使用するコーディングシステムを指定する。省略またはnilなら、secure-hashと同様にデフォルトコーディングシステムが使用される。
md5は通常は指定や選択されたコーディングシステムを使用してテキストをエンコードできなければエラーをシグナルする。しかしnoerrorが非nilなら、かわりに黙ってraw-textコーディングシステムを使用する。
buffer-or-nameのハッシュをリターンする。nilの場合のデフォルトはカレントバッファー。この関数はsecure-hashとは対照的にコーディングシステムとは無関係にバッファーの内部表現にもとづいてハッシュを計算する。したがって同一のEmacs上で実行中の2つのバッファーを比較する際にのみ有用であり、異なるバージョンのEmacs間で同じハッシュをリターンする保証はない。これは巨大なバッファーにたいしてsecure-hashより幾分効果的であり、secure-hashほど多くのメモリーを割り当てないはずである。