このセクションではテキスト挿入のための高レベルコマンド、ユーザーによる使用を意図しているがLispプログラムでも有用なコマンドについて説明します。
このコマンドはfrom-buffer-or-name
(存在しなければならない)のアクセス可能範囲全体をカレントバッファーのポイントの後に挿入する。マークは挿入されたテキストの後に残される。値はnil
。
このコマンドは文字charを挿入する。これをポイント前でcount回繰り返してnil
をリターンする。ほとんどのプリント文字はこのコマンドにバインドされる。通常の使用ではself-insert-command
はEmacsでもっとも頻繁に呼び出される関数だが、Lispプログラムではそれをキーマップにインストールする場合を除いて使用されるのは稀。
インタラクティブな呼び出しではcountは数プレフィクス引数。
自己挿入では入力文字はtranslation-table-for-input
を通じて変換される。文字の変換を参照のこと。
これは、入力文字がテーブルauto-fill-chars
内にあり、auto-fill-function
が非nil
なら常にそれを呼び出す(オートfillを参照)。
このコマンドはAbbrevモードが有効で、かつ入力文字が単語構成構文をもたなければabbrev展開を行う(abbrevとabbrev展開と構文クラスのテーブルを参照)。さらに入力文字が閉カッコ構文(close parenthesis
syntax)をもつ場合にはblink-paren-function
を呼び出す責任もある(カッコの点滅を参照)。
このコマンドは最後にフックpost-self-insert-hook
を実行する。たとえばテキストがタイプされたときのように自動的に再インデントするためにこれを使用できる。このフックのいずれかの関数がリージョン(リージョンを参照)にたいして作用する必要があるなら、post-self-insert-hook
の関数が呼び出される前にDelete
Selectionモード(Delete Selection in The GNU Emacs
Manualを参照)がリージョンを削除しないようにする必要がある。これを行うにはDelete
Selectionモードにリージョンを削除しないように告げる特別なフックself-insert-uses-region-functions
にnil
をリターンする関数を追加すること。
self-insert-command
の標準的な定義にたいして、独自の定義による置き換えを試みてはならない。エディターコマンドループはこのコマンドを特別に扱うからだ。
このコマンドはカレントバッファーのポイントの前に改行を挿入する。number-of-newlinesが与えられたら、その個数の改行文字が挿入される。インタラクティブな呼び出しでは、number-of-newlinesはプレフィクス数引数。
この関数はカレント列数がfill-column
より大、かつnumber-of-newlinesがnil
ならauto-fill-function
を呼び出す。このコマンドは改行を挿入するためにself-insert-command
を呼び出して、続けてauto-fill-function
を呼び出すことにより前の行をブレークする(オートfillを参照)。auto-fill-function
が通常行うのは改行の挿入であり、最終的な結果としてはポイント位置と、その行のより前方の位置という2つの異なる箇所に改行を挿入する。number-of-newlinesが非nil
ならnewline
はauto-fillを行わない。
このコマンドはインタラクティブな呼び出し、またはinteractiveが非nil
ならフックpost-self-insert-hook
を実行する。
このコマンドは左マージンが0でなければ、左マージンにインデントする。fillのマージンを参照のこと。
リターン値はnil
。
この変数はoverwriteモードが効力をもつかどうかを制御する。値はoverwrite-mode-textual
、overwrite-mode-binary
、またはnil
。overwrite-mode-textual
はテキスト的なoverwriteモード(改行とタブを特別に扱う)、overwrite-mode-binary
はバイナリーoverwriteモード(改行とタブを普通の文字と同様に扱う)を指定する。