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25.1 ドキュメントの基礎

ドキュメント文字列はテキストをダブルクォート文字で囲んだ文字列にたいするLisp構文を使用して記述されます。実はこれは実際のLisp文字列です。関数または変数の定義内の適切な箇所に文字列があると、それは関数や変数のドキュメントの役割を果たします。

関数定義(lambdadefunフォーム)の中では、ドキュメント文字列は引数リストの後に指定され、通常は関数オブジェクト内に直接格納されます。関数のドキュメント文字列を参照してください。関数名のfunction-documentationプロパティに関数ドキュメントをputすることもできます(ドキュメント文字列へのアクセスを参照)。

変数定義(defvarフォーム)の中では、ドキュメント文字列は初期値の後に指定されます。グローバル変数の定義を参照してください。この文字列はその変数のvariable-documentationプロパティに格納されます。

Emacsがメモリー内にドキュメント文字列を保持しないときがあります。それには、これには2つの状況があります。1つ目はメモリーを節約するためで、事前ロードされた関数と変数(プリミティブを含む)のドキュメントは、doc-directoryで指定されたディレクトリー内のDOCという名前のファイルに保持されます(ドキュメント文字列へのアクセスを参照)。2つ目は関数や変数がバイトコンパイルされたファイルからロードされたときで、Emacsはそれらのドキュメント文字列のロードを無効にします(ドキュメント文字列とコンパイルを参照)。どちらの場合も、ある関数にたいしてユーザーがC-h f(describe-function)を呼び出したとき等の必要なときだけEmacsはファイルのドキュメント文字列を照会します。

ドキュメント文字列にはユーザーがドキュメントを閲覧するときのみルックアップされるキーバインディングを参照する、特別なキー置換シーケンス(key substitution sequences)を含めることができます。これにより、たとえユーザーがデフォルトのキーバインディングを変更していてもヘルプコマンドが正しいキーを表示できるようになります。

オートロードされたコマンド(autoloadを参照)のドキュメント文字列ではこれらのキー置換シーケンスは特別な効果をもち、そのコマンドにたいするC-h fによってオートロードをトリガーします(これは*Help*バッファー内のハイパーリンクを正しくセットアップするために必要となる)。