Emacs
Lispにはロードのためのインターフェイスがいくつかあります。たとえばautoload
はファイル内で定義された関数にたいしてプレースホルダーとなるオブジェクトを作成します。この関数はオートロードされる関数を呼び出すために、ファイルからその関数の実際の定義の取得を試みます(autoloadを参照)。require
はファイルがまだロードされていない場合にファイルをロードします(名前つき機能を参照)。これらすべての関数は処理を行うために最終的にload
を呼び出します。
この関数はLispコードのファイルを見つけてオープンして、その中のすべてのフォームを評価してそのファイルをクローズする。
load
はまずファイルを見つけるために、filename.elcという名前、つまりfilenameに拡張子‘.elc’を足した名前のファイルを探す。このようなファイルが存在して、かつネイティブコンパイル(Lispからネイティブコードへのコンパイルを参照)のサポートつきでEmacsがコンパイルされていれば、load
は対応する‘.eln’を探して、見つかったらfilename.elcのかわりにそのファイルを、見つからなければfilename.elcをロードする。Emacsがダイナミックモジュール(Emacsのダイナミックモジュールを参照)のサポートつきでコンパイルされていれば、、次にload
はfilename.extという名前のファイルを探す。ここでextは共有ライブラリーのシステム依存のファイル名拡張子である。その名前のファイルが存在しなければ、load
はfilename.elという名前のファイルを探す。このファイルが存在したらそれをロードする。最後に、もしこれらの名前がいずれも見つからなければ、load
は何も付け足さないfilenameという名前のファイルを探してそれが存在したらロードする(load
関数にfilenameを認識する賢さはない。foo.el.elのような正しくない名前のファイルでも、(load
"foo.el")
を評価してそれを見つけてしまうだろう)。
Auto
Compressionモードが有効(残念ながらデフォルトでは有効)なら、load
は他のファイル名を試みる前に圧縮されたバージョンのファイル名を探すのでファイルを見つけることができない。圧縮されたファイルが存在したら、それを解凍してロードする。load
はファイル名にjka-compr-load-suffixes
内の各サフィックスを足して圧縮されたバージョンを探す。この変数の値は文字列のリストでなければならない。標準的な値は(".gz")
。
オプション引数nosuffixが非nil
なら、load
はサフィックス‘.elc’と‘.el’のロードを試みない。この場合はロードしたいファイルの正確な名前を指定しなければならない。ただしAuto
Compressionモードが有効ならload
は圧縮されたバージョンを探すために、jka-compr-load-suffixes
を使用する。正確なファイル名を指定して、nosuffixにt
を使用することにより、foo.el.elのような名前のファイルにたいするロードの試みを抑止できる。
オプション引数must-suffixが非nil
の場合、ロードに使用されるファイルの名前に明示的にディレクトリー名が含まれていなければ、load
はファイル名が‘.el’か‘.elc’、または共有ライブラリーの拡張子で終わること(もしかしたら圧縮による拡張子が付加されているかもしれない)を要求する。
オプションload-prefer-newer
が非nil
なら、load
はサフィックスを検索するとき、どんなファイル(‘.elc’、‘.el’等)であっても、もっとも最近変更されたファイルのバージョンを選択する。この場合には、ネイティブコンパイルされた‘.eln’があっても、load
はそれをロードしない。
filenameがfooやbaz/foo.barのような相対ファイル名なら、load
は変数load-path
を使用してそのファイルを探す。これはload-path
内にリストされた各ディレクトリーにfilenameを追加して、最初に見つかった名前のマッチするファイルをロードする。デフォルトディレクトリーを意味するnil
がload-path
で措定されたときだけ、カレントデフォルトディレクトリーを試みる。load
はload-path
内の最初のディレクトリーで利用可能な3つのサフィックスすべてを試行してから、2つ目のディレクトリーで3つのサフィックスすべてを試行する、...というようにファイルを探す。ライブラリー検索を参照のこと。
最終的に見つかったファイル、およびEmacsがそのファイルを見つけたディレクトリーが何であれ、Emacsはそのファイル名を変数load-file-name
の値にセットする。
foo.elcがfoo.elより古いと警告されたら、それはfoo.elのリコンパイルを考慮すべきことを意味する。バイトコンパイルを参照のこと。
(コンパイルされていない)ソースファイルをロードしたとき、Emacsがファイルをvisitしたときと同じようにload
は文字セットの変換を行う。コーディングシステムを参照のこと。
コンパイルされていないファイルをロードするとき、Emacsはそのファイルに含まれるすべてのマクロ(マクロを参照)を展開する。わたしたちはこれをeagerマクロ展開(eager macro expansion)と呼んでいる。(関連するコードを実行するまで展開を延期しないで)これを行うことにより、コンパイルされていないコードの実行スピードが明らかに向上する。循環参照によりこのマクロ展開を行うことができないときもある。これの一番簡単な例は、ロードしようとしているファイルが他のファイルで定義されているマクロを参照しているが、そのファイルはロードしようとしているファイルを必要としている場合である。これは一般的には無害である。Emacsは問題についての詳細を与えるために警告(‘Eager macro-expansion skipped due to cycle…’)をプリントするが、単にその時点ではマクロを展開せずにそのファイルをロードする。あなたはこの問題が発生しないようにコードをリストラクチャーする必要があるかもしれない。コンパイル済みファイルではマクロ展開はコンパイル時に行われるので、ロード時のマクロ展開は行われない。マクロとバイトコンパイルを参照のこと。
nomessageが非nil
でなければ、エコーエリアに‘Loading foo...’や‘Loading
foo...done’のようなメッセージがロードの間に表示される。ネイティブコンパイルされた‘.eln’ファイルをロードしたら、メッセージでその旨を伝える。
ファイルをロードする間のハンドルされないエラーはロードを終了させる。autoload
のためのロードの場合、ロードの間に定義された任意の関数定義は元に戻される。
load
がロードするファイルを見つけられなかった場合には、通常は(‘Cannot open load file
filename’のメッセージとともに)
file-error
がシグナルされる。しかしmissing-okが非nil
ならload
は単にnil
をリターンする。
式の読み取りにたいしてload
がread
のかわりに使用する関数を指定するために、変数load-read-function
を使用できる。以下を参照されたい。
ファイルが正常にロードされたら、load
はt
をリターンする。
このコマンドはファイルfilenameをロードする。filenameが相対ファイル名のなら、それはカレントデフォルトディレクトリーを指定したとみなされる。このコマンドはload-path
を使用せず、サフィックスの追加もしない。しかし(Auto
Compressionモードが有効なら)圧縮されたバージョンの検索を行う。ロードするファイル名を正確に指定したければ、このコマンドを使用すること。
このコマンドはlibraryという名前のライブラリーをロードする。このコマンドは引数を読み取る方法がインタラクティブであることを除きload
と同じ。Lisp
Libraries in The GNU Emacs Manualを参照のこと。
この変数はEmacsがファイルをロード中なら非nil
、それ以外はnil
である。
このセクションの最初に説明した検索でEmacsがファイルを見つけて、そのファイルをロード中のとき、この変数の値はそのファイルの名前である。
この変数はload
とeval-region
が式を読み取るために、read
のかわりに使用する関数を指定する。指定する関数はread
と同様、引数が1つの関数であること。
デフォルトではこの変数の値はread
。入力関数を参照のこと。
この変数を使用するかわりに別の新たな方法を使用するほうが明確である。それはeval-region
のread-function引数にその関数を渡す方法である。Evalを参照のこと。
Emacsのビルドでload
がどのように使用されているかについての情報は、Emacsのビルドを参照のこと。