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41.19 埋め込みネイティブウィジェット

必要なサポートライブラリーつきでEmacsがビルドされていて、かつグラフィカル端末上で実行されていれば、Emacsバッファー内にGTK+ WebKitウィジェットのようなネイティブウィジェットを表示することができます。Emacsが埋め込みウィジェットを表示可能かテストするには、xwidget-internal機能が利用可能かどうかをチェックします(名前つき機能を参照)。

Emacsバッファー内に埋め込みウィジェットを表示するためには、最初にxwidgetオブジェクトを作成して、テキストプロパティまたはオーバーレイプロパティdisplay内のディスプレイ仕様としてそのオブジェクトを使用します(displayプロパティを参照)。

埋め込みウィジェットは自身に生じた変更をLispコードに通知するイベントを送信できます(Xwidgetイベントを参照)。

Function: make-xwidget type title width height arguments &optional buffer related

これはxwidgetオブジェクトを作成してリターンする。bufferが省略かnilの場合のデフォルトはカレントバッファー。bufferが存在しないバッファーの名前を指定する場合には作成する。typeはxwidgetコンポーネントを識別するもので以下のいずれかが可能:

webkit

WebKitコンポーネント。

引数widthheightはウィジェットのサイズをピクセル単位で指定、titleはウィジェットのタイトルを指定する文字列。relatedはWebKitウィジェットが内部で使用するもので、新たに作成されるウィジェットが設定とサブプロセスを共有する必要がある別のWebKitウィジェットを指定する。

リターンされたxwidgetはそのバッファーとともにkillされる(バッファーのkillを参照)。kill-xwidgetを使ってkillすることもできる。xwidgetが一旦killされてもすべての参照が解放されるまではLispオブジェクトとして存在し続けてdisplayプロパティとして動作するが、生きたxwidgetで実行できるほとんどのアクションは利用できなくなる。

Function: xwidgetp object

この関数はobjectがxwidgetならt、それ以外はnilをリターンする。

Function: xwidget-live-p object

この関数はobjectがkillされていないxwidgetならt、それ以外はnilをリターンする。

Function: kill-xwidget xwidget

この関数はxwidgetをバッファーから削除して、それが保有していたウィンドウシステムのリソースを解放することによってkillする。

Function: xwidget-plist xwidget

この関数はxwidgetのプロパティリストをリターンする。

Function: set-xwidget-plist xwidget plist

この関数はplistで与えられた新たなプロパティリストでxwidgetのプロパティリストを置き換える。

Function: xwidget-buffer xwidget

この関数はxwidgetのバッファーをリターンする。xwidgetがkillされていたらnilをリターンする。

Function: set-xwidget-buffer xwidget buffer

この関数はxwidgetのバッファーをbufferにセットする。

Function: get-buffer-xwidgets buffer

この関数はbufferに関連付けられたxwidgetオブジェクトのリストをリターンする。bufferはバッファーオブジェクトか既存のバッファー名(文字列)を指定できる。bufferにxwidgetが含まれなければ値はnil

Function: xwidget-webkit-goto-uri xwidget uri

この関数は与えられたxwidget内で指定したuriをブラウズ(browse: 閲覧)する。uriはファイルかURLを指定する文字列。

Function: xwidget-webkit-execute-script xwidget script

この関数はxwidgetで指定されるブラウザウィジェットに、scriptで指定するJavaScriptを実行させる。

Function: xwidget-webkit-execute-script-rv xwidget script &optional default

この関数はxwidget-webkit-execute-scriptと同様に指定したscriptを実行するが、スクリプトのリターン値も文字列としてリターンする。この関数はscriptが値をリターンしなければdefaultdefaultが省略されたらnilをリターンする。

Function: xwidget-webkit-get-title xwidget

この関数はxwidgetのタイトルを文字列としてリターンする。

Function: xwidget-resize xwidget width height

この関数は指定したxwidgetwidthxheightのサイズ(ピクセル単位)にリサイズする。

Function: xwidget-size-request xwidget

この関数はxwidgetのサイズを(width height)という形式のリストでリターンする。単位はピクセル。

Function: xwidget-info xwidget

この関数は[type title width height]という形式のベクターでxwidgetの属性をリターンする。属性は通常はxwidgetの作成時にmake-xwidgetで決定される。

Function: set-xwidget-query-on-exit-flag xwidget flag

この関数はEmacsがxwidgetに関連付けられたバッファーのexitやkillの前にユーザーに確認を求めるようにアレンジすることを可能にする。flagが非nilならEmacsはユーザーに確認を求めて、それ以外なら確認を求めない。

Function: xwidget-query-on-exit-flag xwidget

この関数はxwidgetのquery-on-exitフラグのカレントセッティングをtnilのいずれかでリターンする。

Function: xwidget-perform-lispy-event xwidget event frame

入力イベントeventxwidgetに送信する。実行される正確なアクションはプラットフォームに依存する。入力イベントを参照のこと。

オプションとしてframeを介してこのイベントが生成されたフレームを渡すことができる。X11の場合にはframenilかつ選択されたフレームがX-Windowsフレーム以外なら、キーイベント中の修飾キーは考慮しない。

GTKでサポートされているのはキーボードとファンクションキーのイベントのみ。マウス、移動キー、クリックにたいするイベントはLispコードを介さずxwidgetにディスパッチされるため、この関数は呼び出されない。

Function: xwidget-webkit-search query xwidget &optional case-insensitive backwards wrap-around

WebKitウィジェットxwidgetにたいして、文字列queryを問い合わせるインクリメンタル検索を開始する。case-insensitiveは検索でcase(大文字小文字)を区別するかどうか、backwardsはドキュメント先頭から後方に検索を行うかどうか、そしてwrap-aroundは検索をドキュメント終端で終了するかどうかを指定する。

検索クエリーがすでに与えられた状態でこの関数を呼び出すと、既存のクエリーはここで指定したクエリーに置き換えられる。

検索クエリーを停止するにはxwidget-webkit-finish-searchを使用すること。

Function: xwidget-webkit-next-result xwidget

xwidgetの次の検索結果を表示する。xwidget-webkit-searchによる検索クエリーがxwidget内でまだ開始されていなければ、この関数はエラーをシグナルする。

xwidget-webkit-searchの呼び出し時にwrap-aroundが非nilだった場合には、検索がドキュメント終端に達すると先頭から検索を再開する。

Function: xwidget-webkit-previous-result xwidget

xwidgetの前の検索結果を表示する。xwidget-webkit-searchによる検索クエリーがxwidget内でまだ開始されていなければ、この関数はエラーをシグナルする。

xwidget-webkit-searchの呼び出し時にwrap-aroundが非nilだった場合には、検索がドキュメント先頭に達すると終端から検索を再開する。

Function: xwidget-webkit-finish-search xwidget

xwidgetで開始されたxwidget-webkit-searchによる検索操作を終了する。現在進行中のクエリーがなければ、この関数はエラーをシグナルする。

Function: xwidget-webkit-load-html xwidget text &optional base-uri

xwidget (WebKitウィジェット)にtext (文字列)をロードする。text内にあるHTMLマークアップはテキスト描画の際にすべてxwidgetによって処理される。

オプション引数base-uri (文字列)はtextによって参照されるwebリソースの絶対位置を指定する。これはtext内の相対リンクの解決に使用される。

Function: xwidget-webkit-goto-history xwidget rel-pos

WebKitウィジェットxwidgetにナビゲーション履歴でrel-pos番目の要素をロードさせる。

rel-posが0ならカレントページをリロードさせる。

Function: xwidget-webkit-back-forward-list xwidget &optional limit

xwidgetのナビゲーション履歴を両方向にlimit番目のアイテムまでリターンする。limitを指定しない場合のデフォルトは50。

リターン値は(back here forward)という形式のリスト。ここでhereはカレントナビゲーションアイテム、backはカレントナビゲーションアイテムの前にWebKitが記録されたアイテムを含むアイテムリスト、forwardはカレントナビゲーションアイテムの後に記録されたアイテムリスト。backhereforwardnilの場合もあり得る。

herenilなら、記録済みアイテムが存在しないことを意味する。backforwardnilなら、カレントアイテムにたいして前または後に記録された履歴が存在しないことを意味する。

ナビゲーションアイテム自体は(idx title uri)という形式のリスト。ここでidxxwidget-webkit-goto-historyに渡すことができるインデックス、titleは人間が読めるアイテムのタイトル、uriはそのアイテムのURL。ユーザーは特定の履歴アイテムに到達するために手作業によるuriのロードを必要とする理由は通常はない。かわりにインデックスとしてxwidget-webkit-goto-historyidxを渡せばよいからだ。

Function: xwidget-webkit-estimated-load-progress xwidget

WebKitウィジェットxwidgetによってページが完全にロードされて表示されるまでに転送を要する残りのデータ量の推測値をリターンする。

リターン値は0.0から1.0までの浮動小数点数。

Function: xwidget-webkit-set-cookie-storage-file xwidget file

WebKitウィジェットxwidgetにたいしてfileにcookieを格納させる。

fileは絶対ファイル名でなければならない。新しいセッティングはmake-xwidgetの引数relatedとして作成されたxwidget、およびそれらに関連するウィジェットにも影響を及ぼす。

xwidgetや関連するウィジェットにたいして最低でも1回はこの関数を呼び出さなければ、xwidgetはディスクに何のcookieも格納しない。

Function: xwidget-webkit-stop-loading xwidget

ページロード操作の一環となるWebKitウィジェット進行中のデータ転送はすべて終了される。ページがロードされない場合には、この関数は何も行わない。


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