以下の関数はスクラッチ、文字列同士、またはその一部から文字列を作成します(string-replaceやreplace-regexp-in-stringのように他の文字列内容を変更して文字列を作成する関数については検索と置換を参照)。
この関数はcharacterをcount回繰り返すことにより作成された文字列をリターンする。countが負ならエラーをシグナルする。
(make-string 5 ?x)
⇒ "xxxxx"
(make-string 0 ?x)
⇒ ""
characterがASCII文字なら、結果は通常はユニバイト文字列になる。しかしオプション引数multibyteが非nilなら、この関数はかわりにマルチバイト文字列を生成する。これは結果を後で非ASCII文字列と結合したり、結果の中のいくつかの文字を非ASCII文字で置換する必要がある際に有用。
この関数に対応する他の関数にはmake-vector (ベクターを参照)やmake-list
(コンスセルおよびリストの構築を参照)が含まれる。
この関数は文字charactersを含む文字列をリターンする。
(string ?a ?b ?c)
⇒ "abc"
この関数はstringから、インデックスstartの文字(その文字を含む)とendの文字(その文字は含まない)の間の範囲の文字で構成される、新しい文字列をリターンする。文字列の最初の文字はインデックス0。引数が1つなら、この関数は単にstringをコピーする。
(substring "abcdefg" 0 3)
⇒ "abc"
上記の例では‘a’のインデックスは0、‘b’のインデックスは1、‘c’のインデックスは2となる。インデックス3 —
この文字列の4番目の文字 —
は、コピーされる部分文字列の文字位置までをマークする。したがって文字列"abcdefg"から‘abc’がコピーされる。
負の数は文字列の最後から数えることを意味するので、-1は文字列の最後の文字のインデックスである。たとえば:
(substring "abcdefg" -3 -1)
⇒ "ef"
この例では‘e’のインデックスは-3、‘f’のインデックスは-2、‘g’のインデックスは-1。つまり‘e’と‘f’が含まれ、‘g’は含まれない。
endにnilを使用した場合、それは文字列の長さを意味する。したがって、
(substring "abcdefg" -3 nil)
⇒ "efg"
引数endを省略した場合、それはnilを指定したのと同じである。(substring string
0)はstringのすべてをコピーしてリターンする。
(substring "abcdefg" 0)
⇒ "abcdefg"
しかしこの目的のためにはcopy-sequenceを推奨する(シーケンスを参照)。
stringからコピーされた文字がテキストプロパティをもつなら、そのプロパティは新しい文字列へもコピーされる。テキストのプロパティを参照のこと。
substringの最初の引数にはベクターも指定できる。たとえば:
(substring [a b (c) "d"] 1 3)
⇒ [b (c)]
startが整数でない、またはendが整数でもnilでもななければ、wrong-type-argumentエラーがシグナルされる。startがendの後の文字を指す、またはstringにたいして範囲外の整数をいずれかに指定すると、args-out-of-rangeエラーがシグナルされる。
この関数に対応するのはbuffer-substring (バッファーのコンテンツを調べるを参照)で、これはカレントバッファー内のテキストの一部を含む文字列をリターンする。文字列の先頭はインデックス0だが、バッファーの先頭はインデックス1である。
これはsubstringと同じように機能するが、値のすべてのテキストプロパティを破棄する。startを省略したりnilを指定することができ、その場合は0と等価である。したがって(substring-no-properties string)は、すべてのテキストプロパティが削除されたstringのコピーをリターンする。
この関数は渡された引数内の文字からなる文字列をリターンする(もしあればテキストプロパティも)。引数には文字列、数のリスト、数のベクターを指定できる。引数は変更されない。concatに引数を指定しなければ空文字列をリターンする。
(concat "abc" "-def")
⇒ "abc-def"
(concat "abc" (list 120 121) [122])
⇒ "abcxyz"
;; nilは空のシーケンス。
(concat "abc" nil "-def")
⇒ "abc-def"
(concat "The " "quick brown " "fox.")
⇒ "The quick brown fox."
(concat)
⇒ ""
この関数は常に新たな文字列の割り当てを行う訳ではない。呼び出し側は結果が新たな文字列であること、もしくは既存の文字列にたいしてeqであることに依存しないよう推奨する。
特にリターン値を変更すると誤って別の文字列を変更したり、プログラム内の定数文字列の変更や、エラーをraiseすることさえあり得る。安全に変更できる文字列を取得するには、結果にcopy-sequenceを使用すること。
他の結合関数(concatenation functions)についての情報は関数のマッピングのmapconcat、ベクターのための関数のvconcat、コンスセルおよびリストの構築のappendを参照のこと。シェルコマンドで使用される文字列の中に、個々のコマンドライン引数を結合するには、combine-and-quote-stringsを参照されたい。
この関数は正規表現separators(正規表現を参照)にもとづいて、stringを部分文字列に分解する。separatorsにたいする各マッチは分割位置を定義する。分割位置の間にある部分文字列をリストにまとめてリターンする。
separatorsがnil
(か省略)ならデフォルトはsplit-string-default-separatorsの値となり、関数はomit-nullsがtであるかのように振る舞う。
omit-nullsがnil(または省略)なら、連続する2つのseparatorsへのマッチか、stringの最初か最後にマッチしたときの空文字列が結果に含まれる。omit-nullsがtなら、これらの空文字列は結果から除外される。
オプションの引数trimが非nilなら、その値は各部分文字列の最初と最後からトリム(trim:
除去)するテキストにマッチする正規表現を指定する。トリムによりその部分文字列が空になるようなら、それは空文字列として扱われる。
文字列を分割してcall-processやstart-processに適するような、個々のコマンドライン引数のリストにする必要がある場合はsplit-string-and-unquoteを参照のこと。
以下は例:
(split-string " two words ")
⇒ ("two" "words")
有用性はほとんどないであろう("" "two" "words"
"")という結果とはならない。このような結果が必要ならseparatorsに明示的な値を使用すること
(split-string " two words "
split-string-default-separators)
⇒ ("" "two" "words" "")
(split-string "Soup is good food" "o")
⇒ ("S" "up is g" "" "d f" "" "d")
(split-string "Soup is good food" "o" t)
⇒ ("S" "up is g" "d f" "d")
(split-string "Soup is good food" "o+")
⇒ ("S" "up is g" "d f" "d")
空のマッチはカウントされます。例外は、空でないマッチを使用することにより、すでに文字列の最後に到達しているとき、またはstringが空の時で、この場合split-stringは最後の空マッチを探しません。
(split-string "aooob" "o*")
⇒ ("" "a" "" "b" "")
(split-string "ooaboo" "o*")
⇒ ("" "" "a" "b" "")
(split-string "" "")
⇒ ("")
しかしseparatorsが空文字列にマッチできるとき、通常はomit-nullsをtにすれば、前の3つの例の不明瞭さはほとんど発生しない:
(split-string "Soup is good food" "o*" t)
⇒ ("S" "u" "p" " " "i" "s" " " "g" "d" " " "f" "d")
(split-string "Nice doggy!" "" t)
⇒ ("N" "i" "c" "e" " " "d" "o" "g" "g" "y" "!")
(split-string "" "" t)
⇒ nil
空でないマッチより空のマッチを優先するような、一部の“非貪欲(non-greedy)”な値をseparatorsに指定することにより、幾分奇妙(ではあるが予見可能)な振る舞いが発生することがある。繰り返しになるが、そのような値は実際には稀である:
(split-string "ooo" "o*" t)
⇒ nil
(split-string "ooo" "\\|o+" t)
⇒ ("o" "o" "o")
split-stringのseparatorsにたいするデフォルト値。通常の値は"[ \f\t\n\r\v]+"。
string内の連続する空白文字を単一のスペースに、同様にstringの先頭と終端にあるすべての空白文字を取り除くことにより空白文字を整理する。
stringの先頭からregexpにマッチするテキストを削除する。regexpのデフォルトは‘[ \t\n\r]+’。
stringの末尾からregexpにマッチするテキストを削除する。regexpのデフォルトは‘[ \t\n\r]+’。
stringからtrim-leftにマッチする先頭のテキストと、trim-rightにマッチする末尾のテキストを削除する。いずれのregexpもデフォルトは‘[ \t\n\r]+’。
lengthより長い行が無くなるようにstringのワードラップを試みる。フィルは空白文字境界でのみ行われる。lengthより長い個別の単語は短くならない。
stringの文字数がlengthより短ければstringをそのままリターンする。それ以外なら最初のlength文字からなるstringの部分文字列をリターンする。オプションのパラメーターendが与えられた場合には、かわりに最後のlength文字からなる文字列をリターンする。
coding-systemが非nilならstringを切り詰める前にエンコードして、結果はlengthバイトより短いユニバイト文字列になる。stringにエンコードされると複数バイトになる文字(たとえばutf-8使用時)が含まれる場合には、結果となるユニバイト文字列が文字表現の途中で切り詰められることはない。
この関数は文字列長を文字数かバイトで数えるので、文字列を表示用に短くする必要がある場合には一般的に適していない。かわりにtruncate-string-to-width、window-text-pixel-size、string-glyph-splitを使用すること(表示されるテキストのサイズを参照)。
改行を境界としてstringを文字列のリストに分割する。オプション引数omit-nullsが非nilなら、結果から空行を除外する。オプション引数keep-newlinesが非nilなら、結果文字列から末尾の改行を取り除かない。
paddingをパディング文字に使用して、与えられたlengthになるようにstringをパディングする。paddingのデフォルトはスペース文字。lengthよりstringが長ければパディングしない。startがnil
(または省略)ならパディングは文字列終端、非nilなら文字列先頭に追加される。
stringからもしあれば最後の改行を削除する。