ドットペア表記(dotted pair
notation)は、CARとCDRが明示的に表されたコンスセルの一般的な構文です。この構文では(a
.
b)がCARがオブジェクトa、CDRがオブジェクトbという意味になります。CDRがリストである必要がないので、ドットペア表記はより一般的なリスト構文です。しかしリスト構文が機能するような場合には、より扱いにくくなります。ドットペア表記では、リスト‘(1
2 3)’は‘(1 . (2 . (3
.
nil)))’と記述されます。nilで終端されたリストにたいしては、どちらの表記法も使用できますが、リスト表記の方が通常は明解で便利です。リストをプリントする場合には、コンスセルのCDRがリストでないときだけドットペア表記が使用されます。
以下はボックスを使用してドットペア表記を表した例です。これはペア(rose . violet)を表します:
--- ---
| | |--> violet
--- ---
|
|
--> rose
最後のCDRが非nilのコンスセルのチェーンを表すので、ドットペア表記とリスト表記を組み合わせることができます。リストの最後の要素の後にドットを記述して、その後に最後のコンスセルのCDRを記述します。たとえば(rose
violet . buttercup)は、(rose . (violet
. buttercup))と等価です。オブジェクトは以下のようになります:
--- --- --- ---
| | |--> | | |--> buttercup
--- --- --- ---
| |
| |
--> rose --> violet
構文(rose . violet .
buttercup)は無効です。なぜならこれは何も意味していないからです。何か意味があるとしても、violetのためにCDRがすでに使用されているコンスセルのCDRに、buttercupを置くということになります。
リスト(rose violet)は(rose . (violet))と等価であり、以下のようになります:
--- --- --- ---
| | |--> | | |--> nil
--- --- --- ---
| |
| |
--> rose --> violet
同様に3要素のリスト(rose violet buttercup)は、(rose . (violet
. (buttercup)))と等価です。
これは以下のようになります:
--- --- --- --- --- ---
| | |--> | | |--> | | |--> nil
--- --- --- --- --- ---
| | |
| | |
--> rose --> violet --> buttercup