28.11 インダイレクトバッファー

インダイレクトバッファー(indirect buffer: 間接バッファー)とは、ベースバッファー(base buffer)と呼ばれる他のバッファーとテキストを共有します。いくつかの点においてインダイレクトバッファーはファイル間でのシンボリックリンクに類似しています。ベースバッファー自身はインダイレクトバッファーではない可能性があります。

インダイレクトバッファーのテキストは、常にベースバッファーのテキストと同一です。編集により一方が変更されると、それは即座に他方のバッファーから可視になります。これには文字自体に加えてテキストプロパティも同様に含まれます。

他のすべての観点において、インダイレクトバッファーとそのベースバッファーは完全に別物です。それらは別の名前、独自のポイント値、ナローイング、マーカー、オーバーレイ、メジャーモード、バッファーローカルな変数バインディングをもちます(ただしどちらかのバッファーでのテキストの挿入や削除を行うと両方のバッファーでマーカーとオーバーレイが再配置される)。

インダイレクトバッファーはファイルをvisitできませんがベースバッファーには可能です。インダイレクトバッファーの保存を試みると、実際にはベースバッファーが保存されます。

インダイレクトバッファーをkillしてもベースバッファーに影響はありません。ベースバッファーをkillするとインダイレクトバッファーはkillされて再びカレントバッファーにすることはできません。

Command: make-indirect-buffer base-buffer name &optional clone inhibit-buffer-hooks

これはベースバッファーがbase-bufferであるような、nameという名前のインダイレクトバッファーを作成してリターンする。引数base-bufferは生きたバッファー、または既存バッファーの名前(文字列)を指定できる。nameが既存バッファーの名前ならエラーがシグナルされる。

cloneが非nilならインダイレクトバッファーは最初はbase-bufferのメジャーモード、マイナーモード、バッファーローカル変数等の状態を共有する。cloneが省略またはnilなら、インダイレクトバッファーの情報は新たなバッファーにたいするデフォルト状態にセットされる。

base-bufferがインダイレクトバッファーなら、新たなバッファーのベースとしてそれのベースバッファーが使用される。さらにcloneが非nilなら、初期状態はbase-bufferではなく実際のベースバッファーからコピーされる。

inhibit-buffer-hooksの意味についてはバッファーの作成を参照のこと。

Command: clone-indirect-buffer newname display-flag &optional norecord

この関数はカレントバッファーのベースバッファーを共有するインダイレクトバッファーを新たに作成して、カレントバッファーの残りの属性をコピーしてリターンする(カレントバッファーがインダイレクトバッファーでなければそれがベースバッファーとして使用される)。

display-flagが非nil (インタラクティブな呼び出しでは常に非nil)なら、それはpop-to-bufferを呼び出すことにより新しいバッファーを表示することを意味する。norecordが非nilなら、それは新しいバッファーをバッファーリストの先頭に置かないことを意味する。

Function: buffer-base-buffer &optional buffer

この関数はbuffer (デフォルトはカレントバッファー)のベースバッファーをリターンする。bufferがインダイレクトバッファーでなければ値はnil、それ以外では値は他のバッファーとなり、そのバッファーがインダイレクトバッファーであることは決してない。

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