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12.11.1 バッファーローカル変数の概要

バッファーローカル変数は特定のバッファーに関連づけられた、バッファーローカルなバインディングをもちます。このバインディングはそのバッファーがカレントのときに効果をもち、カレントでないときには効果がありません。バッファーローカルなバインディングが効力をもつときにその変数をセットすると、そのバインディングは新しい値をもちますが他のバインディングは変更されません。これはバッファーローカルなバインディングを作成したバッファーだけで変更が見えることを意味します。

その変数にたいする特定のバッファーに関連しない通常のバインディングは、デフォルトバインディング(default binding)と呼ばれます。これはほとんどの場合はグローバルバインディングです。

変数はあるバッファーではバッファーローカルなバインディングをもつことができ、他のバッファーではもたないことができます。デフォルトバインディングは、その変数にたいして自身のバインディングをもたないすべてのバッファーで共有されます(これには新たに作成されたバッファーが含まれる)。ある変数にたいして、その変数のバッファーローカルなバインディングをもたないバッファーでその変数をセットすると、それによりデフォルトバインディングがセットされるので、デフォルトバインディングを参照するすべてのバッファーで新しい値を見ることになります。

バッファーローカルなバインディングのもっとも一般的な使用は、メジャーモードがコマンドの動作を制御するために変数を変更する場合です。たとえばCモードやLispモードは、空行だけがパラグラフの区切りになるように変数paragraph-startをセットします。これらのモードは、CモードやLispモードになるようなバッファー内でこの変数をバッファーローカルにすることでこれを行って、その後そのモードにたいする新しい値をセットします。メジャーモードを参照してください。

バッファーローカルなバインディングを作成する通常の方法は、make-local-variableによる方法で、これは通常はメジャーモードが使用します。これはカレントバッファーだけに効果があります。その他すべてのバッファー(まだ作成されていないバッファーを含む)は、それらのバッファー自身が明示的にバッファーローカルなバインディングを与えるまでデフォルト値を共有し続けます。

変数を自動的にバッファーローカルになるようにマークする、より強力な操作はmake-variable-buffer-localを呼び出すことにより行われます。これはたとえその変数がまだ作成されていなくても、変数をすべてのバッファーにたいしてローカルにすると考えることができます。より正確には変数を自動的にセットすることにより、その変数がカレントバッファーにたいしてローカルでなくても、変数をローカルにする効果があります。すべてのバッファーは最初は通常のようにデフォルト値を共有しますが、変数をセットすることでカレントバッファーにたいしてバッファーローカルなバインディングを作成します。新たな値はバッファーローカルなバインディングに格納され、デフォルトバインディングは変更されずに残ります。これは任意のバッファーでsetqによりデフォルト値を変更できないことを意味します。変更する唯一の方法はsetq-defaultだけです。

警告: ある変数が1つ以上のバッファーでバッファーローカルなバインディングをもつ際に、letはそのとき効力がある変数のバインディングをリバインドします。たとえばカレントバッファーがバッファーローカルな値をもつなら、letは一時的にそれをリバインドします。効力があるバッファーローカルなバインディングが存在しなければletはデフォルト値をリバインドします。letの内部で、別のバインディングが効力をもつ別のバッファーをカレントバッファーにすると、それ以上letバインディングを参照できなくなります。他のバッファーにいる間にletを抜けると、(たとえそれが正しくても)バインディングの解消を見ることはできません。以下にこれを示します:

(setq foo 'g)
(set-buffer "a")
(make-local-variable 'foo)
(setq foo 'a)
(let ((foo 'temp))
  ;; foo ⇒ 'temp  ; バッファー‘a’内でのletバインディング
  (set-buffer "b")
  ;; foo ⇒ 'g     ; fooは‘b’にたいしてローカルではないためグローバル値
  body…)
foo ⇒ 'g        ; exitによりバッファー‘a’のローカル値が復元されるが
                 ; バッファー‘b’では見ることができない
(set-buffer "a") ; ローカル値が復元されたことを確認
foo ⇒ 'a

body内のfooにたいする参照は、バッファー‘b’のバッファーローカルなバインディングにアクセスすることに注意してください。

あるファイルがローカル変数の値をセットする場合、これらの変数はファイルをvisitするときバッファーローカルな値になります。File Variables in The GNU Emacs Manualを参照してください。

端末ローカル変数をバッファーローカルにすることはできません(複数の端末を参照)。

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