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23.10 キーの照合

キールックアップ(key lookup: キー照合)とは与えられたキーマップからキーシーケンスのバインディングを見つけ出すことです。そのバインディングの使用や実行はキールックアップの一部ではありません。

キールックアップはキーシーケンス内の各イベントのイベント型だけを使用して、そのイベントの残りは無視します。実際のところキールックアップに使用されるキーシーケンスは、マウスイベントをイベント全体(リスト)のかわりにイベント型のみ(シンボル)を用いるでしょう。入力イベントを参照してください。そのようなキーシーケンスはcommand-executeによる実行には不十分ですが、キーのルックアップやリバインドには十分です。

キーシーケンスが複数イベントから構成されるとき、キールックアップはイベントを順に処理します。最初のイベントのバインディングが見つかったとき、それはキーマップでなければなりません。そのキーマップ内で2つ目のイベントを見つけ出して、そのキーシーケンス内のすべてのイベントが消費されるまで、このプロセスを続けます(故に最後のイベントにたいして見つかったイベントはキーマップかどうかはわからない)。したがってキールックアッププロセスはキーマップ内で単一イベントを見つけ出す、よりシンプルなプロセスで定義されます。これが行なわれる方法はキーマップ内でそのイベントに関連するオブジェクトの型に依存します。

キーマップ内のイベント型ルックアップによる値の発見を説明するために、キーマップエントリー(keymap entry)という用語を導入しましょう(これにはメニューアイテムにたいするキーマップ内のアイテム文字列や他の余計な要素は含まれない。なぜならkeymap-lookupや他のキーマップルックアップ関数がリターン値にそれらを含まないから)。任意のLispオブジェクトがキーマップエントリーとしてキーマップに格納されるかもしれませんが、すべてがキールックアップに意味をもつわけではありません。以下のテーブルはキーマップエントリーで重要な型です:

nil

nilはそれまでにルックアップに使用されたイベントが未定義キーを形成することを意味する。最終的にキーマップがイベント型を調べるのに失敗してデフォルトバインディングも存在しないときは、そのイベント型のバインディングがnilであるのと同じである。

command

それまでにルックアップに使用されたイベントがコンプリートキーを形成して、commandがそのバインディングである。関数とは?を参照のこと。

array

array(文字列かベクター)はキーボードマクロである。それまでにルックアップに使用されたイベントはコンプリートキーを形成して、arrayがそのバインディングである。詳細はキーボードマクロを参照のこと。

keymap

それまでにルックアップに使用されたイベントはプレフィクスキーを形成する。そのキーシーケンスの次のイベントはkeymap内でルックアップされる。

list

listの意味はそのリストが何を含んでいるかに依存する:

  • listCARがシンボルkeymapなら、そのリストはキーマップでありキーマップとして扱われる(上記参照)。
  • listCARlambdaなら、そのリストはラムダ式である。これは関数とみなされてそのように扱われる(上記参照)。キーバインディングとして正しく実行されるために、この関数はコマンドでなければならずinteractive指定をもたなければならない。コマンドの定義を参照のこと。
symbol

symbolの関数定義がsymbolのかわりに使用される。もし関数定義もシンボルなら、任意の回数このプロセスが繰り返される。これは最終的にキーマップであるようなオブジェクト、コマンド、またはキーボードマクロに行き着くはずである。

キーマップとキーボードマクロ(文字列かベクター)は有効な関数ではないので関数定義にキーマップ、文字列、ベクターをもつシンボルは関数としては無効であることに注意。しかしキーバインディングとしては有効である。その定義がキーボードマクロなら、そのシンボルはcommand-execute(インタラクティブな呼び出しを参照)の引数としても有効である。

シンボルundefinedは特記するに値する。これはそのキーを未定義として扱うことを意味する。厳密に言うとそのキーは定義されているが、そのバインディングがコマンドundefinedなのである。しかしこのコマンドは未定義キーにたいして自動的に行われるのと同じことを行う。これは(dingを呼び出して)bellを鳴らすがエラーはシグナルしない。

undefinedはグローバルキーバインディングをオーバーライドして、そのキーをローカルに未定義とするために使用される。nilにローカルにバインドしてもグローバルバインディングをオーバーライドしないであろうから、これを行うのに失敗するだろう。

anything else

オブジェクトの他の型が見つかったら、それまでにルックアップで使用されたイベントはコンプリートキーを形成してそのオブジェクトがバインディングになるが、そのバインディングはコマンドとして実行不可能である。

要約するとキーマップエントリーはキーマップ、コマンド、キーボードマクロ、あるいはそれらに導出されるシンボル、あるいはnilのいずれかです。

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