23.2 キーマップの基礎

キーマップはさまざまなキーシーケンスにたいしてキーバインディング(key binding)を指定するLispデータ構造です。

1つのキーマップが、個々のイベントにたいする定義を直接指定します。単一のイベントでキーシーケンスが構成されるとき、そのキーシーケンスのキーマップ内でのバインディングは、そのイベントにたいするそのキーマップの定義です。それより長いキーシーケンスのバインディングは対話的プロセスによって見つけ出されます。まず最初にイベント(それ自身がキーマップでなければならない)の定義を探します。そして次にそのキーマップ内で2つ目のイベントを探すといったように、そのキーシーケンス内のすべてのイベントが処理されるまで、これを続けます。

あるキーシーケンスのバインディングがキーマップであるような場合、わたしたちはそのキーシーケンスをプレフィクスキー(prefix key)と呼び、それ以外の場合には(それ以上イベントを追加できないので)コンプリートキー(complete keylと呼んでいます。バインディングがnilの場合、わたしたちはそのキーを未定義(undefined)と呼びます。C-cC-xC-x 4などはプレフィクスキーの例です。XRETC-x 4 C-fなどは定義されたコンプリートキーの例です。C-x C-gC-c 3などは未定義なコンプリートキーの例です。詳細はプレフィクスキーを参照してください。

キーシーケンスのバインディングを見つけ出すルールは、(最後のイベントの前までに見つかる)中間的なバインディングがすべてキーマップであると仮定します。もしそうでなければ、そのイベントシーケンスは単位を形成せず、実際の単一キーシーケンスではありません。言い換えると任意の有効なキーシーケンスから1つ以上のイベントを取り除くと、常にプレフィクスキーにならなければなりません。たとえばC-f C-nはキーシーケンスではありません。C-fはプレフィクスキーではないので、C-fで始まるこれより長いシーケンスは、キーシーケンスではあり得ないからです。

利用可能な複数イベントキーシーケンスのセットは、プレフィクスキーにたいするバインディングに依存します。したがってこれはキーマップが異なれば異なるかもしれず、バインディングが変更されたときに変更されるかもしれません。しかし単一イベントキーシーケンスは整合性において任意のプレフィクスキーに依存しないので、常に単一のキーシーケンスです。

常に複数のプライマリーキーマップ(primary keymap: 主キーマップ)がアクティブであり、これらはキーバインディングを見つけるために使用されます。すべてのバッファーで共有されるグローバルキーマップ(global map)というキーマップが存在します。ローカルキーマップ(local keymap)は通常は特定のメジャーモードに関連します。そして0個以上のマイナーモードキーマップ(minor mode keymap)はカレントで有効なマイナーモードに属します(すべてのマイナーモードがキーマップをもつわけでなない)。ローカルキーマップは対応するグローバルバインディングをshadow(訳注: 隠すという意味)します。マイナーモードキーマップは、ローカルキーマップとグローバルキーマップの両方をshadowします。詳細はアクティブなキーマップを参照してください。

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