レキシカルバインディングは現代的なEmacs Lisp方言でのみ利用できます(Lisp方言の選択を参照)。レキシカルにバインドされた変数はレキシカルスコープ(lexical scope)をもちます。これはその変数にたいする参照が、そのバインディング構文内にテキスト的に配置されなければならないことを意味しています。以下は例です
(let ((x 1)) ;x
はレキシカルにバインドされる (+ x 3)) ⇒ 4 (defun getx () x) ; この関数内ではx
は自由に使用される (let ((x 1)) ;x
はレキシカルにバインドされる (getx)) error→ Symbol's value as variable is void: x
ここではx
はグローバル値をもちません。let
フォーム内でレキシカルにバインドされたとき、この変数はlet
のテキスト境界内で使用できます。しかしこのlet
内から呼び出されるgetx
関数からは、getx
の関数定義がlet
フォームの外側なので使用することができません。
レキシカルバインディングが機能する方法を説明します。バインディング構文はぞれぞれ、その構文内でローカル値にバインドする変数を指定する、レキシカル環境(lexical environment)を定義します。Lispの評価機能(Lisp evaluator)が、ある変数のカレント値を得たいときは、最初にレキシカル環境内を探します。そこで変数が指定されていなければ、ダイナミック値が格納されるシンボルの値セルを探します。
レキシカルバインディングは不定エクステント(indefinite extent)をもちます。バインディング構造が終了した後でも、そのレキシカル環境はクロージャ(closures)と呼ばれるLispオブジェクト内に“保持”されるかもしれません。クロージャはレキシカルバインディングが有効な、名前つきまたは無名(anonymous)の関数が作成されたときに作成されます。詳細はクロージャーを参照してください。
クロージャが関数として呼び出されたとき、その関数の定義内のレキシカル変数にたいする任意の参照は、維持されたレキシカル環境を使用します。以下は例です:
(defvar my-ticker nil) ; クロージャを格納するために ; この変数を使用する (let ((x 0)) ;x
はレキシカルにバインドされる (setq my-ticker (lambda () (setq x (1+ x))))) ⇒ #f(lambda () [(x 0)] (setq x (1+ x))) (funcall my-ticker) ⇒ 1 (funcall my-ticker) ⇒ 2 (funcall my-ticker) ⇒ 3 x ;x
はグローバル値をもたないことに注意 error→ Symbol's value as variable is void: x
Here, the let
binding defines a lexical environment in which the
variable x
is locally bound to 0. Within this binding construct, we
define a lambda expression which increments x
by one and returns the
incremented value. This lambda expression is automatically turned into a
closure, in which the lexical environment lives on even after the let
binding construct has exited. Each time we evaluate the closure, it
increments x
, using the binding of x
in that lexical
environment.
シンボルオブジェクト自体に束縛されるダイナミック変数と異なり、レキシカル変数とシンボルの関係はインタープリター(かコンパイラー)内にのみ存在します。したがって(symbol-value
、boundp
、set
のような)シンボル引数を受け取る関数ができるのは、変数のダイナミックなバインディング(そのシンボルの値セルの内容)の取得と変更だけです。
Note also that variables may be declared special, in which case they will
use dynamic binding, even for new bindings such as a let
binding.
Depending on how the variable is declared, it can be special globally, for a
single file, or for a portion of a file. See ダイナミックバインディング for
details.