上述のガーベージコレクターはLispプログラムから可視なデータ、同様にLispインタープリターが内部的に使用するほとんどのデータの管理に使用されます。インタプリターのCスタックを使用して一時的に内部オブジェクトを割り当てることが有用なときがあります。割り当てとガーベージコレクターによる解放は、ヒープメモリーよりスタック割り当てを使用するほうが通常は高速なので、これはパフォーマンスの改善の助けになります。これには解放後にそのようなオブジェクトを使用することにより未定義の挙動を引き起こすという欠点があるので、使用においては熟考するとともにGC_CHECK_MARKED_OBJECTS
機能(src/alloc.cを参照)を使用して慎重にデバッグするべきです。特にスタックに割り当てられたオブジェクトはユーザーのLispコードからは決して可視にならないようにする必要があります。
現在のことろコンスセルと文字列をこの方法で割り当てできます。これはblock寿命をもつ名前つきLisp_Object
を定義するAUTO_CONS
やAUTO_STRING
のようなCマクロで実装されています。これらのオブジェクトはガーベージコレクターでは解放されません。かわりにこれらは自動記憶期間(automatic
storage
duration)をもちます。つまりそれらはすべてローカル変数のように割り当てられて、そのオブジェクトを定義するCブロックの実行の最後に自動的に解放されます。
性能的な理由によりスタックに割り当てられる文字列はASCII文字に限定されており、それらの多くが不変です。つまりそれらにたいしてASET
を呼び出すと未定義の挙動を引き起こします。