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11.10.2 Creating and Deleting Buffer-Local Bindings

Command: make-local-variable variable

この関数はカレントバッファー内で、variable(シンボル)にたいして、バッファーローカルなバインディングを作成します。他のバッファーは影響を受けません。returnされる値は、variableです。

variableのバッファーローカルな値は最初、以前にvariableがもっていた値と同じ値をもちます。variableがvoidのときは、voidのままです。

;; バッファー‘b1’で行う:
(setq foo 5)                ; すべてのバッファーに影響する。
     ⇒ 5
(make-local-variable 'foo)  ; b1’内でローカルになった。
     ⇒ foo
foo                         ; 値は変更されない。
     ⇒ 5
(setq foo 6)                ; b1’内で値を変更。
     ⇒ 6
foo
     ⇒ 6

;; バッファー‘b2’では、値は変更されていない。
(with-current-buffer "b2"
  foo)
     ⇒ 5

変数をletバインディングでバッファーローカルにしても、letへの出入り時の両方で、これを行うバッファーがカレントでない場合は、信頼性がありません。これはletがバインディングの種類を区別しないからです。letはバインディングを作成される変数だけを知るからです。

変数が端末ローカル(Multiple Terminalsを参照してください)の場合、この関数はエラーをシグナルします。そのような変数は、バッファーローカルなバインディングをもつことができません。

警告: フック変数にたいしてmake-local-variableを使用しないでください。フック変数は、add-hookまたはremove-hooklocal引数を使用した場合、必要に応じて自動的にバッファーローカルになります。

Macro: setq-local variable value

このマクロはカレントバッファー内でvariableにたいしてバッファーローカルなバインディングを作成して、それにバッファーローカルな値valueを与えます。このマクロはmake-local-variableに続けてsetqを呼び出すのと同じです。variableはクォートされていないシンボルです。

Command: make-variable-buffer-local variable

このコマンドは、variable(シンボル)が自動的にバッファーローカルになるようにマークするので、それ以降にその変数へのセットを試みると、その時点でカレントのバッファーにローカルになります。しばしば混乱を招くmake-local-variableとは異なり、これが取り消されることはなく、すべてのバッファー内での変数の挙動に影響します。

この機能に特有の欠点は、(letまたはその他のバインディング構造による)変数のバインディングが、その変数にたいするバッファーローカルなバインディングを作成しないことです。(setまたはsetqによる)変数のセットだけは、その変数がカレントバッファーで作成されたletスタイルのバインディングをもたないので、ローカルなバインディングを作成します。

variableがデフォルト値をもたない場合、このコマンドの呼び出しはnilのデフォルト値を与えます。variableがすでにデフォルト値をもつ場合、その値は変更されずに残ります。それ以降にvariableにたいしてmakunboundを呼び出すと、バッファーローカル値をvoidにして、デフォルト値は影響を受けずに残ります。

return値はvariableです。

警告: ユーザーオプション変数にたいしては、ユーザーは異なるバッファーにたいして異なるカスタマイズを望むかもしれないので、make-variable-buffer-localを使うべきだと決め込むべきではありません。ユーザーは、望むなら任意の変数をローカルにできます。それらの選択の余地を残すほうがよいでしょう。

make-variable-buffer-localを使用すべきときは、複数のバッファーが同じバインディングを共有しないことが自明な場合です。たとえば、バッファーごとに個別な値をもつことに依存するLispプログラム内の内部プロセスにたいして変数が使用されるときは、make-variable-buffer-localの使用が最善の解決策になるかもしれません。

Macro: defvar-local variable value &optional docstring

このマクロはvariableを、初期値valueおよびdocstringの変数として定義して、それを自動的にバッファーローカルとマークします。これはdefvarの後につづけてmake-variable-buffer-localを呼び出すのと同じです。variableはクォートされていないシンボルです。

Function: local-variable-p variable &optional buffer

これはvariableがバッファーbuffer(デフォルトはカレントバッファー)内でバッファーローカルのときはt、それ以外はnilをreturnします。

Function: local-variable-if-set-p variable &optional buffer

これはvariableがバッファーbuffer内でバッファーローカル値をもつか、自動的にバッファーローカルになる場合は、tをreturnします。それ以外はnilをreturnします。bufferが省略またはnilの場合のデフォルトは、カレントバッファーです。

Function: buffer-local-value variable buffer

この関数は、バッファーbuffer内の、variable(シンボル)のバッファーローカルなバインディングをreturnします。variableがバッファーbuffer内でバッファーローカルなバインディングをもたない場合は、かわりにvariableのデフォルト値(Default Value)をreturnします。

Function: buffer-local-variables &optional buffer

この関数はバッファーbuffer内のバッファーローカル変数を表すリストをreturnします(bufferが省略された場合はカレントバッファーが使用されます)。リストの各要素は通常、(sym . val)という形式をもちます。ここでsymはバッファーローカル変数(シンボル)、valはバッファーローカル値です。しかしbuffer内の、ある変数のバッファーローカルなバインディングがvoidのtきは、その変数に対応するリスト要素は単にsymになります。

(make-local-variable 'foobar)
(makunbound 'foobar)
(make-local-variable 'bind-me)
(setq bind-me 69)
(setq lcl (buffer-local-variables))
    ;; 最初はすべてのバッファー内でローカルなビルトイン変数:
⇒ ((mark-active . nil)
    (buffer-undo-list . nil)
    (mode-name . "Fundamental")
    …
    ;; 次にビルトインでないバッファーローカル変数。
    ;; This one is buffer-local and void:
    foobar
    ;; これはバッファーローカルでvoidではない:
    (bind-me . 69))

このリスト内のコンスセルのCDRに新たな値を格納しても、その変数のバッファーローカル値は変化しないことに注意してください。

Command: kill-local-variable variable

この関数はカレントバッファー内のvariable(シンボル)にたいするバッファーローカルなバインディング(もしあれば)を削除します。その結果として、このバッファー内でvariableのデフォルトバインディングが可視になります。これは通常、variableの値を変更します。デフォルト値は削除されたバッファーローカル値とは異なるのが普通だからです。

セットしたとき自動的にバッファーローカルになる変数のバッファーローカルなバインディングをkillした場合は、これによりカレントバッファーな意でデフォルト値が可視になります。しかし、変数を再度セットすると、その変数にたいするバッファーローカルなバインディングが再作成されます。

kill-local-variablevariableをreturnします。

この関数はコマンドです。なぜなら、バッファーローカル変数のインタラクティブな作成が有用な場合があるように、あるバッファーローカル変数のインタラクティブなkillが有用な場合があるからです。

Function: kill-all-local-variables

この関数は、“permanent(永続的)”とマークされた変数、およびpermanent-local-hookプロパティーに非nilをもつローカルフック関数(Setting Hooks)を除き、カレントバッファーのすべてのバッファーローカルなバインディングを解消します。結果として、そのバッファーはほとんどの変数のデフォルト値を参照するようになります。

この関数は、そのバッファーに関係のあるその他の特定の情報もリセットします。これはローカルキーマップ(local keymap)をnil、構文テーブル(syntax table)を(standard-syntax-table)の値、大文字小文字テーブル(case table)を(standard-case-table)、abbrevテーブル(abbrev table)をfundamental-mode-abbrev-tableの値にセットします。

この関数が1番最初に行うのは、ノーマルフックchange-major-mode-hook(以下参照)の実行です。

各メジャーモードコマンドは、Fundamentalモードにスイッチする効果をもち、以前のメジャーモードのほとんどの効果を消去する、この関数を呼び出すことにより開始されます。この関数が処理を行うのを確実にするために、メジャーモードがセットする変数はpermanentとマークすべきではありません。

kill-all-local-variables returns nil.

Variable: change-major-mode-hook

関数kill-all-local-variablesは、何か他のことを行う前に、まずこのノーマルフックを実行します。この関数はメジャーモードにたいして、ユーザーが他のメジャーモードにスイッチした場合に行われる、何か特別なことを準備する方法を与えます。この関数は、ユーザーがメジャーモードを変更した場合に忘れられるべき、バッファー固有のマイナーモードにたいしても有用です。

最善の結果を得るために、この変数をバッファーローカルにすれば、処理が終了したときに消えるので、以降のメジャーモードに干渉しなくなります。Hooksを参照してください。

変数名(シンボル)が非nilpermanent-localプロパティーをもつ場合、バッファーローカル変数はpermanent(永続的)です。そのような変数はkill-all-local-variablesの影響を受けず、したがってメジャーモードの変更によりそれらのローカルバインディングは作成されません。permanentなローカル変数は、ファイルの内容を編集する方法などより、どこから読み込んだファイルか、あるいはどのように保存するかといったことに関連するデータに適しています。