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11.10.1 Introduction to Buffer-Local Variables

バッファーローカル変数は、特定のバッファーに関連づけられた、バッファーローカルなバインディングをもちます。このバインディングは、そのバッファーがカレントのときに効果をもち、カレントでないときは効果がありません。バッファーローカルなバインディングが効力をもつときにその変数をセットした場合、そのバインディングは新しい値をもちますが、他のバインディングは変更されません。これは、バッファーローカルなバインディングを作成したバッファーだけで変更が見えることを意味します。

その変数にたいする特定のバッファーに関連づけられていない通常のバインディングは、デフォルトバインディング(default binding)と呼ばれます。ほとんどの場合、これはグローバルバインディングです。

変数は、あるバッファーではバッファーローカルなバインディングをもつことができ、他のバッファーではもたないことができます。デフォルトバインディングは、その変数にたいして自身のバインディングをもたない、すべてのバッファーで共有されます(これには、新たに作成されたバッファーが含まれます)。ある変数にたいしてバッファーローカルなバインディングをもたないバッファーでその変数をセットすると、デフォルトバインディングがセットされるので、それはデフォルトバインディングを参照するすべてのバッファーで新しい値を見ることができます。

バッファーローカルなバインディングのもっとも一般的な使用は、目はーモードがコマンドの動作を制御するために変数を変更する場合です。たとえばCモードやLispモードは、空行だけがパラグラフの区切りになるように、変数paragraph-startをセットします。これらのモードは、CモードやLispモードになるようなバッファー内でこの変数をバッファーローカルにすることによりこれを行い、その後そのモードにたいして新しい値をセットします。Major Modesを参照してください。

バッファーローカルなバインディングを作成する通常の方法は、make-local-variableによる方法で、これは通常メジャーモードが使用します。これはカレントバッファーだけに効果があります。その他すべてのバッファー(まだ作成されていないバッファーを含む)は、それらのバッファー自身が明示的にバッファーローカルなバインディングを与えられるまで、デフォルト値の共有を続けます。

変数を自動的にバッファーローカルになるようにマークする、より強力な操作は、make-variable-buffer-localを呼び出すことにより行われます。これは、たとえその変数がまだ作成されていなくても、変数をすべてのバッファーにたいしてローカルにすると考えることができます。より正確には、変数を自動的にセットすることにより、その変数がカレントバッファーにたいしてローカルでなくても、変数をローカルにする効果があります。すべてのバッファーは最初は通常のようにデフォルト値を共有しますが、この変数をセットすることによりカレントバッファーにたいしてバッファーローカルなバインディングを作成します。新たな値はバッファーローカルなバインディングに格納され、デフォルトバインディングは変更されずに残ります。これは、任意のバッファーでsetqによりデフォルト値を変更できないことを意味します。変更する唯一の方法は、setq-defaultだけです。

警告: ある変数が1つ以上のバッファーでバッファーローカルなバインディングをもつとき、letはそのとき効果をもつ変数のバインディングをリバインドします。たとえばq、カレントバッファーがバッファーローカルな値をもつ場合、letは一時的にそれをリバインドします。効果をもつバッファーローカルなバインディングが存在しない場合、letはデフォルト値をリバインドします。letの内部で、別のバインディングが効力をもつ別のバッファーをカレントバッファーにすると、それ以上letバインディングを参照できなくなります。他のバッファーにいる間にletを抜けると、(たとえそれが正しくても)バインディングの解消を見ることはできません。以下にこれを示します:

(setq foo 'g)
(set-buffer "a")
(make-local-variable 'foo)
(setq foo 'a)
(let ((foo 'temp))
  ;; foo ⇒ 'temp  ; バッファー‘a’内でのletバインディング
  (set-buffer "b")
  ;; foo ⇒ 'g     ; fooは‘b’にたいしてローカルではないためグローバル値
  body…)
foo ⇒ 'g        ; exitによりバッファー‘a’のローカル値が復元されるが、
                 ; バッファー‘b’では見ることができない
(set-buffer "a") ; ローカル値が復元されたことを確認
foo ⇒ 'a

body内のfooにたいする参照は、バッファー‘b’のバッファーローカルなバインディングにアクセスすることに注意してください。

あるファイルがローカル変数の値をセットする場合、これらの変数はファイルをvisitするときバッファーローカルな値になります。File Variables in The GNU Emacs Manualを参照してください。

バッファーローカル変数を、端末ローカル(terminal-local)にすることはできません(Multiple Terminalsを参照してください)。