Next: , Up: Errors   [Contents][Index]


10.5.3.1 How to Signal an Error

エラーのシグナリング(signaling)とは、エラーの処理を開始することを意味します。エラー処理は通常、実行中のプログラムのすべて、または一部をアボート(abort)して、エラーをハンドルするためにセットアップされた位置にreturnします。ここでは、エラーをシグナルする方法を記述します。

ほとんどのエラーは、たとえば、整数にたいしてCARを求めたり、バッファーの最後で1文字前方に移動したときなどのように、他の目的のために呼び出したLisp基本関数の中で、“自動的”にシグナルされます。関数errorsignalで、明示的にエラーをシグナルすることもできます。

ユーザーがC-gをタイプしたときに発生するquitは、エラーとは判断されませんが、ほとんどはエラーと同様に扱われます。Quittingを参照してください。

すべてのエラーメッセージはそれぞれ、何らかのエラーメッセージを指定します。そのメッセージは、何が悪いのか(“File does not exist”)、物事がどうしてそうあるべきではない(“File must exist”)かを示すべきです。Emacs Lispの監修では、エラーメッセージは大文字で開始され、句読点で終わるべきではありません。

Function: error format-string &rest args

この関数は、format-stringargsにたいして、format(Formatting Stringsを参照してください)を適用することにより構築されたエラーメッセージとともに、エラーをシグナルします。

以下は、errorを使用する典型的な例です:

(error "That is an error -- try something else")
     error→ That is an error -- try something else

(error "You have committed %d errors" 10)
     error→ You have committed 10 errors

2つの引数 — エラーシンボルerrorと、formatによりreturnされる文字列を含むリスト — でsignalを呼び出すことにより、errorは機能します。

警告: エラーメッセージとして固定の文字列を使用したい場合、単に(error string)とは記述しないでください。もしstringが‘%’を含む場合、それはフォーマット指定子(format specifier)として解釈されてしまうので、望む結果は得られません。かわりに、(error "%s" string)を使用してください。

Function: signal error-symbol data

この関数は、error-symbolにより命名されるエラーをシグナルします。引数dataは、エラーの状況に関連する追加のLispオブジェクトのリストです。

引数error-symbolは、エラーシンボル(error symbol)define-errorにより定義されYたシンボル — でなければなりません。これはEmacs Lispが異なる種類のエラーをクラス分けする方法です。エラーシンボル(error symbol)、エラーコンディション(error condition)、コンディション名(condition name)の説明については、Error Symbolsを参照してください。

エラーが処理されない場合、エラーメッセージをプリントするために2つの引数が使用されます。このエラーメッセージは通常、error-symbolerror-messageプロパティーにより提供されます。dataが非nilの場合、その後にコロンと、dataの評価されていない要素を、カンマで区切ったリストが続きます。errorが発生した場合、エラーメッセージは、dataCAR(文字列でなければなりません)です。file-errorのサブカテゴリーは、特別に処理されます。

data内のオブジェクトの数と重要性は、error-symbolに依存します。たとえば、wrong-type-argumentエラーでは、リスト内には2つのオブジェクト — 期待する型を記述する述語と、その型への適合に失敗したオブジェクト — であるべきです。

エラーを処理する任意のエラーハンドラーにたいして、error-symboldataの両方を利用できます。condition-caseは、ローカル変数を(error-symbol . data)というフォームでバインドします(Handling Errorsを参照してください)。

関数signalは、決してreturnしません。

(signal 'wrong-number-of-arguments '(x y))
     error→ Wrong number of arguments: x, y

(signal 'no-such-error '("My unknown error condition"))
     error→ peculiar error: "My unknown error condition"
Function: user-error format-string &rest args

この関数は、errorとまったく同じように振る舞いますが、errorではなく、user-errorというエラーシンボルを使用します。名前が示唆するように、このエラーはコード自身のエラーではなく、ユーザーパートのエラーの報告を意図しています。たとえば、Infoの閲覧履歴の開始を超えて履歴を遡るためにコマンドInfo-history-back (l)を使用した場合、Emacsはuser-errorをシグナルします。このようなエラーでは、たとえdebug-on-errorが非nilであっても、デバッガーへのエントリーは発生しません。Error Debuggingを参照してください。

Common Lispに関する注意: Emacs Lispには、Common Lispのような継続可能なエラーのような概念は存在しません。