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2.3.4 Symbol Type

GNU Emacs Lispでのシンボル(symbol)とは、名前をもつオブジェクトです。シンボル名は、そのシンボルのプリント表現としての役割があります。Lispの通常の使用では、1つのobarray(Creating Symbolsを参照してください)により、シンボル名は一意です — 2つのシンボルが同じ名前をもつことはありません。

シンボルは、変数、関数名としての役割や、プロパティーリストを保持する役割をもつことができます。他のすべてのLispオブジェクトから区別するためだけの役割をもつ場合もあり、データ構造内にそのようなシンボルが存在することは、確実に認識されるでしょう。与えられたコンテキストにおいて、通常はこれらのうちの1つの使用だけが意図されます。しかし3つすべての方法で、1つのシンボルを独立して使用することもできます。

名前がコロン(‘:’)で開始されるシンボルは、キーワードシンボル(keyword symbol)と呼ばれます。これらのシンボルは自動的に定数として振る舞い、通常は未知のシンボルと、いくつかの特定の候補を比較することだけに使用されます。Constant Variablesを参照してください。

シンボル名にはどんな文字でも含めることができます。ほとんどのシンボル名は英字、数字、‘-+=*/’などの句読点文字で記述されます。このような名前には、特別な句読点文字は必要ありません。名前が数字のように見えない限りは、名前にはどのような文字も使用できます(名前が数字のように見える場合は、名前の先頭に‘\’を記述して、強制的にシンボルとして解釈させます)。文字‘_~!@$%^&:<>{}?’はあまり使用されませんが、これらも特別な句読点文字を必要としません。他の文字も、バックスラッシュでエスケープすることにより、シンボル名に含めることができます。しかし、文字列内でのバックスラッシュの使用とは対照的に、シンボル名でのバックスラッシュは、バックスラッシュの後の1文字をエスケープするだけです。たとえば文字列内では、‘\t’はタブ文字を表します。しかしシンボル名の中では、‘\t’は英字‘t’をクォートするに過ぎません。 名前にタブ文字をもつシンボルを記述するには、(バックスラッシュを前置した)実際のタブを使用しなければなりません。しかし、そのようなことを行なうことは、めったにありません。

Common Lispに関する注意:Common Lispでは、明示的にエスケープされない限り、小文字は常に大文字に“フォールドされ(folded)”ます。Emacs Lispでは大文字と小文字は区別されます。

以下はシンボル名の例です。4番目の例の中の‘+’は、シンボルが数字として読み取られるのを防ぐために、エスケープされていることに注意してください。6番目の例では、名前の残りの部分により数字としては不正なので、エスケープの必要はありません。

foo                 ; foo’という名前のシンボル。
FOO                 ; foo’とは別の、‘FOO’という名前のシンボル。
1+                  ; 1+’という名前のシンボル
                    ;   (整数の‘+1’ではありません)。
\+1                 ; +1’という名前のシンボル
                    ;   (とても読みやすい名前とはいえません)。
\(*\ 1\ 2\)         ; (* 1 2)’という名前のシンボル(悪い名前)。
+-*/_~!@$%^&=:<>{}  ; +-*/_~!@$%^&=:<>{}’という名前のシンボル。
                    ;   これらの文字はエスケープする必要はありません。

シンボル名がプリント表現としての役割をもつというルールの例外として、‘##’があります。これは、名前が空文字列の、internされたシンボルのプリント表現です。さらに‘#:foo’は、internされていないfooという名前のシンボルにたいするプリント表現です(通常、Lispリーダーはすべてのシンボルをinternします。Creating Symbolsを参照してください)。