HaikuにEmacsをインストールすると、2つの実行可能ファイルがバイナリー用ディレクトリーにコピーされます。これらはファイルシステムのメタデータを識別するための一部を除き同一です。1つ目は通常のEmacs実行可能ファイルemacs、2つ目はファイルシステムおよびそれにたいするフレームのオープンという両方をシステムに帰属させるための、アイコンとアプリケーションの“署名(signature)”が組み込まれています。これによりファイルタイプの割当を受け取って、Trackerから直接ファイルをオープンできるようになります。
Emacsには複数のファイル属性がセットされていて、システムが実行できるのは常に1つのコピーだけです。この不変条件はディスプレイ接続の確立時に検証されて、すでに存在するディスプレイ接続の作成を試みるEmacsプロセスを終了することによって適用されます。
これと他の理由もありEmacsはEmacsのGUIセッションの開始に適しており、もう一方のemacsについては別のタイプのEmacsセッションに使う必要があります。
HaikuにおけるEmacsはHyperのような普通とは異なる修飾キーや、システムのSuperキーマップが生成したアクセントつき文字を受信できません。
デフォルトではSuper修飾は、オペレーティングシステムによって定義されたOptionを押下した際に報告されます。同様にMeta修飾はCommandキー、そして当然ControlはシステムのControlキー、ShiftはシステムのShiftキーに割り当てられています。標準的なPCキーボードでは、HaikuはこれらのキーをGNUシステムで慣れ親しんだ位置へとマップする必要がありますが、これを機能させるためにはシステム構成に幾らか調節を要するかもしれません。
システムが認識している修飾キーとEmacsが認識しているキーの関連は、以下に記述する変数によってカスタマイズすることができます。
haiku-meta-keysym ¶EmacsがMetaキーとして扱うシステムの修飾キー。デフォルトはcommand。
haiku-control-keysym ¶EmacsがControlキーとして扱うシステムの修飾キー。デフォルトはcontrol。
haiku-super-keysym ¶EmacsがSuperキーとして扱うシステムの修飾キー。デフォルトはoption。
haiku-shift-keysym ¶EmacsがShiftキーとして扱うシステムの修飾キー。デフォルトはshift。
これらの変数それぞれにたいする値としてはcommand、control、option、shift、あるいはnilのいずれかのシンボルを指定できます。nilやこれら以外のすべての値にたいしてはデフォルト値が使用されます。
HaikuでのEmacsは、デフォルトではシステムのツールチップメカニズムを使用します。これによりツールチップの応答性が向上する場合もありますが、このツールチップではテキストのプロパティやフェイスの表示はできません。これらの機能が必要な場合には、変数use-system-tooltipsをnil値にカスタマイズすれば、Emacs自身で実装されたツールチップを使うことができます。
Xウィンドウシステムとは異なり、Haikuはシステムワイドなリソースデータベースを提供しません。重要なオプションの多くはXリソースを通じて指定されるオプションなので、それのエミュレーションが提供されています。Emacsは起動時にユーザーの構成ディレクトリー(通常は/boot/home/config/settings)にあるGNU
Emacsという名前のファイルをロードします。このファイルはフラット構造のシステムメッセージでキーと値(どちらも文字列)はそれぞれ属性とその属性の値に対応しています。このようなファイルはxmlbmessageツールによって作成されるかもしれません。
変数haiku-debug-on-fatal-errorが非nilの場合には、致命的シグナルの受信時にEmacsがシステムデバッガを起動します。この変数のデフォルトはtです。システムでGDBを使えない場合には、システムデバッガによって生成されたレポートをバグの報告時に添付してください。