コンテキストに応じて‘``’、‘"’、‘''’のどれかを挿入します(tex-insert-quote
)。
パラグラフの区切り(2つの改行)を挿入して、前のパラグラフの釣り合いの取れていない大カッコ(braces)やドル記号をチェックします(tex-terminate-paragraph
)。
リージョン内のパラグラフの、釣り合いのとれていない大カッコやドル記号をチェックします。
‘{}’を挿入して、ポイントをその間に配します(tex-insert-braces
)。
対応が取れていない、次の閉じ大カッコの後ろに、前方に移動します(up-list
)。
TeXでは文字‘"’は通常使用されません。かわりに‘``’で始まり‘''’で終わる引用が使用されます。したがってTeXモードは"キーをtex-insert-quote
コマンドにバインドしています。これは空白文字または開き大カッコの後ろに‘``’、バックスラッシュの後に‘"’、それ以外の文字の場合は‘''’を挿入します。
特別な例外として、ポイントの前のテキストが‘``’か‘''’のときに"をタイプすると、Emacsは前のテキストを1つの"で置き換えます。したがって、必要がある時は""とタイプして‘"’を挿入できます(C-q "を使用してこの文字を挿入することもできます)。
TeXモードでは、‘$’は特別な構文コードを持っていて、それはTeXの数式モードの区切りを理解しようと試みます。数式モードを抜けるために‘$’を入力した場合、数式モードに入るための対応する‘$’の位置が1秒間表示されます。これは閉じ大カッコが挿入されたとき、それに対応する開き大カッコが表示されるのと同じき機能です。しかし‘$’が数式モードに入るためなのか、それとも抜けるためなのかを指示する方法はありません。したがって、もし対応するものがある場合、実際にはそれが関係なくても、前の‘$’の位置が表示されます。
TeXは大カッコを、対応が取れていなければならない区切りとして使用します。これを1つずつ挿入するより、つねに大カッコの対応が取られている方を好むユーザーもいます。C-c
{
(tex-insert-braces
)を使うと、対になった大カッコを挿入します。これはポイントを2つの大カッコの間に配すので、中のテキストを挿入することができます。その後でコマンドC-c
} (up-list
)を使用すると、前方の閉じ大カッコの先に移動します。あるテキストをマークした後にC-c
{を呼び出すこともでき、その場合このコマンドはマークされたテキストを大カッコで括ります。
対応の取れていない大カッコをチェックするコマンドが2つあります。C-j
(tex-terminate-paragraph
)は、ポイントの前のパラグラフをチェックして、新しいパラグラフを開始するための2つの改行を挿入します。対応が取れていないものが見つかった場合、エコーエリアにメッセージを出力します。M-x
tex-validate-regionはリージョンを、パラグラフごとにチェックします。エラーは*Occur*バッファーにリストされます。そのバッファーでは、特定のミスマッチをvisitするC-c
C-cなどの、通常のOccurモードのコマンドを使用できます(その他の検索およびループコマンドを参照してください)。
TeXのEmacsコマンドは大カッコだけではなく、角カッコ(square brackets)やカッコ(parentheses)などもカウントすることに注意してください。これはTeX構文をチェックする目的としては、厳密に正しいとは言えません。しかしカッコと角カッコはテキストの中で、同じような対応の取れた区切りとして使用され、さまざまな移動コマンドや、対応する区切りの表示が、それらにたいして機能するのは便利なのです。