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31.10 アンドゥリストの保守

このセクションでは与えられたバッファーにたいしてundo情報を有効や無効にする方法を説明します。undoリストが巨大化しないようにundoリストを切り詰める方法も説明します。

新たに作成されたバッファー内のundo情報記録は、通常は開始とともに有効になります。しかしバッファー名がスペースで始まる場合には、undoの記録は初期状態では無効になっています。以下の2つの関数、または自身でbuffer-undo-listをセットすることにより、undo記録の有効化や無効化を明示的に行うことができます。

Command: buffer-enable-undo &optional buffer-or-name

このコマンドは以降の変更をundo可能にするように、バッファーbuffer-or-nameのundo情報記録を有効にする。引数が与えられなければカレントバッファーを使用する。そのバッファー内のundo記録がすでに有効ならこの関数は何も行わない。リターン値はnil

インタラクティブな呼び出しではbuffer-or-nameはカレントバッファーであり、他のバッファーを指定することはできない。

Command: buffer-disable-undo &optional buffer-or-name

この関数はbuffer-or-nameのundoリストを破棄して、それ以上のundo情報記録を無効にする。結果として以前の変更と以後のすべての変更にたいするそれ以上のundoは不可能になる。buffer-or-nameのundoリストがすでに無効ならこの関数に効果はない。

インタラクティブな呼び出しではBUFFER-OR-NAMEはカレントバッファー。他のバッファーを指定することはできない。リターン値はnil

編集が継続されるにつれ、undoリストは次第に長くなっていく。利用可能なメモリー空間すべてを使い尽くすのを防ぐために、ガベージコレクションがundoリストを設定可能な制限サイズに切り詰め戻す(この目的のために、undoリストの“サイズ”はリストを構成するコンスセルに加えて削除された文字列により算出される)。undo-limitundo-strong-limitundo-outer-limitの3つの変数は、許容できるサイズの範囲を制御する。これらの変数においてサイズは専有するバイト数で計数され、それには保存されたテキストとその他データが含まれる。

User Option: undo-limit

これは許容できるundoリストサイズのソフトリミット。このサイズを超過した箇所の変更グループは最新の変更グループ1つが保持される。

User Option: undo-strong-limit

これはundoリストの許容できるサイズの上限。このサイズを超過する箇所の変更グループは(その他すべてのより古い変更グループとともに)自身を破棄する。1つ例外がありundo-outer-limitを超過すると最新の変更グループだけが破棄される。

User Option: undo-outer-limit

ガベージコレクション時にカレントコマンドのundo情報がこの制限を超過したら、Emacsはその情報を破棄して警告を表示する。これはメモリーオーバーフローを防ぐための最後の回避用リミットである。

User Option: undo-ask-before-discard

この変数が非nilならundo情報のundo-outer-limit超過時に、Emacsはその情報を破棄するかどうかをエコーエリアで尋ねる。デフォルト値はnilでこれは自動的な破棄を意味する。

このオプションは主にデバッグを意図している。これを尋ねる際にはガベージコレクションは抑制されており、もしユーザーがその問にたいして答えるのをあまりに長くかかるなら、Emacsがメモリーリークを起こすかもしれないことを意味する。