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20.1 ミニバッファーの概要

ほとんどの点においてミニバッファーは普通のEmacsバッファーです。編集コマンドのようなバッファーにたいする操作のほとんどはミニバッファーでも機能します。しかしバッファーを管理する操作の多くはミニバッファーに適用できません。ミニバッファーは常に‘ *Minibuf-number*という形式の名前をもち変更はできません。ミニバッファーはミニバッファー用の特殊なウィンドウだけに表示されます。これらのウィンドウは常にフレーム最下に表示されます(フレームにミニバッファーウィンドウがないときやミニバッファーウィンドウだけをもつ特殊なフレームもある)。Minibuffers and Framesを参照してください。

ミニバッファー内のテキストは常にプロンプト文字列(prompt string)で開始されます。これはミニバッファーを使用しているプログラムが、ユーザーにたいしてどのような種類の入力が求められているか告げるために指定するテキストです。このテキストは意図せずに変更してしまわないように、読み取り専用としてマークされます。このテキストはbeginning-of-lineforward-wordforward-sentenceforward-paragraphを含む特定の移動用関数が、プロンプトと実際のテキストの境界でストップするようにフィールド(Fieldsを参照)としてもマークされています。

ミニバッファーのウィンドウは通常は1行です。ミニバッファーのコンテンツがより多くのスペースを要求する場合には自動的に拡張されます。ミニバッファーのウィンドウがアクティブな間はウィンドウのサイズ変更コマンドで一時的にウィンドウのサイズを変更できます。サイズの変更はミニバッファーをexitしたときに通常のサイズにリバートされます。ミニバッファーがアクティブでないときはフレーム内の他のウィンドウでウィンドウのサイズ変更コマンドを使用するか、マウスでモードラインをドラッグして、ミニバッファーのウィンドウのサイズを永続的に変更できます(現実装ではこれが機能するにはresize-mini-windowsnilでなければならない)。フレームがミニバッファーウィンドウだけを含む場合にはフレームのサイズを変更してミニバッファーのサイズを変更できます。

ミニバッファーの使用によって入力イベントが読み取られて、this-commandlast-commandのような変数の値が変更されます(Command Loop Infoを参照)。プログラムにそれらを変更させたくない場合は、ミニバッファーを使用するコードの前後でそれらをバインドするべきです。

ある状況下では、アクティブなミニバッファーが存在するときでもコマンドがミニバッファーを使用できます。そのようなミニバッファーは再帰ミニバッファー(recursive minibuffer)と呼ばれます。この場合は最初のミニバッファーは‘ *Minibuf-1*という名前になります。再帰ミニバッファーはミニバッファー名の最後の数字を増加することにより命名されます(名前はスペースで始まるので通常のバッファーリストには表示されない)。再帰ミニバッファーが複数ある場合は、最内の(もっとも最近にエンターされた)ミニバッファーがアクティブミニバッファーです。変数enable-recursive-minibuffers、またはコマンドシンボルのその名前のプロパティをセットすることにより再帰ミニバッファーを許可したり禁止できます(Recursive Miniを参照)。

他のバッファーと同様、ミニバッファーは特別なキーバインドを指定するためにローカルキーマップ(Keymapsを参照)を使用します。ミニバッファーを呼び出す関数も、処理を行うためにローカルマップをセットアップします。補完なしのミニバッファーローカルマップについてはText from Minibufferを参照してください。補完つきのミニバッファーローカルマップについてはCompletion Commandsを参照してください。

ミニバッファーが非アクティブのときのメジャーモードはminibuffer-inactive-mode、キーマップはminibuffer-inactive-mode-mapです。これらは実際にはミニバッファーが別フレームにある場合のみ有用です。Minibuffers and Framesを参照してください。

Emacsがバッチモードで実行されている場合には、ミニバッファーからの読み取りリクエストは、実装にはEmacs開始時に提供された標準入力記述子から行を読み取ります。これは基本的な入力だけをサポートします。特別なミニバッファーの機能(ヒストリー、補完など)はバッチモードでは利用できません。