キーマップはそれぞれCARがシンボルkeymapであるようなリストです。このリストの残りの要素はそのキーマップのキーバインディングを定義します。関数定義がキーマップであるようなシンボルもキーマップです。あるオブジェクトがキーマップかどうかテストするには、関数keymapp(以下参照)を使用してください。
キーマップを開始するシンボルkeymapの後には、いくつかの種類の要素が出現します:
(type . binding)これは型typeのイベントにたいする1つのバインディングを指定する。通常のバインディングはそれぞれ、常に文字かシンボルであるような特定のイベント型(event type)のイベントに適用される。イベントの分類を参照のこと。この種のバインディングでは、bindingはコマンドである。
(type item-name . binding)これはメニュー内でitem-nameとして表示されるシンプルなメニューアイテムでもあるようなバインディングを指定する。単純なメニューアイテムを参照のこと。
(type item-name help-string . binding)これはヘルプ文字列help-stringのシンプルなメニューアイテムである。
(type menu-item . details)これは拡張されたメニューアイテムでもあるようなバインディングを指定する。これは他の機能も使用できる。拡張メニューアイテムを参照のこと。
(t . binding) ¶これはデフォルトキーバインディング(default key
binding)を指定する。キーマップの他の要素でバインドされないイベントは、バインディングとしてbindingが与えられる。デフォルトバインディングにより、利用可能なすべてのイベント型を列挙することなくバインドできる。デフォルトバインディングをもつキーマップは、明示的にnilにバインドされるイベント(以下参照)を除いて、より低い優先度にあるすべてのキーマップをマスクする。
char-tableキーマップのある要素が文字テーブル(char-table)なら、それは修飾ビットなしのすべての文字イベントにたいするバインディングを保持するとみなされる(modifier bitsを参照)。インデックスcの要素は文字cにたいしてバインドされる。これは多量のバインディングを記録するためのコンパクトな方法である。そのような文字テーブルのキーマップは、fullキーマップ(full keymap: 完全なキーマップ)と呼ばれる。それにたいして他のキーマップはsparseキーマップ(sparse keymaps: 疎なキーマップ)と呼ばれる。
vectorこの種の要素は文字テーブルと類似する。インデックスcの要素は文字cにバインドされる。この方法でバインド可能な文字の範囲はそのベクターのサイズに制限され、かつベクターの作成により0からすべての文字コードまでスペースが割り当てられるので、バインディング自身が問題とならないメニューキーマップ(メニューキーマップを参照)の作成以外では、このフォーマットを使用しないこと。
string ¶キーにたいするバインディングを指定する要素は別として、キーマップは要素として文字列ももつことができる。これはoverallプロンプト文字列(overall prompt string: 全般的なプロンプト文字列)と呼ばれ、メニューとしてキーマップを使用することを可能にする。メニューの定義を参照のこと。
(keymap …)キーマップのある要素それ自身がキーマップなら、外側のキーマップ内でこれが内側のキーマップとしてinline指定されているかのようにみなされる。これはmake-composed-keymap内で行なわれるような多重継承にたいして使用される。
バインディングがnilなら、それは定義の構成要素ではありませんが、デフォルトバインディングや親キーマップ内のバインディングに優先されます。一方nilのバインディングは、より低い優先度のキーマップをオーバーライドしません。したがってローカルマップでnilのバインディングが与えられると、Emacsはグローバルマップのバインディングを使用します。
キーマップはメタ文字にたいするバインディングを直接記録しません。かわりにメタ文字は1文字目がESC(または何であれmeta-prefix-charのカレント値)であるような、2文字のキーシーケンスをルックアップするものとみなされます。したがってキーM-aは内部的にはESC
aで表され、そのグローバルバインディングはesc-map内のaにたいするスロットで見つけることができます(プレフィクスキーを参照)。
この変換は文字にたいしてのみ適用され、ファンクションキーや他の入力イベントには適用されないのでM-endはESC endと何も関係ありません。
以下に例としてLispモードにたいするローカルキーマップ(sparseキーマップ)を挙げます。以下ではDEL、C-c C-z、C-M-q、C-M-xにたいするバインディングを定義しています(実際の値はメニューバインディングも含まれるが簡潔にするためここでは省略)。
lisp-mode-map ⇒
(keymap
(3 keymap
;; C-c C-z
(26 . run-lisp))
(27 keymap
;; C-M-xはESC C-xとして扱われる
(24 . lisp-send-defun))
;; この部分はlisp-mode-shared-mapから継承
keymap
;; DEL
(127 . backward-delete-char-untabify)
(27 keymap
;; C-M-qはESC C-qとして扱われる
(17 . indent-sexp)))
この関数はobjectがキーマップならt、それ以外はnilをリターンする。より正確にはこの関数はリストにたいしてそのCARがkeymapか、あるいはシンボルにたいしてその関数定義がkeymappかどうかをテストする。
(keymapp '(keymap))
⇒ t
(fset 'foo '(keymap))
(keymapp 'foo)
⇒ t
(keymapp (current-global-map))
⇒ t