シンボルは関数の名前となることができます。これはそのシンボルの関数セル(function cell: シンボルの構成要素を参照)が、関数オブジェクト(たとえばラムダ式)を含むときに起こります。するとそのシンボル自身が呼び出し可能な有効な関数、つまりそのシンボルの関数セルの関数と等価になります。
関数セルの内容はそのシンボルの関数定義(function definition)と呼ぶこともできます。そのシンボルのかわりにシンボルの関数定義を使う手続きのことをシンボル関数インダイレクション(symbol function indirection)と呼びます。シンボル関数インダイレクションを参照。与えられたシンボルに関数定義がなければシンボルの関数セルはvoidと呼ばれ、それを関数として使用することはできません。
実際のところほとんどすべての関数は名前をもち、その名前により参照されます。ラムダ式を定義することで名前つきのLisp関数を作成、それを関数セル(関数セルの内容へのアクセスを参照)に置くことができます。しかしより一般的なのはdefun
スペシャルフォーム(次のセクションで説明)を使う方法です。
関数の定義を参照してください。
わたしたちが関数に名前を与えるのは、Lisp式内で関数を名前で参照するのが便利だからです。また名前つきの関数は簡単に自分自身を — 再帰的(recursive)に参照することができます。さらにプリミティブはテキスト的な名前だけで参照することができます。なぜならプリミティブ関数は入力構文(read syntax)をもたないオブジェクトだからです(プリミティブ関数型を参照)。
関数が一意な名前をもつ必要はありません。与えられた関数オブジェクトは通常は1つのシンボルの関数セルだけに存在しますが、これは単に慣習的なものです。fset
を使用すれば関数を複数のシンボルに格納するのは簡単です。それらのシンボルはそれぞれ、同じ関数にたいする有効な名前となります。
関数として使用しているシンボルを、変数としても利用できることに注意してください。シンボルのこれら2つの利用法は独立しており、競合はしません(これはSchemaのような他のいくつかのLisp方言には当てはまらない)。
慣例により関数のシンボルが‘--’で分割される2つの名前で構成される場合には、その関数は内部的な使用を意図しており、名前の最初の部分は関数を定義するファイルです。たとえばvc-git--rev-parse
という名前の関数はvc-git.elで定義される内部関数です。Cで記述された内部関数はbury-buffer-internal
のように名前が‘-internal’で終わります。2018年より前に貢献されたEmacsコードは内部的な使用にたいして別の命名規約を使用するかもしれませんが、これらは徐々に廃止されます。