このセクションでは釣り合いのとれた式の解析やスキャンを行う関数を説明します。たとえこれらの関数がLisp以外の言語にたいして作用可能であったとしても、Lisp用語にしたがってそのような式のことをsexpsという用語で参照することにします。基本的にsexpはバランスのとれたカッコによるグループ化、または文字列、シンボル(構文が単語構成要素かシンボル構成要素である文字シーケンス)のいずれかです。しかし式プレフィクス構文(構文クラスのテーブルを参照)の文字は、それらがsexpに隣接する場合にはsexpの一部として扱われます。
構文テーブルは文字の解釈を制御するので、これらの関数はLispモードでのLisp式、CモードでのCの式にたいして使用できます。釣り合いのとれた式にたいして有用な高レベル関数については釣り合いのとれたカッコを越えた移動を参照してください。
ある文字の構文はパーサー自身の状態の記述ではなくパーサー状態の変更方法を制御します。たとえば文字列区切り文字はin-stringとin-codeの間でパーサー状態をトグルしますが、文字の構文が直接文字列内部にあるかどうかを告げることはありません。たとえば(15は汎用文字列区切りの構文コードであることに注意)、
(put-text-property 1 9 'syntax-table '(15 . nil))
これはEmacsにたいしてカレントバッファーの最初の8文字が文字列であることを告げますが、それらはすべて文字列区切りです。結果としてEmacsはそれらを連続する4つの空文字列定数として扱います。