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このセクションではLispプログラムがウィンドウのスクロール後や、その他のウィンドウ変更が発生した際にどのようにしてアクションを起こすことができるかを説明します。最初はウィンドウがバッファーの異なる部分を表示するケースについて考えてみます。
この変数はウィンドウのスクロールによりEmacsが再表示前に呼び出すべき関数のリストを保持する。そのウィンドウ内への異なるバッファーの表示や新たなウィンドウの作成でもこれらの関数が実行される。
この変数はそれぞれの関数がウィンドウとウィンドウのdisplay-start位置という2つの引数を受け取るのでノーマルフックではない。呼び出し時にはwindow引数のdisplay-start位置は新たな値、そのウィンドウに表示されるバッファーがカレントバッファーとしてセットされる。
これらの関数はwindow-end
(ウィンドウの開始位置と終了位置を参照)を使用する際には気をつけなければならない。最新の値が必要なら、それを確実に入力するためにupdate引数を使用しなければならない。
警告: ウィンドウのスクロール方法を変更するためにこの機能を使用してはならない。これはそのような用途のためにデザインされておらず、そのような使用では機能しないだろう。
加えてFont Lockフォント表示関数(Font Lock fontification
function)を登録するためにjit-lock-register
を使用できる。バッファーの一部が(再)フォント表示されたときは、ウィンドウがスクロールまたはサイズ変更されたという理由で、これが常に呼び出されるだろう。Font Lockのその他の変数を参照のこと。
このセクションの残りの部分ではウィンドウのスクロールをともなわないウィンドウの有意な変更を検知した際の再表示の間に呼び出される6つのフックについて補足します。単純化するために、これらのフックおよびそれらが呼び出す関数をまとめてウィンドウ変更関数(window
change
functions)と呼ぶことにします。他のフックと同様に、これらのフックはインストール時にadd-hook
のlocal引数(フックのセットを参照)を通じてグローバル、またはバッファーローカルにセットできます。
これらのフックのうち最初のフックはウィンドウバッファー変更(window buffer change)を検知した後に実行されます。ウィンドウバッファー変更とはウィンドウの作成や削除、他のバッファーの割り当てを意味します。
この変数はウィンドウバッファー変更時の再表示の間に呼び出す関数を指定する。値は1つの引数を受け取る関数のリストであること。
バッファーローカルに指定された関数は、対応するバッファーを表示するすべてのウィンドウにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降にウィンドウが作成されたり、そのバッファーが割り当てられた場合に呼び出される。この場合にはそのウィンドウが引数として渡される。
デフォルト値として指定された関数はフレームにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降にそのフレームに少なくとも1つのウィンドウの追加か削除が行われるか、別のバッファーが割り当てられた場合に呼び出される。この場合にはフレームが引数として渡される。
2つ目のフックはウィンドウサイズ変更(window size change)の検出時に実行されます。ウィンドウサイズ変更とはウィンドウ作成、別バッファーの割り当て、合計サイズやテキストエリアの合計サイズの変更を意味します。
この変数はウィンドウサイズ変更発生時の再表示の間に呼び出される関数を指定する。値は1つの引数を受け取る関数のリストであること。
バッファーローカルに指定された関数は、対応するバッファーを表示するすべてのウィンドウにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降にウィンドウの追加や別バッファーの割り当て、合計サイズやボディーサイズが変更された場合に呼び出される。この場合にはそのウィンドウが引数として渡される。
デフォルト値として指定された関数は、最後にフレームにたいしてウィンドウ変更関数が実行されて以降に、そのフレーム上の少なくとも1つのウィンドウ追加や別バッファーの割り当て、または合計サイズやボディーサイズが変更された場合に呼び出される。この場合にはフレームが引数として渡される。
3つ目のフックは前回の再表示以降にウィンドウ選択変更(window selection change)により別のウィンドウが選択された際に実行されます。
この変数は選択されたウィンドウやフレームの選択されたウィンドウの変更時の再表示の間に実行される関数を指定する。値は1つの引数を受け取る関数のリストであること。
バッファーローカルに指定された関数は、対応するバッファーを表示するすべてのウィンドウにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降に(すべてのウィンドウあるいはウィンドウのフレーム上のすべてのウィンドウの中から)ウィンドウが選択されたり選択解除された場合に呼び出される。この場合にはそのウィンドウが引数として渡される。
デフォルト値として指定された関数はフレームにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降のそのフレームの選択や非選択、あるいはフレームの選択されたウィンドウが変更された場合に呼び出される。この場合にはフレームが引数として渡される。
4つ目のフックはウィンドウ状態変更(window state change)の検出時に実行されます。ウィンドウ状態変更とは上述の3つのウィンドウ変更のうち少なくとも1つが発生したことを意味します。
この変数はウィンドウのバッファーかサイズの変更発生時、または選択されたウィンドウやフレームの選択されたウィンドウの変更時の再表示の間に呼び出される関数を指定する。値は1つの引数を受け取る関数のリストであること。
バッファーローカルに指定された関数は、対応するバッファーを表示するすべてのウィンドウにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降にそのウィンドウの追加や別バッファーの割り当て、合計サイズやボディーサイズが変更されたり、(すべてのウィンドウあるいはウィンドウのフレーム上のすべてのウィンドウの中から)ウィンドウが選択されたり選択解除された場合に呼び出される。この場合にはそのウィンドウが引数として渡される。
デフォルト値として指定された関数はフレームにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降にそのフレームの少なくとも1つのウィンドウが追加や削除、別バッファーを割り当てられるか、合計サイズやボディーサイズの変更、またはフレームの選択または選択されていないウィンドウが変更された場合に呼び出される。この場合にはフレームが引数として渡される。
デフォルト値として指定された関数は、最後の再表示以降にそのフレームのウィンドウ状態変更フラグ(以下参照)がセットされた場合にもフレームにたいして実行される。
5つ目のフックはウィンドウ構成変更(window configuration change)の検出時に実行されます。ウィンドウ構成変更とはバッファーやウィンドウサイズの変更を意味します。このフックは実行方向において前記4つのフックとは異なります。
この変数はウィンドウのバッファーかサイズの変更時の再表示の間に呼び出される関数を指定する。値は引数を受け取らない関数のリストであること。
バッファーローカルに指定された関数は、対応するバッファーを表示するすべてのウィンドウにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降に、そのフレームの少なくとも1つのウィンドウの追加や削除、別バッファーの割り当て、あるいは合計サイズやボディーサイズが変更された場合に呼び出される。各呼び出しは一時的にそのバッファーを表示するウィンドウを選択して、そのバッファーをカレントにして行われる。
デフォルト値として指定された関数は各フレームにたいして、最後にウィンドウ変更関数が実行されて以降に、そのフレームに少なくとも1つのウィンドウの追加や削除、別バッファーの割り当て、あるいは合計サイズやボディーサイズが変更された場合に呼び出される。各呼び出しは一時的にそのフレームを選択して、その選択されたウィンドウのバッファーをカレントにして行われる。
最後にEmacsはwindow-state-change-functions
の振る舞いを一般化したノーマルフックを実行します。
この変数のデフォルト値はウィンドウ状態変更、または少なくとも1つのフレームでウィンドウ状態変更フラグのセットを検出した際の再表示の間に呼び出される関数を指定する。値は引数を受け取らない関数のリストであること。
アプリケーションは最後の再表示以降に複数のフレームで発生した(またはシグナルされた)変更に対処したい場合のみ、このフックに関数を配置すること。他のすべてのケースにたいしてはwindow-state-change-functions
に関数を配置するほうが好ましい。
ウィンドウ変更関数は各フレームにたいする再表示の間に次のように呼び出されます。まずすべてのバッファーローカルなウィンドウバッファー変更関数、ウィンドウサイズ変更関数、ウィンドウ選択変更関数、ウィンドウ状態変更関数を順番に呼び出します。次にこれらの関数のデフォルト値を同じ順番で呼び出します。これらの関数のデフォルト値で指定された関数の呼び出した後に、すべてのバッファーローカルなウィンドウ構成変更関数を呼び出します。そして最後にwindow-state-change-hook
の関数が実行されます。
ウィンドウ変更関数は対応する変更が前に登録されている特定のフレームにたいしてのみ実行されます。そのような変更にはウィンドウの作成や削除、ウィンドウへの別バッファーやサイズの割り当てが含まれます。そのような変更が登録されていたとしても、それは上述したフックのいずれかが実行されることを意味しないことに注意してください。たとえばある変更がウィンドウエクスカーション(ウィンドウの構成を参照)のスコープ内で登録されると、ウィンドウ変更関数呼び出しはウィンドウ変更関数実行時にそのエクスカーションがまだ持続している場合のみトリガーされるでしょう。それ以前にエクスカーションがexitされていれば、そのエクスカーションのスコープ外で登録された変更の場合のみフックが実行されます。
フレームのウィンドウ状態変更フラグ(window state change
flag)をセットすることにより、そのフレームにたいしてウィンドウ状態変更が実際に発生したかどうかに関わらず、次回の再表示の間に(そのフレームにたいする)
window-state-change-functions
とwindow-state-change-hook
のデフォルト値が実行されます。これらのフックのすべての関数を実行した後に、各フレームにたいしてフラグをリセットを行います。アプリケーションは以下の関数を使用してこのフラグのセットや検査を行うことができます。
この関数はargが非nil
ならframeのウィンドウ状態変更フラグをセット、それ以外はリセットする。frameは生きたフレームでなければならず、デフォルトは選択されたフレーム。
この関数はframeのウィンドウ状態変更フラグがセットされていればt
、それ以外はnil
をリターンする。frameは生きたフレームでなければならず、デフォルトは選択されたフレーム。
ウィンドウ変更関数の実行中に下記の関数を呼び出すことにより、最後の再表示以降に特定のウィンドウやフレームにたいして何が変更されたかについてより詳細な知見を得ることができます。これらの関数はすべて生きたウィンドウを単一かつオプションの引数として受け取ります(デフォルトは選択されたウィンドウ)。
この関数はwindowのフレームにたいして最後にウィンドウ変更関数が実行された時点において、windowに表示されていたバッファーをリターンする。その時点より後にwindowが作成された場合にはnil
をリターンする。その時点ではwindowは表示されていなかったが、後から以前に保存されたウィンドウ構成がリストアされた場合にはt
をリターンする。それ以外ならリターン値はその時点でwindowが表示していたバッファー。
この関数はウィンドウ変更関数がフレーム上でwindowが生きていることを確認した最終時点におけるwindowのトータルピクセル幅をリターンする。その後にwindowが作成された場合は0。
この関数はウィンドウ変更関数がフレーム上でwindowが生きていることを確認した最終時点におけるwindowのトータルピクセル高さをリターンする。その後にwindowが作成された場合は0。
この関数はウィンドウ変更関数がフレーム上でwindowが生きていることを確認した最終時点におけるwindowのテキストエリアのピクセル幅をリターンする。その後にwindowが作成された場合は0。
この関数はウィンドウ変更関数がフレーム上でwindowが生きていることを確認した最終時点におけるwindowのテキストエリアのピクセル高さをリターンする。その後にwindowが作成された場合は0。
ウィンドウ変更関数が最後に実行された時点でどのウィンドウまたはフレームが選択されていたかを調べるために以下の関数を使用できます:
この関数はウィンドウ変更関数が最後に実行された時点におけるframeの選択されていたウィンドウをリターンする。frameが省略またはnil
の場合のデフォルトは選択されたフレーム。
この関数はウィンドウ変更関数が最後に実行された時点において選択されていたウィンドウをリターンする。
この関数はウィンドウ変更関数が最後に実行された時点において選択されていたフレームをリターンする。
ウィンドウ変更関数は最後に実行されて以降に削除されたウィンドウに関する情報は提供しないことに注意してください。アプリケーションがそれを必要とする場合には、特定のバッファーを表示するすべてのウィンドウをバッファーのローカル変数に記憶するとともに、それをウィンドウバッファー変更の検出時に実行されるすべてのフックのデフォルト値の関数で更新する必要があります。
ウィンドウ変更関数に関数を追加する際には、以下の点を考慮する必要があります:
window-state-change-hook
のデフォルト値の最後にリストされる関数で行うこと。
save-window-excursion
、with-selected-window
、with-current-buffer
のようなマクロを使用できる。
window-configuration-change-hook
の実行以外では選択されたウィンドウやフレーム、カレントバッファーの保存やリストアは行われない。
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