Emacs
Lispは伝統的な4つの算術演算(加減乗除)、同様に剰余とmodulusの関数、および1の加算と減算を行う関数を提供します。%
を除き、これらの各関数は引き数として整数か浮動小数を受け取り、浮動小数の引数がある場合は浮動小数点数をリターンします。
この関数はnumber-or-marker + 1をリターンする。例えば、
(setq foo 4) ⇒ 4 (1+ foo) ⇒ 5
この関数はCの演算子++
とは異なり、変数をインクリメントしない。この関数は和を計算するだけである。したがって以下を続けて評価すると、
foo ⇒ 4
変数をインクリメントしたい場合は、以下のようにsetq
を使用しなければならない:
(setq foo (1+ foo)) ⇒ 5
この関数はnumber-or-marker − 1をリターンする。
この関数は引数すべてを加算する。引数を与えないと+
は0をリターンする。
(+) ⇒ 0 (+ 1) ⇒ 1 (+ 1 2 3 4) ⇒ 10
-
関数は2つの目的 — 符号反転と減算 —
をもつ。-
に1つの引数を与えると、値は引数の符号を反転したものになる。複数の引数の場合は、number-or-markerからmore-numbers-or-markersまでの各値を蓄積的に減算する。引数がなければ結果は0。
(- 10 1 2 3 4) ⇒ 0 (- 10) ⇒ -10 (-) ⇒ 0
この関数はすべての引数を乗じて積をリターンする。引数がなかれば*
は1をリターンする。
(*) ⇒ 1 (* 1) ⇒ 1 (* 1 2 3 4) ⇒ 24
divisorsが1つ以上ならこの関数はdivisors内の除数で順にnumberを除して、その商をリターンする。divisorsがなければ、この関数は1/number、つまりnumberの逆数をリターンする。各引数には数かマーカーを指定できる。
すべての引数が整数なら、結果は各除算の後に商を0へ向かって丸めることにより得られる整数となる。
(/ 6 2) ⇒ 3
(/ 5 2) ⇒ 2
(/ 5.0 2) ⇒ 2.5
(/ 5 2.0) ⇒ 2.5
(/ 5.0 2.0) ⇒ 2.5
(/ 4.0) ⇒ 0.25
(/ 4) ⇒ 0
(/ 25 3 2) ⇒ 4
(/ -17 6) ⇒ -2
整数を整数0で除するとEmacsはarith-error
エラー(エラーを参照)をシグナルする。IEEE-754の浮動小数点数を使用するシステムにおける浮動小数点数の除算では、非0の数を0で除することで正の無限大または負の無限大を得る(浮動小数点数の基礎を参照)。それ以外のシステムでは通常通りarith-error
エラーがシグナルされる。
この関数はdividendをdivisorで除した後、その剰余を整数でリターンする。引数は整数かマーカーでなければならない。
任意の2つの整数dividendとdivisorにたいして、
(+ (% dividend divisor) (* (/ dividend divisor) divisor))
は、divisorが非0なら常にdividendと等しくなる。
(% 9 4) ⇒ 1 (% -9 4) ⇒ -1 (% 9 -4) ⇒ 1 (% -9 -4) ⇒ -1
この関数はdividendのdivisorにたいするmodulo、言い換えるとdividendをdivisorで除した後の剰余(ただし符号はdivisorと同じ)をリターンする。引数は数かマーカーでなければならない。
%
とは異なりmod
は浮動小数の引数を許す。これは商を整数に下方(負の無限大に向かって)へ丸めて剰余を計算するのにこの商を使用する。
mod
はdivisorが0のとき、両方の引数が整数ならarith-error
エラーをシグナルし、それ以外はNaNをリターンする。
(mod 9 4) ⇒ 1
(mod -9 4) ⇒ 3
(mod 9 -4) ⇒ -3
(mod -9 -4) ⇒ -1
(mod 5.5 2.5) ⇒ .5
任意の2つの数dividendとdivisorにたいして、
(+ (mod dividend divisor) (* (floor dividend divisor) divisor))
は常にdividendになる(ただし引数のどちらかが浮動小数なら、丸め誤差の範囲内で等しく、かつdividendが整数でdivisorが0ならarith-error
となる)。floor
については、数値の変換を参照のこと。