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19.1.9 デバッガのコマンド

(Debuggerモードの)debuggerバッファーでは通常のEmacsコマンドに加えて特別なコマンド、および前セクションで説明したBacktraceモードのコマンドが提供されます。デバッガでもっとも重要な使い方をするのは、制御フローを見ることができるコードをステップ実行するコマンドです。デバッガはインタープリターによって解釈された制御構造のステップ実行はできますが、バイトコンパイル済みの関数ではできません。バイトコンパイル済み関数をステップ実行したいなら、同じ関数の解釈された定義に置き換えてください(これを行なうにはその関数のソースをvisitして、関数の定義でC-M-xとタイプする)。プリミティブ関数のステップ実行にLispデバッガは使用できません。

デバッガのコマンドのいくつかはカレントフレームを処理します。フレームが星印で開始される場合には、そのフレームをexitすることにより再びデバッガが呼び出されることを意味します。これは関数のリターン値の検証に有用です。

以下はDebuggerモードのコマンドのリストです:

c

デバッガをexitして実行を継続する。これはあたかもデバッガにエンターしなかったかのようにプログラムの実行を再開する(デバッガ内で行った変数値やデータ構造の変更などの副作用は除外)。

d

実行を継続するが、次にLisp関数が何か呼び出されたときはデバッガにエンターする。これによりある式の下位の式をステップ実行して、下位の式が計算する値や行うことを確認できる。

デバッガにエンターした関数呼び出しにたいして、この方法で作成されたスタックフレームには自動的にフラグがつくため、そのフレームをexitすると再びデバッガが呼び出される。このフラグはuコマンドを使用してキャンセルできる。

b

カレントフレームにフラグをつけるので、そのフレームをexitするときデバッガにエンターする。この方法でフラグがつけられたフレームは、backtraceバッファーでスターのマークがつく。

u

カレントフレームをexitしたときデバッガにエンターしない。これはそのフレームのbコマンドをキャンセルする。目に見える効果としてはbacktraceバッファーの行からスターが削除される。

j

bと同じようにカレントフレームにフラグをつける。その後にcのように実行を継続するが、debug-on-entryによりセットアップされたすべての関数にたいするbreak-on-entryを一時的に無効にする。

e

ミニバッファーのLisp式を読み取り、(関連するlexical環境が適切なら)それを評価してエコーエリアに値をプリントする。デバッガは特定の重要な変数とバッファーを処理の一部として変更する。eは一時的にデバッガの外部からそれらの値をリストアするので、それらを調べて変更できる。これによりデバッガはより透過的になる。対照的にデバッガ内でM-:は特別なことを行わず、デバッガ内での変数の値を表示する。このコマンドは既存のエラーの最上位の上に新たなエラーとして式の評価によるエラーを追加しないように、デフォルトでは評価の間はデバッガを抑止する。これはユーザーオプションdebug-allow-recursive-debugを非nil値にセットすることによってオーバーライドできる。

R

eと同様だがバッファー*Debugger-record*内の評価結果も保存する。

q

デバッグされているプログラムを終了して、Emacsコマンド実行のトップレベルにリターンする。

C-gによりデバッガにエンターしたが、実際はデバッグではなくquitしたいときはqコマンドを使用する。

r

デバッガから値をリターンする。ミニバッファーで式を読み取ってそれを評価することにより値が計算される。

dコマンドは、(bによるリクエストやdによるそのフレームへのエンターによる)Lisp呼び出しフレームからのexitでデバッガが呼び出されたときに有用である。rコマンドで指定された値は、そのフレームの値として使用される。これはdebugを呼び出して、そのリターン値を使用するときにも有用。それ以外はrcと同じ効果をもち、指定されたリターン値は問題とはならない。

エラーによりデバッガにエンターしたときはrコマンドは使用できない。

l

呼び出されたときにデバッガを呼び出す関数をリストする。これはdebug-on-entryによりエントリー時にbreakするようセットされた関数のリストである。

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