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オペレーティングシステムはファイルをディレクトリーにグループ化します。あるファイルを指定するためには、ディレクトリーとそのディレクトリー内でのファイルの名前を指定しなければなりません。それゆえEmacsはファイル名をディレクトリー名パートと非ディレクトリー(またはディレクトリー内ファイル名)パートという、2つの主要パートから判断します。どちらのパートも空の場合があり得ます。これら2つのパートを結合することによって元のファイル名が再構築されます。21
ほとんどのシステムでは最後のスラッシュ(MS-DOSとMS-Windowsではバックスラッシュも許される)までのすべてがディレクトリーパートです。残りが非ディレクトリーパートです。
ある目的のために、非ディレクトリーパートはさらに正式名称(the name proper)とバージョン番号に細分されます。ほとんどのシステムでは、名前にバージョン番号をもつのはバックアップファイルだけです。
この関数はfilenameのディレクトリーパートをディレクトリー名(ディレクトリーの名前を参照)としてリターンする。filenameがディレクトリーパートを含まなければnil
をリターンする。
GNUや他のPOSIX準拠ixシステムでは、この関数がリターンする文字列は常にスラッシュで終わる。MS-DOSではコロンで終わることもあり得る。
(file-name-directory "lewis/foo") ; GNUの例
⇒ "lewis/"
(file-name-directory "foo") ; GNUの例
⇒ nil
この関数はfilenameの非ディレクトリーパートをリターンする。
(file-name-nondirectory "lewis/foo") ⇒ "foo"
(file-name-nondirectory "foo") ⇒ "foo"
(file-name-nondirectory "lewis/") ⇒ ""
この関数は、任意のファイルバージョン番号、バックアップバージョン番号、末尾のチルダを取り除いたfilenameをリターンする。
keep-backup-versionが非nil
なら、ファイルシステムなどが認識するような真のファイルバージョン番号は破棄されるが、バックアップバージョン番号は保持される。
(file-name-sans-versions "~rms/foo.~1~") ⇒ "~rms/foo"
(file-name-sans-versions "~rms/foo~") ⇒ "~rms/foo"
(file-name-sans-versions "~rms/foo") ⇒ "~rms/foo"
この関数はfilenameから、もしあればすべてのバージョン番号とバックアップ番号を取り除いた後の、終端の拡張子(extension)をリターンする。ファイル名の拡張子とは最後の名前コンポーネント(からすべてのバージョン番号とバックアップ番号を取り去った後)の最後の‘.’に後続するパートのこと。
この関数はfooのような拡張子のないファイル名にたいしてはnil
、foo.のようなnull拡張子にたいしては""
をリターンする。ファイル名の最終コンポーネントが‘.’で始まる場合には、その‘.’は拡張子の開始とはみなされない。したがって.emacsの拡張子は‘.emacs’ではなくnil
。
periodが非nil
なら、拡張子を区切るピリオドもリターン値に含まれる。その場合には、もしfilenameが拡張子をもたなければリターン値は""
。
この関数は拡張子にextensionをセットしたfilenameをリターンする。すでにドットがあればextensionの先頭のドットは取り除く。たとえば:
(file-name-with-extension "file" "el") ⇒ "file.el" (file-name-with-extension "file" ".el") ⇒ "file.el" (file-name-with-extension "file.c" "el") ⇒ "file.el"
filenameかextensionが空、あるいはfilenameがディレクトリー(つまりdirectory-name-p
が非nil
をリターンする)のようなら、この関数はエラーとなることに注意。
この関数は、もしあればfilenameから拡張子を除いてリターンする。もしバージョン番号やバックアップ番号があるなら、ファイルが拡張子をもつ場合のみそれを削除する。たとえば、
(file-name-sans-extension "foo.lose.c") ⇒ "foo.lose" (file-name-sans-extension "big.hack/foo") ⇒ "big.hack/foo" (file-name-sans-extension "/my/home/.emacs") ⇒ "/my/home/.emacs" (file-name-sans-extension "/my/home/.emacs.el") ⇒ "/my/home/.emacs" (file-name-sans-extension "~/foo.el.~3~") ⇒ "~/foo" (file-name-sans-extension "~/foo.~3~") ⇒ "~/foo.~3~"
最後の2つの例の‘.~3~’は拡張子ではなくバックアップ番号であることに注意。
これはfile-name-sans-extension
とfile-name-nondirectory
を組み合わせた関数。たとえば、
(file-name-base "/my/home/foo.c") ⇒ "foo"
この関数はファイル名をコンポーネントに分割する。これを適切なディレクトリー区切りを用いてstring-join
の逆を行う関数とみなすことができる。たとえば、
(file-name-split "/tmp/foo.txt") ⇒ ("" "tmp" "foo.txt") (string-join (file-name-split "/tmp/foo.txt") "/") ⇒ "/tmp/foo.txt"
EmacsはGNUの慣習に則りパス名(pathname)ではなくファイル名(file name)という用語を使用する。わたしたちがパス(path)という用語を用いるのは検索パス(ディレクトリーのリスト)にたいしてだけである。