26.9.2 絶対ファイル名と相対ファイル名

ファイルシステム内のすべてのディレクトリーはルートディレクトリーから開始されるツリーを形成します。このツリーのルートから開始されるすべてのディレクトリー名によりファイル名を指定でき、それを絶対(absolute)ファイル名と呼びます。デフォルトディレクトリーからの相対的なツリー中の位置でファイルを指定することもでき、それらは相対(relative)ファイル名と呼ばれます。GNUや他のPOSIX準拠システムでは‘~’で開始されるすべてのファイル名は‘/’で始まる絶対ファイル名(abbreviate-file-nameを参照)に展開されますが、相対ファイル名は展開されません。。MS-DOSとMS-Windowsでは絶対ファイル名はスラッシュ、バックスラッシュ、またはドライブ指定‘x:/’で始まります。ここでxドライブ文字(drive letter)です。

Function: file-name-absolute-p filename

この関数はファイルfilenameが絶対ファイル名ならt、それ以外はnilをリターンする。ファイル名の最初のコンポーネントが‘~’か‘~user’ (userは有効なログイン名)なら絶対ファイル名とみなす。以下の例では‘rms’という名前のユーザーは存在するが、‘nosuchuser’という名前のユーザーは存在しないものとする。

(file-name-absolute-p "~rms/foo")
     ⇒ t
(file-name-absolute-p "~nosuchuser/foo")
     ⇒ nil
(file-name-absolute-p "rms/foo")
     ⇒ nil
(file-name-absolute-p "/user/rms/foo")
     ⇒ t

相対ファイル名が与えられた場合には先頭に‘~’があれば展開して、expand-file-nameを使用して絶対ファイル名に変換できます(ファイル名を展開する関数を参照)。この関数は絶対ファイル名を相対ファイル名に変換します:

Function: file-relative-name filename &optional directory

この関数はdirectory(絶対ディレクトリー名かディレクトリーファイル名)から相対的なファイルと仮定して、filenameと等価な相対ファイル名のリターンを試みる。directoryが省略かnilなら、カレントバッファーのデフォルトディレクトリーがデフォルト。

絶対ファイル名がデバイス名で始まるオペレーティングシステムがいくつか存在する。そのようなシステムでは、2つの異なるデバイス名から開始されるfilenameは、directoryにもといた等価な相対ファイル名をもたない。この場合には、file-relative-nameは絶対形式でfilenameをリターンする。

(file-relative-name "/foo/bar" "/foo/")
     ⇒ "bar"
(file-relative-name "/foo/bar" "/hack/")
     ⇒ "../foo/bar"

空文字列であるようなファイル名は、カレントバッファーのデフォルトディレクトリーを意味しています。

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