30.4.3.10 フォントとカラーのパラメーター

以下のフレームパラメーターはフォントとカラーの使用を制御します。

font-backend

フレーム上で文字の描画に使用するフォントバックエンド(font backends)を優先順に指定するシンボルのリスト。CairoなしでビルドされたEmacsのXでの描画では現在のところx (Xのコアフォントドライバー)、xft (Xftフォントドライバー)、xfthb (HarfBuzzテキストシェイピングをもつXftフォントドライバー)という3つのフォントバックエンドが潜在的に利用できる。Cairo描画つきでビルドされた場合にもX上のフォントバックエンドとしてxftcr (CairoのFreeTypeフォントドライバー)、ftcrhb (HarfBuzzテキストシェイピングをもつCairo上のFreeTypeフォントドライバー)の3つが潜在的に利用できる。HarfBuzzつきでEmacsをビルドした場合には、非推奨のftcrドライバーの使用が可能であっても、デフォルトのフォントドライバーはftcrhbとなる。MS-Windowsでは現在のところgdi (MS-Windowsのコアフォントドライバー)、uniscribe (OTFフォントとTTFフォントにたいするUniscribeエンジンによるテキストシェイピングをもつフォントドライバー)、harfbuzz (OTFフォントとTTFフォントにたいするHarfBuzzテキストシェイピングをもつフォントドライバー)という3つのフォントバックエンドが利用できる(Windows Fonts in The GNU Emacs Manualを参照)。同様にharfbuzzも推奨される。Haikuでは複数のフォントドライバーが存在する可能性がある(Haiku Fonts in The GNU Emacs Manualを参照)。Androidも同様(Android Fonts in The GNU Emacs Manualを参照)。

それ以外のシステムでは利用可能なフォントバックエンドは1つだけなので、このフレームパラメーターの変更は意味をもたない。

background-mode

このパラメーターはdarklightのいずれかで、それぞれバックグラウンドを暗く(dark)するか、明るく(light)するかに対応する。

tty-color-mode

このパラメーターは端末上で使用するカラーモードを指定して、そのシステムの端末機能データベース(terminal capabilities database、termcap)により与えられた端末のカラーサポートをオーバーライドする。値にはシンボルか数値を指定できる。数値なら使用するカラー数(および間接的にはそれぞれのカラーを生成するためのコマンド)を指定する。たとえば(tty-color-mode . 8)は標準的なテキストカラーにたいしてANSIエスケープシーケンスの使用を指定する。値−1はカラーサポートをオフに切り替える。

このパラメーターの値がシンボルなら、それはtty-color-mode-alistの値を通じて数値を指定するもので、そのシンボルに割り当てられた数値がかわりに使用される。このパラメーターは実行中のEmacsセッションでの動的な変更をサポートする(MS-WindowsとMS-DOSを除く)。

screen-gamma

これが数値ならEmacsはすべてのカラーの輝度を調整するガンマ補正(gamma correction)を行う。値はディスプレイのスクリーンのガンマであること。

通常のPCモニターはスクリーンガンマが2.2なので、EmacsとXウィンドウのカラー値は一般的にそのガンマ値のモニター上で正しく表示するよう校正されている。screen-gammaにたいして2.2を指定すると、それは補正が不必要であることを意味する。その他の値は通常のモニター上のガンマ値2.2で表示されるように、補正したカラーがスクリーン上に表示されることを意図された補正を要求する。

モニターが表示するカラーが明るすぎる場合には、screen-gammaに2.2より小さい値を指定すること。これはカラーをより暗くする補正を要求する。スクリーンガンマの値1.5は、LCDカラーディスプレイにたいして良好な結果を与えるだろう。

alpha

このパラメーターは可変透明度(variable opacity)をサポートするグラフィカルディスプレイ上でそのフレームの透明度を指定する。これは0から100の整数であるべきで0は完全な透明、100は完全な不透明を意味する。nil値をもつこともでき、これはEmacsにフレームのopacityをセットしないよう告げる(ウィンドウマネージャーに委ねる)。

フレームが完全に見えなくなるのを防ぐために、変数frame-alpha-lower-limitは透明度の最低限度を定義する。フレームパラメーターの値がこの変数の値より小さければEmacsは後者を使用する。デフォルトのframe-alpha-lower-limitは20。

フレームパラメーターalphaにはコンスセル(active . inactive)も指定できる。ここでactiveは選択時のフレームの透明度、inactiveは未選択時の透明度。

いくつかのウィンドウシステムは子フレーム(子フレームを参照)にたいしてalphaパラメーターをサポートしない。

alpha-background

フレームのバックグラウンドの透明度をセットする。フレームパラメーターalphaとは異なり、テキストは完全に不透明のままといったようにフォアグラウンド要素は保ちつつ、バックグラウンドの透明度だけを制御する。値は0から100の整数であり0は完全に透明、100(デフォルト)は完全に不透明を意味する。

以下は特定のフェイスの特定のフェイス属性と自動的に等しくなるので、ほぼ時代遅れとなったフレームパラメーターです(Standard Faces in The Emacs Manualを参照)。

font

フレーム内でテキストを表示するためのフォントの名前。これはシステムで有効なフォント名か、Emacsフォントセット名(フォントセットを参照)のいずれかであるような文字列。これはdefaultフェイスのfont属性と等価。

foreground-color

文字に使用するカラー。これはdefaultフェイスの:foreground属性と等価。

background-color

文字のバックグラウンドに使用するカラー。これはdefaultフェイスの:background属性と等価。

mouse-color

マウスポインターのカラー。これはmouseフェイスの:background属性と等価。

cursor-color

ポイントを表示するカーソルのカラー。これはcursorフェイスの:background属性と等価。

border-color

これはフレームのボーダーのカラー。これはborderフェイスの:background属性と等価。

scroll-bar-foreground

nilならスクロールバーのフォアグラウンドカラー。これはscroll-barフェイスの:foreground属性と等価。

scroll-bar-background

nilならスクロールバーのバックグラウンドカラー。これはscroll-barフェイスの:background属性と等価。


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