フォームを出現順に評価するのは、あるフォームから別のフォームに制御を渡すもっとも一般的な制御です。関数のbodyのようなコンテキストにおいては自動的にこれが行なわれます。他の場所ではこれを行なうために制御構造を使用しなければなりません。Lispで一単純な制御構造はprognです。
スペシャルフォームprognは以下のようなものです:
(progn a b c ...)
これは順番にa、b、c、...を実行するよう指定します。これらはprognフォームのbodyと呼ばれます。body内の最後のフォームの値がprogn全体の値になります。(progn)はnilをリターンします。
初期のLispではprognは、連続で複数のフォームを実行して最後のフォームの値を使用する唯一の方法でした。しかしプログラマーは関数のbodyの、(その時点では)1つのフォームだけが許される場所でprognを使用する必要が多いことに気づきました。そのため関数のbodyを暗黙のprognにして、prognのbodyのように複数のフォームを記述できるようにしました。他の多くの制御構造も暗黙のprognを同様に含みます。結果として昔ほどprognは多用されなくなりました。現在ではprognが必要になるのはunwind-protect、and、or、またはifのthenパートの中であることがほとんどです。
このスペシャルフォームはformsのすべてをテキスト順に評価してフォームの結果をリターンする。
(progn (print "The first form")
(print "The second form")
(print "The third form"))
-| "The first form"
-| "The second form"
-| "The third form"
⇒ "The third form"
他の2つの構文は一連のフォームを同様に評価しますが、異なる値をリターンします:
このスペシャルフォームはform1とformsのすべてをテキスト順に評価してform1の結果をリターンする。
(prog1 (print "The first form")
(print "The second form")
(print "The third form"))
-| "The first form"
-| "The second form"
-| "The third form"
⇒ "The first form"
以下の例は変数xのリストから1番目の要素を削除して、削除した1番目の要素の値をリターンする:
(prog1 (car x) (setq x (cdr x)))
このスペシャルフォームはform1、form2、その後のformsのすべてをテキスト順で評価してform2の結果をリターンする。
(prog2 (print "The first form")
(print "The second form")
(print "The third form"))
-| "The first form"
-| "The second form"
-| "The third form"
⇒ "The second form"