4.1 文字列と文字の基礎

文字(character)とは、テキスト内の1つの文字を表すLispオブジェクトです。Emacs Lispでは文字は単なる整数です。ある整数が文字か文字でないかを区別するのは、それが使用される方法だけです。Emacsでの文字表現についての詳細は文字コードを参照してください。

文字列(string)とは固定された文字シーケンスです。これは配列(array)と呼ばれるシーケンス型であり、配列長が固定で一度作成したら変更できないことを意味します(シーケンス、配列、ベクターを参照)。Cとは異なり、Emacs Lispの文字列は文字コードを判断することにより終端されません。(訳注: 文字列の終端用の文字コードはない、ということ。)

文字列は配列であるということは同様にシーケンスでもあるので、シーケンス、配列、ベクターにドキュメントされている一般的な配列関数やシーケンス関数で文字列を処理できます。たとえば関数arefを使用して文字列内の特定の文字にアクセスしたり変更することができます(配列を操作する関数を参照)。

Emacs文字列での非ASCIIにたいすテキスト表現は2つ — ユニバイト(unibyte)とマルチバイト(multibyte)があります。ほとんどのLispプログラミングでは、これら2つの表現を気にする必要はありません。詳細はテキストの表現方法を参照してください。

キーシーケンスがユニバイト文字列で表されることがあります。ユニバイト文字列がキーシーケンスの場合、範囲128から255までの文字列要素は範囲128から255の文字コードではなく、メタ文字(これは非常に大きな整数である)を表します。文字列はハイパー(hyper)、スーパー(super)、アルト(alt)で修飾された文字を保持できません。文字列はASCIIコントロール文字を保持できますが、それは他のコントロール文字です。文字列はASCIIコントロール文字のcaseを区別できません。そのような文字をシーケンスに保存したい場合は、文字列ではなくベクターを使用しなければなりません。キーボード入力文字についての情報は文字型を参照してください。

文字列は正規表現を保持するために便利です。string-match (正規表現の検索を参照)を使用して、文字列にたいして正規表現をマッチすることもできます。関数match-string (単純なマッチデータへのアクセスを参照)とreplace-match (マッチしたテキストの置換を参照)は、文字列にたいして正規表現をマッチした後に、文字列を分解・変更するのに便利です。

バッファーのように、文字列は文字列内の文字自身とその文字にたいするテキストプロパティを含みます。テキストのプロパティを参照してください。文字列からバッファーや他の文字列にテキストをコピーする、すべてのLispプリミティブ(Lisp primitives)はコピーされる文字のプロパティもコピーします。

文字列の表示やバッファーにコピーする関数についての情報はテキストを参照してください。文字または文字列の構文についての情報は、文字型文字列型を参照してください。異なるテキスト表現間で変換したり、文字コードのエンコードやデコードを行う関数についてはASCII文字を参照してください。ディスプレイ上の文字列幅の計算にlength使用するべきではないことにも注意してください。かわりにstring-widthを使用してください(表示されるテキストのサイズを参照)。

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