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2.4.4 シンボル型

GNU Emacs Lispでのシンボル(symbol)とは、名前をもつオブジェクトです。シンボル名は、そのシンボルのプリント表現としての役割があります。Lispの通常の使用では、1つのobarray(シンボルの作成とinternを参照)により、シンボル名は一意です — 2つのシンボルが同じ名前をもつことはありません。

シンボルは変数や関数名としての役割、プロパティリストを保持する役割をもつことができます。データ構造内にそのようなシンボルが存在することが確実に認識できるように、他のすべてのLispオブジェクトから区別するためだけの役割をもつ場合もあります。与えられたコンテキストにおいて、通常はこれらのうちの1つの使用だけが意図されます。しかし3つすべての方法で、1つのシンボルを独立して使用することもできます。

名前がコロン(‘:’)で始まるシンボルはキーワードシンボル(keyword symbol)と呼ばれます。これらのシンボルは自動的に定数として振る舞い、通常は未知のシンボルといくつかの特定の候補を比較することだけに使用されます。変更不可な変数を参照してください。

シンボル名にはどんな文字でも含めることができます。ほとんどのシンボル名は英字、数字、‘-+=*/’などの区切り文字で記述されます。このような名前には特別な区切り文字は必要ありません。名前が数字のように見えない限り、名前にはどのような文字も使用できます(名前が数字のように見える場合は、名前の先頭に‘\’を記述して強制的にシンボルとして解釈させる)。文字‘_~!@$%^&:<>{}?’はあまり使用されませんが、これらも特別な句読点文字を必要としません。他の文字も、バックスラッシュでエスケープすることにより、シンボル名に含めることができます。しかし文字列内でのバックスラッシュの使用とは対照的に、シンボル名でのバックスラッシュは、バックスラッシュの後の1文字をエスケープするだけです。たとえば文字列内では、‘\t’はタブ文字を表します。しかしシンボル名の中では、‘\t’は英字‘t’をクォートするに過ぎません。名前にタブ文字をもつシンボルを記述するには、(バックスラッシュを前置した)実際のタブを使用しなければなりません。しかし、そのようなことを行なうことは稀です。

Common Lispに関する注意:Common Lispでは明示的にエスケープされない限り、小文字は常に大文字に“フォールド(folded)”される。Emacs Lispでは大文字と小文字は区別される。

以下はシンボル名の例です。4つ目の例の中の‘+’は、シンボルが数字として読み取られるのを防ぐためにエスケープされていることに注意してください。6つ目の例では、名前の残りの部分により数字としては不正なのでエスケープの必要はありません。

foo                 ; foo’という名前のシンボル
FOO                 ; foo’とは別の、‘FOO’という名前のシンボル
1+                  ; 1+’という名前のシンボル
                    ;   (整数の‘+1’ではない)
\+1                 ; +1’という名前のシンボル
                    ;   (判読しにくい名前)
\(*\ 1\ 2\)         ; (* 1 2)’という名前のシンボル(悪い名前)
+-*/_~!@$%^&=:<>{}  ; +-*/_~!@$%^&=:<>{}’という名前のシンボル
                    ;   これらの文字のエスケープは不要

シンボル名がプリント表現としての役割をもつというルールの例外として、‘##’があります。これは、名前が空文字列のinternされたシンボルのプリント表現です。さらに‘#:foo’は、internされていないfooという名前のシンボルにたいするプリント表現です(通常、Lispリーダーはすべてのシンボルをinternする。シンボルの作成とinternを参照されたい)。

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