シーケンス(sequence)とは、要素の順序セットを表現するLispオブジェクトです。Emacs Lispには2種類のシーケンス — リスト(lists)と配列(arrays)があります。
リストはもっとも一般的に使用されるシーケンスです。リストは任意の型の要素を保持でき、要素の追加と削除により簡単に長さを変更できます。リストについては、次のサブセクションを参照してください。
配列は固定長のシーケンスです。配列はさらに文字列(strings)、ベクター(vectors)、文字テーブル(char-tables)、ブールベクター(bool-vectors)に細分されます。ベクターは任意の型の要素を保持できますが、文字列の要素は文字でなければならず、ブールベクターの要素はt
かnil
でなければなりません。文字テーブルはベクターと似ていますが、有効な文字によりインデックスづけされる点が異なります。文字列内の文字は、バッファー内の文字のようにテキストプロパティをもつことができます(テキストのプロパティを参照)。しかしベクターはその要素が文字のときでも、テキストプロパティをサポートしません。
リスト、文字列、およびその他の配列型も、重要な類似点を共有します。たとえば、それらはすべて長さlをもち、要素は0からl−1でインデックスづけされます。いくつかの関数はシーケンス関数と呼ばれ、これらは任意の種類のシーケンスを許容します。たとえば、関数length
は、任意の種類のシーケンスの長さを報告します。シーケンス、配列、ベクターを参照してください。
シーケンスは読み取りにより常に新たに作成されるため、同じシーケンスを2回読み取るのは一般的に不可能です。シーケンスにたいする入力構文を2回読み取った場合には、内容が等しい2つのシーケンスを得ます。これには1つ例外があります。空リスト()
は、常に同じオブジェクトnil
を表します。