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30.7 ファイルにたいする操作

このセクションでは、1つまたは複数のファイルを操作する、基本的なDiredコマンドを説明します。これらのコマンドはすべて大文字で、引数を読み取ったり、実際に動作する前に確認を求めるのに、ミニバッファーを使用します。これらのコマンドはすべて、以下の方法により操作するファイルを指定します:

コマンド!や‘%’のような他のDiredコマンドにも、操作対象となるファイルを決定するのに、同じ規則を使うものがあります。

ファイルのコピーやリネーム、それらにたいするリンクを作成するような、対象ディレクトリーを尋ねるコマンドは、操作のためにデフォルトの対象ディレクトリーの推論を試みます。これらのコマンドは通常、Diredバッファーのデフォルトディレクトリーを提案しますが、変数dired-dwim-targetが非nilで、次のウィンドウに他のDiredバッファーが存在しない場合は、その他のバッファーのディレクトリーをかわりに提案します。

以下は、ファイルにたいして操作を行なうDiredコマンドです。

C new RET

指定されたファイルをコピーします(dired-do-copy)。引数newはコピー先のディレクトリー、または(1つのファイルをコピーする場合は)新しいファイル名です。これはシェルコマンドcpと似ています。

dired-copy-preserve-timeが非nilの場合、このコマンドでコピーすることにより、‘cp -p’でコピーしたときのように、古いファイルの最終修正時刻(modification time)が保持されます。

変数dired-recursive-copiesは、(‘cp -r’のように)ディレクトリーを再帰的にコピーするかを制御します。デフォルトはtopで、これはディレクトリーを再帰的にコピーする前に、確認を求めることを意味します。

D

指定されたファイルを削除します(dired-do-delete)。これはシェルコマンドrmと似ています。

このセクションの他のコマンドと同様、このコマンドはマークされたファイル、または次のn個のファイルを操作します。対照的にx (dired-do-flagged-delete)は、フラグがついたすべてのファイルを削除します。

R new RET

指定されたファイルをリネームします(dired-do-rename)。1つのファイルをリネームする場合、引数newはファイルの新しい名前です。複数のファイルをリネームする場合、引数newはファイルを移動するディレクトリーです(これはシェルコマンドmvと似ています)。

Diredはリネームされたファイルに関連付けられたバッファーによりvisitされたファイルの名前を自動的に変更するので、これらのバッファーは新しい名前を参照します。

H new RET

指定されたファイルのハードリンクを作成します(dired-do-hardlink)。これはシェルコマンドlnと似ています。引数newはリンクを中に作成するディレクトリー、または(1つのリンクだけを作成する場合は)リンクに与える名前です。

S new RET

指定されたファイルのシンボリックリンクを作成します(dired-do-symlink)。これは‘ln -s’と似ています。引数newはリンクを中に作成するディレクトリー、または(1つのリンクだけを作成する場合は)リンクに与える名前です。

M modespec RET

指定されたファイルのモード(パーミッションビットとも呼ばれる)を変更します(dired-do-chmod)。modespecには、chmodプログラムで扱われる引数のような、8進かシンボル表記を指定できます。

G newgroup RET

指定されたファイルのグループを、newgroupに変更します(dired-do-chgrp)。

O newowner RET

指定されたファイルの所有者を。newownerに変更します(dired-do-chown。ほとんどのシステムでは、これを行なうことができるのはスーパーユーザーだけです)。

変数dired-chown-programは、処理を行なうために使用するプログラムの名前を指定します(システムが異なると、chownが違う場所に配されている場合があるので、この変数が必要)。

T timestamp RET

指定されたファイルにtouchします。これはファイルの修正時刻を、現在時刻で更新することを意味します。これはシェルコマンドtouchに似ています。

P command RET

指定されたファイルを印刷します(dired-do-print)。それらを印刷するためのコマンドを指定しなければなりませんが、ミニバッファー開始時には、変数lpr-commandおよびlpr-switches(lpr-bufferが使用するのと同じ変数。Printingを参照してください)を使用することにより推定された、適切な初期値が示されます。

Z

指定されたファイルを圧縮します(dired-do-compress)。ファイルがすでに圧縮されているように見える場合は、それらを解凍します。マークされたファイルは、自身のアーカイブに圧縮されます。これは可能ならgzip、それ以外はcompressを使用します。

c

指定されたファイルを、ファイルシステム上のどこかにある1つのアーカイブに圧縮します(dired-do-compress-to)。圧縮アルゴリズムはアーカイブの拡張子により決定されます。dired-compress-files-alistを参照してください。

:d

指定されたファイルを復号化します(epa-dired-do-decrypt)。Dired integration in EasyPG Assistant User’s Manualを参照してください。

:v

指定されたファイルのデジタル署名を検証します(epa-dired-do-verify)。Dired integration in EasyPG Assistant User’s Manualを参照してください。

:s

指定されたファイルにデジタル署名します(epa-dired-do-sign)。Dired integration in EasyPG Assistant User’s Manualを参照してください。

:e

指定されたファイルを暗号化します(epa-dired-do-encrypt)。Dired integration in EasyPG Assistant User’s Manualを参照してください。

L

指定されたEmacs Lispファイルをロードします(dired-do-load)。Lisp Librariesを参照してください。

B

指定されたEmacs Lispファイルをバイトコンパイルします(dired-do-byte-compile)。Byte Compilation in The Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。

A regexp RET

指定されたすべてのファイルにたいして、正規表現regexpを検索します(dired-do-find-regexp)。

このコマンドはxref-find-references (see Identifier Search)の変種で、必要に応じて、Xref Commandsで説明されているコマンドを使用することにより、マッチ間を移動したり、それらを表示することができる*xref*バッファーを表示します。

マークされたファイルやディレクトリーがある場合、このコマンドはそれらのディレクトリーにあるすべてのファイルとサブディレクトリーを再帰的に検索します。ただし名前がgrep-find-ignored-filesにマッチするファイルと、grep-find-ignored-directoriesにマッチするサブディレクトリーは除外されます。

Q regexp RET to RET

指定された各ファイルにたいしてquery-replace-regexpを行い、regexpにたいするマッチを、文字列toに置換します(dired-do-find-regexp-and-replace)。

このコマンドはxref-query-replace-in-resultsの変種です。これはregexpにたいするすべてのマッチをリストする*xref*バッファーを表示します。このバッファーでは特別なコマンド(see Xref Commands)を使用できます。特に、問い合わせつき置換のループ(query replace loop)をexitした場合は、そのバッファーで更に置換を行なうためにrを使用できます。Identifier Searchを参照してください。

dired-do-find-regexpと同様に、マークされたファイルがディレクトリーの場合、このコマンドはそれらのディレクトリー内、およびそれらのサブディレクトリーのすべてのファイルの置換を再帰的に行います。ただし、名前がgrep-find-ignored-filesにマッチするファイル、および名前がgrep-find-ignored-directoriesにマッチするサブディレクトリーは除外されます。


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