以下は、Emacsで特別な意味をもつ環境変数の、アルファベット順のリストです。これらの変数のほとんどは、他のプログラムでも使用されます。Emacsはこれらの環境変数がセットされていることを要求しませんが、セットされている場合はその値を使用します。
CDPATH
¶相対ディレクトリーを指定したときに、指定したディレクトリーを検索するために、cd
コマンドにより使用されます。これは変数shell-file-name
の初期化に使用されます(単一のシェルコマンドを参照)。
COLORTERM
¶この変数を値‘truecolor’にセットすると、terminfoデータベースが未インストールでもテキストモードディスプレイで24ビットtrueカラーを使用するようEmacsに指示します。Emacsは欠落しているterminfo情報のかわりにRGB値でtrueカラーを要求するためにビルトインコマンドを使用します。
DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS
¶D-BusサポートつきでEmacsがコンパイルされている場合、D-Busにより使用されます。通常これを変更する必要はありません。‘unix:path=/dev/null’のようなダミーアドレスをセットすることにより、D-Busセッションバスとの接続を抑止し、同様にD-Busセッションバスがまだ実行されていないときは自動的に開始します。
EMACSDATA
¶Emacsに含まれるアーキテクチャーに独立なファイルのディレクトリーです。これは変数data-directory
の初期化に使用されます。
EMACSDOC
¶ドキュメント文字列ファイル(documentation string
file)にたいするディレクトリーで、Lisp変数doc-directory
の初期化に使用されます。
EMACSLOADPATH
¶Emacs
Lispファイルを検索する、コロンで区切られたディレクトリーのリスト27です。セットされている場合は、変数load-path
の初期値です(EmacsのためのLispコードによるライブラリーを参照してください)。空の要素は、load-path
のデフォルト値を意味します。たとえば‘EMACSLOADPATH="/tmp:"’を使用すると、デフォルトのload-path
の前に/tmpを追加します。リストの中間に空の要素を指定するには、‘EMACSLOADPATH="/tmp::/foo"’のように、2つのコロンを続けます。
EMACSPATH
¶実行可能ファイルを検索するための、コロンで区切られたディレクトリーのリストです。セットされている場合、Emacsは変数exec-path
(Emacsからのシェルコマンドの実行を参照してください)を初期化するときに、PATH
(以下参照)に加えてこれをを使用します。
EMAIL
¶メールアドレスです。Lisp変数user-mail-address
を初期化するために使用されます。Emacsのメールインターフェースは、送信メッセージの‘From’ヘッダーにこれを使用します(メールヘッダーフィールドを参照してください)。
ESHELL
¶シェルモードで、環境変数SHELL
をオーバーライドするために使用されます(対話的なサブシェルを参照してください)。
HISTFILE
¶ログインしている間のシェルコマンドが保存されるファイルの名前です。この変数のデフォルトは、Bashを使用している場合は~/.bash_history、kshのときは~/.sh_history、それ以外では~/.historyです。
HOME
¶ディレクトリーツリー上で、あなたのファイルがある場所です。チルダ(~)で始まるファイル名の展開に使用されます。セットする場合には絶対ファイル名をセットする必要があります(相対ファイル名をセットするとEmacsはEmacsが開始されたディレクトリーから相対的なディレクトリーと解釈するが、この機能の使用は推奨しない)。未セットならHOME
のデフォルトはLOGNAME
、USER
、またはユーザーIDにより与えられるユーザーのホームディレクトリー、いずれも失敗したら/になります。MS-DOSでは、この変数のデフォルトはEmacsが開始されたディレクトリーで、そのディレクトリー名が‘/bin’で終わる場合、‘/bin’は取り除かれます。Windowsでは、HOME
のデフォルト値は、ユーザープロファイルディレクトリーのApplication
Dataサブディレクトリー(つまり通常はC:/Documents and
Settings/username/Application
Data。usernameはユーザー名)ですが、後方互換のため、C:/に.emacsがある場合は、かわりにC:/がデフォルト値になります。
HOSTNAME
¶Emacsが実行されているホストの名前です。
INFOPATH
¶コロンで区切られた、Infoファイルを検索するディレクトリーのリストです。
LC_ALL
¶LC_COLLATE
LC_CTYPE
LC_MESSAGES
LC_MONETARY
LC_NUMERIC
LC_TIME
LANG
そのユーザーの優先されるlocaleです。localeには6つのカテゴリーがあり、それぞれ環境変数で指定されます。ソートはLC_COLLATE
、文字エンコーディングはLC_CTYPE
、システムメッセージはLC_MESSAGES
、通貨形式はLC_MONETARY
、数字はLC_NUMERIC
、日時はLC_TIME
でlocaleを指定します。これらの変数の1つがセットされていない場合、そのカテゴリーのデフォルトは環境変数LANG
の値、LANG
がセットされていない場合は‘C’
localeになります。しかしLC_ALL
が指定された場合、これは他のすべてのlocale環境変数のセッティングをオーバーライドします。
MS-WindowsとmacOSでは、環境でLANG
がまだセットされていない場合、Emacsはシステムワイドなデフォルト言語にもとづき、LANG
をセットします。MS-Windowsのいくつかのバージョンでは、これはコントロールパネルの‘Regional
Settings’でセットでき、macOSではSystem Preferenceの“Language and Region”でセットできます。
AndroidでGUIセッションの実行中にはLANG
に固定値がセットされますが、言語とlocaleの環境はシステムの“Languages
& Input(言語と入力)”の設定から引き継がれます。AndroidでのEmacsの実行を参照してください。
LC_CTYPE
カテゴリーの値は、デフォルトの言語環境(language environment)とコーディングシステム(coding
system)を選択するために、locale-language-names
、locale-charset-language-names
、locale-preferred-coding-systems
のエントリーにたいしてマッチされます。言語環境を参照してください。
LOGNAME
¶ユーザーのログイン名です。USER
も参照してください。
MAIL
¶システムのメールinbox名です。
MH
¶mhシステムのセットアップファイル名です。MH-E in The Emacs Interface to MHを参照してください。
NAME
¶あなたの現実世界での名前です。これは変数user-full-name
を初期化するために使用されます(メールヘッダーフィールドを参照してください)。
NNTPSERVER
¶ニュースサーバーの名前です。Gnusパッケージで使用されます。
ORGANIZATION
¶あなたが属する組織の名前です。Gnusパッケージで、ポストの‘Organization:’ヘッダーをセットするために使用されます。
PATH
¶コロンで区切られた、実行可能ファイルを含むディレクトリーのリストです。これは変数exec-path
を初期化するために使用されます(Emacsからのシェルコマンドの実行を参照してください)。
PWD
¶セットされている場合、これはEmacsが開始されたときのデフォルトディレクトリーになるはずです。
REPLYTO
¶セットされている場合は、変数mail-default-reply-to
の初期値になります(メールヘッダーフィールドを参照してください)。
SAVEDIR
¶新しいアーティクルがデフォルトで保存されるディレクトリーの名前です。Gnusパッケージにより使用されます。
SHELL
¶Emacsの中からプログラムのパースや実行に使用されるインタープリターの名前です。これは変数shell-file-name
の初期化に使用されます(単一のシェルコマンドを参照)。
SMTPSERVER
¶送信メールサーバーの名前です。これは変数smtpmail-smtp-server
を初期化するために使用されます(メールの送信を参照してください)。
TERM
¶Emacsが使用する端末タイプです。Emacsがバッチモードで実行されていないとき、この変数はセットされていなければなりません。MS-DOSでは、デフォルトは‘internal’で、これはその機種固有のディスプレイを扱う、ビルトインの端末エミュレーションを指定します。
TERMCAP
¶TERM
で指定された端末をどのようにプログラムするかを記述する、termcapライブラリーファイルの名前です。デフォルトは/etc/termcapです。
TMPDIR
¶TMP
TEMP
これらの環境変数は、変数temporary-file-directory
を初期化するために使用されます。これは一時ファイルを置く場所を指定します(バックアップファイルを参照してください)。Emacsは最初にTMPDIR
の使用を試みます。これがセットされていない場合、通常Emacsは/tmpにフォールバックします。しかしMS-WindowsとMS-DOSでは、かわりにTMP
、次にTEMP
、最後にc:/tempにフォールバックします。
TZ
¶これはデフォルトのタイムゾーン(もしかしたらサマータイムの情報も)を指定します。Time Zone Rules in The
GNU Emacs Lisp Reference
Manualを参照してください。MS-DOSでは、Emacsを開始したときの環境でTZ
がセットされていない場合、EmacsはDOSが返す国コードにたいして、適切なデフォルト値を定義します。MS-Windowsでは、EmacsはTZ
を使用しません。
USER
¶ユーザーのログイン名です。LOGNAME
も参照してください。MS-DOSでは、デフォルトは‘root’です。
VERSION_CONTROL
¶変数version-control
の初期化に使用されます(単一または番号つきバックアップを参照してください)。
これ以降、“コロンで区切られたディレクトリーのリスト”という場合は、UnixおよびGNU/Linuxシステムの場合を指します。MS-DOSおよびMS-Windowsでは、DOS/Windowsファイル名にはドライブ文字の後のコロンが含まれるので、かわりにセミコロンでディレクトリーが区切られます。