Next: , Up: 環境変数   [Contents][Index]


C.4.1 一般的な変数

以下は、Emacsで特別な意味をもつ環境変数の、アルファベット順のリストです。これらの変数のほとんどは、他のプログラムでも使用されます。Emacsはこれらの環境変数がセットされていることを要求しませんが、セットされている場合はその値を使用します。

CDPATH

相対ディレクトリーを指定したときに、指定したディレクトリーを検索するために、cdコマンドにより使用されます。これは変数shell-file-nameの初期化に使用されます(単一のシェルコマンドを参照)。

COLORTERM

この変数を値‘truecolor’にセットすると、terminfoデータベースが未インストールでもテキストモードディスプレイで24ビットtrueカラーを使用するようEmacsに指示します。Emacsは欠落しているterminfo情報のかわりにRGB値でtrueカラーを要求するためにビルトインコマンドを使用します。

DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS

D-BusサポートつきでEmacsがコンパイルされている場合、D-Busにより使用されます。通常これを変更する必要はありません。‘unix:path=/dev/null’のようなダミーアドレスをセットすることにより、D-Busセッションバスとの接続を抑止し、同様にD-Busセッションバスがまだ実行されていないときは自動的に開始します。

EMACSDATA

Emacsに含まれるアーキテクチャーに独立なファイルのディレクトリーです。これは変数data-directoryの初期化に使用されます。

EMACSDOC

ドキュメント文字列ファイル(documentation string file)にたいするディレクトリーで、Lisp変数doc-directoryの初期化に使用されます。

EMACSLOADPATH

Emacs Lispファイルを検索する、コロンで区切られたディレクトリーのリスト27です。セットされている場合は、変数load-pathの初期値です(EmacsのためのLispコードによるライブラリーを参照してください)。空の要素は、load-pathのデフォルト値を意味します。たとえば‘EMACSLOADPATH="/tmp:"’を使用すると、デフォルトのload-pathの前に/tmpを追加します。リストの中間に空の要素を指定するには、‘EMACSLOADPATH="/tmp::/foo"’のように、2つのコロンを続けます。

EMACSPATH

実行可能ファイルを検索するための、コロンで区切られたディレクトリーのリストです。セットされている場合、Emacsは変数exec-path(Emacsからのシェルコマンドの実行を参照してください)を初期化するときに、PATH(以下参照)に加えてこれをを使用します。

EMAIL

メールアドレスです。Lisp変数user-mail-addressを初期化するために使用されます。Emacsのメールインターフェースは、送信メッセージの‘From’ヘッダーにこれを使用します(メールヘッダーフィールドを参照してください)。

ESHELL

シェルモードで、環境変数SHELLをオーバーライドするために使用されます(対話的なサブシェルを参照してください)。

HISTFILE

ログインしている間のシェルコマンドが保存されるファイルの名前です。この変数のデフォルトは、Bashを使用している場合は~/.bash_history、kshのときは~/.sh_history、それ以外では~/.historyです。

HOME

ディレクトリーツリー上で、あなたのファイルがある場所です。チルダ(~)で始まるファイル名の展開に使用されます。セットする場合には絶対ファイル名をセットする必要があります(相対ファイル名をセットするとEmacsはEmacsが開始されたディレクトリーから相対的なディレクトリーと解釈するが、この機能の使用は推奨しない)。未セットならHOMEのデフォルトはLOGNAMEUSER、またはユーザーIDにより与えられるユーザーのホームディレクトリー、いずれも失敗したら/になります。MS-DOSでは、この変数のデフォルトはEmacsが開始されたディレクトリーで、そのディレクトリー名が‘/bin’で終わる場合、‘/bin’は取り除かれます。Windowsでは、HOMEのデフォルト値は、ユーザープロファイルディレクトリーのApplication Dataサブディレクトリー(つまり通常はC:/Documents and Settings/username/Application Datausernameはユーザー名)ですが、後方互換のため、C:/.emacsがある場合は、かわりにC:/がデフォルト値になります。

HOSTNAME

Emacsが実行されているホストの名前です。

INFOPATH

コロンで区切られた、Infoファイルを検索するディレクトリーのリストです。

LC_ALL
LC_COLLATE
LC_CTYPE
LC_MESSAGES
LC_MONETARY
LC_NUMERIC
LC_TIME
LANG

そのユーザーの優先されるlocaleです。localeには6つのカテゴリーがあり、それぞれ環境変数で指定されます。ソートはLC_COLLATE、文字エンコーディングはLC_CTYPE、システムメッセージはLC_MESSAGES、通貨形式はLC_MONETARY、数字はLC_NUMERIC、日時はLC_TIMEでlocaleを指定します。これらの変数の1つがセットされていない場合、そのカテゴリーのデフォルトは環境変数LANGの値、LANGがセットされていない場合は‘C’ localeになります。しかしLC_ALLが指定された場合、これは他のすべてのlocale環境変数のセッティングをオーバーライドします。

MS-WindowsとmacOSでは、環境でLANGがまだセットされていない場合、Emacsはシステムワイドなデフォルト言語にもとづき、LANGをセットします。MS-Windowsのいくつかのバージョンでは、これはコントロールパネルの‘Regional Settings’でセットでき、macOSではSystem Preferenceの“Language and Region”でセットできます。

AndroidでGUIセッションの実行中にはLANGに固定値がセットされますが、言語とlocaleの環境はシステムの“Languages & Input(言語と入力)”の設定から引き継がれます。AndroidでのEmacsの実行を参照してください。

LC_CTYPEカテゴリーの値は、デフォルトの言語環境(language environment)とコーディングシステム(coding system)を選択するために、locale-language-nameslocale-charset-language-nameslocale-preferred-coding-systemsのエントリーにたいしてマッチされます。言語環境を参照してください。

LOGNAME

ユーザーのログイン名です。USERも参照してください。

MAIL

システムのメールinbox名です。

MH

mhシステムのセットアップファイル名です。MH-E in The Emacs Interface to MHを参照してください。

NAME

あなたの現実世界での名前です。これは変数user-full-nameを初期化するために使用されます(メールヘッダーフィールドを参照してください)。

NNTPSERVER

ニュースサーバーの名前です。Gnusパッケージで使用されます。

ORGANIZATION

あなたが属する組織の名前です。Gnusパッケージで、ポストの‘Organization:’ヘッダーをセットするために使用されます。

PATH

コロンで区切られた、実行可能ファイルを含むディレクトリーのリストです。これは変数exec-pathを初期化するために使用されます(Emacsからのシェルコマンドの実行を参照してください)。

PWD

セットされている場合、これはEmacsが開始されたときのデフォルトディレクトリーになるはずです。

REPLYTO

セットされている場合は、変数mail-default-reply-toの初期値になります(メールヘッダーフィールドを参照してください)。

SAVEDIR

新しいアーティクルがデフォルトで保存されるディレクトリーの名前です。Gnusパッケージにより使用されます。

SHELL

Emacsの中からプログラムのパースや実行に使用されるインタープリターの名前です。これは変数shell-file-nameの初期化に使用されます(単一のシェルコマンドを参照)。

SMTPSERVER

送信メールサーバーの名前です。これは変数smtpmail-smtp-serverを初期化するために使用されます(メールの送信を参照してください)。

TERM

Emacsが使用する端末タイプです。Emacsがバッチモードで実行されていないとき、この変数はセットされていなければなりません。MS-DOSでは、デフォルトは‘internal’で、これはその機種固有のディスプレイを扱う、ビルトインの端末エミュレーションを指定します。

TERMCAP

TERMで指定された端末をどのようにプログラムするかを記述する、termcapライブラリーファイルの名前です。デフォルトは/etc/termcapです。

TMPDIR
TMP
TEMP

これらの環境変数は、変数temporary-file-directoryを初期化するために使用されます。これは一時ファイルを置く場所を指定します(バックアップファイルを参照してください)。Emacsは最初にTMPDIRの使用を試みます。これがセットされていない場合、通常Emacsは/tmpにフォールバックします。しかしMS-WindowsとMS-DOSでは、かわりにTMP、次にTEMP、最後にc:/tempにフォールバックします。

TZ

これはデフォルトのタイムゾーン(もしかしたらサマータイムの情報も)を指定します。Time Zone Rules in The GNU Emacs Lisp Reference Manualを参照してください。MS-DOSでは、Emacsを開始したときの環境でTZがセットされていない場合、EmacsはDOSが返す国コードにたいして、適切なデフォルト値を定義します。MS-Windowsでは、EmacsはTZを使用しません。

USER

ユーザーのログイン名です。LOGNAMEも参照してください。MS-DOSでは、デフォルトは‘root’です。

VERSION_CONTROL

変数version-controlの初期化に使用されます(単一または番号つきバックアップを参照してください)。


Footnotes

(27)

これ以降、“コロンで区切られたディレクトリーのリスト”という場合は、UnixおよびGNU/Linuxシステムの場合を指します。MS-DOSおよびMS-Windowsでは、DOS/Windowsファイル名にはドライブ文字の後のコロンが含まれるので、かわりにセミコロンでディレクトリーが区切られます。


Next: その他の変数, Up: 環境変数   [Contents][Index]

This page has generated for branch:emacs-30, commit:ab5505a8acf795c0a0a2745dd6fb666954c6a4bb to check Japanese translation.