メールエイリアス(mail
aliases)を定義することができます。これは1つ以上のメールアドレスを意味する短い呼び名です。デフォルトでは、メールエイリアスはファイル~/.mailrcで定義されます。変数mail-personal-alias-file
をセットすることにより、異なるファイル名を指定できます。
~/.mailrcでエイリアスを定義するには、以下のように記述します:
alias nick fulladdresses
これはnickがfulladdressesに展開されるという意味で、fulladdressesは単一のアドレス、またはスペースで区切られた複数のアドレスです。たとえばmaingnu
が、gnu@gnu.org
とあなた自身のローカルのアドレスを意味するよう定義するには、以下の行を記述します:
alias maingnu gnu@gnu.org local-gnu
アドレスにスペースが含まれる場合は、以下のようにダブルクォートでアドレス全体をクォートします:
alias jsmith "John Q. Smith <none@example.com>"
その人の名前の部分などのような、アドレスの特定の部分をダブルクォートで括る必要はないことに注意してください。Emacsは必要に応じてそれらを挿入します。たとえば上記のアドレスは‘"John Q. Smith" <none@example.com>’のように挿入されます。
~/.mailrcを編集した後、あるいはEmacs外部でファイルが変更された後は、M-x rebuild-mail-abbrevs RETでEmacsの実行中セッションが使用しているメールエイリアスを更新できます。これは使用するファイル名の入力を求めます(mail-personal-alias-file
の値がデフォルト)。これた似たコマンドmerge-mail-abbrevs
はメールエイリアスを含んだファイルの入力を求めて、そのファイルのエイリアスを既存のエイリアスにマージします。
かわりにEmacsコマンドを使用してメールエイリアスを定義することができます。コマンドdefine-mail-abbrev
はエイリアスと完全なアドレスの入力を求めて、完全なアドレスへと展開するエイリアスを定義します。他のabbrevに行うのと同様に(abbrevの保存を参照)、すべてのファイルを保存(C-x sやC-x
C-c)するタイミングでEmacsが追加したエイリアスの保存を提案するでしょう。
Emacsは、~/.mailrcでのincludeコマンドも識別します。これらは以下のようなものです:
source filename
ファイル~/.mailrcは、Emacsだけのものではありません。他の多くのメールを閲覧するプログラムが、メールアドレスのためにこれを使用し、他にもさまざまなコマンドが含まれます。しかしEmacsは、エイリアスの定義とインクルードコマンド以外のすべてを無視します。
メールエイリアスはabbrevのように — つまり、エイリアスの後で単語区切り文字をタイプするとすぐに — 展開されます。この展開はヘッダーフィールド‘To’、‘From’、‘CC’、‘BCC’、‘Reply-To’(およびそれらの‘Resent-’の変種)だけで展開されます。‘Subject’のような、他のヘッダーフィールドでは展開されません。
コマンドM-x mail-abbrev-insert-aliasを使って、エイリアスされたアドレスを直接挿入することもできます。これは補完つきでエイリアス名を読み取り、ポイント位置にそれの定義を挿入します。
コマンドmail-abbrev-complete-alias
はポイントの前にあるメールエイリアスを補完します。