このセクションでは、主にバックアップファイルの命名規則を再定義してカスタマイズできる関数を記載します。これらの1つを変更した場合には、おそらく残りも変更する必要があります。
この関数はfilenameがバックアップファイルとして利用可能なら非nil
値をリターンする。これは名前のチェックだけを行って、filenameという名前のファイルが存在するかどうかはチェックしない。
(backup-file-name-p "foo") ⇒ nil
(backup-file-name-p "foo~") ⇒ 3
この関数の標準的な定義は、以下のようになる:
(defun backup-file-name-p (file) "FILEがバックアップファイルなら\ (番号付きか否かに関わらず)非nilをリターンする" (string-match "~\\'" file))
このようにファイル名が‘~’で終われば、この関数は非nil
値をリターンする(ドキュメント文字列を分割するために1行目でバックスラッシュを使用しているが、これはドキュメント文字列内で単一行を生成する)。
この単純な式はカスタマイズのための再定義を簡便にするために、個々の関数内に配置されている。
この関数はファイルfilenameの非番号付きバックアップファイル名として使用される文字列をリターンする。Unixではこれは単にfilenameにチルダを追加する。
ほとんどのオペレーティングシステムでは、この関数の標準的な定義は以下のようになる:
(defun make-backup-file-name (file) "FILEにたいして非番号付きバックアップファイル名を作成する" (concat file "~"))
この関数を再定義することにより、バックアップファイルの命名規則を変更できる。以下はチルダの追加に加えて、先頭に‘.’を追加するようにmake-backup-file-name
を再定義する例:
(defun make-backup-file-name (filename) (expand-file-name (concat "." (file-name-nondirectory filename) "~") (file-name-directory filename)))
(make-backup-file-name "backups-ja.texi") ⇒ ".backups-ja.texi~"
Diredコマンドのいくつかを含むEmacsの一部では、バックアップファイル名が‘~’で終わることを仮定している。この規則にしたがわない場合、深刻な問題とはならないだろうが、それらのコマンドが若干好ましくない結果をもたらすかもしれない。
この関数はfilenameの新たなバックアップファイル用のファイル名を計算する。これは特定の既存バックアップファイルにたいする削除の提案も行うかもしれない。find-backup-file-name
はCARが新たなバックアップファイル名、CDRが削除を提案するバックアップファイルのリストであるようなリストをリターンする。値にはnil
も指定でき、これはバックアップが作成されないことを意味する。
kept-old-versions
とkept-new-versions
の2つの変数は、どのバージョンのバックアップを保持するべきかを決定する。この関数は値のCDRから該当するバージョンを除外することによってそれらを保持する。番号つきバックアップファイルの作成と削除を参照のこと。
以下の例の値は新しいバックアップファイルに使用する名前が~rms/foo.~5~、~rms/foo.~3~は呼び出し側が削除を検討するべき余分なバージョンであることを示している。
(find-backup-file-name "~rms/foo") ⇒ ("~rms/foo.~5~" "~rms/foo.~3~")
この関数はfilenameにたいするバックアップファイルすべてのリスト、それらが存在しなければnil
をリターンする。ファイルは更新日時(modification
time)にたいして降順でソートされるので、もっとも最近に更新されたファイルが最初になる。
この関数はfile-backup-file-names
がリターンするリストの最初の要素をリターンする。
ファイル比較関数のいくつかは、自動的にもっとも最近のバックアップを比較できるようにこの関数を使用している。